学生陸上競技の華である箱根駅伝。1976年に出場記録が途絶えて以来、ながらく低迷していた青山学院大学陸上競技部の監督に就任し、今では総合4連覇を果たすまでに成長させたのが、原晋氏だ。旧来の体育会的指導法とは一線を引き、選手自らが考えて成果を挙げていく体制を築き上げ、強豪校へとよみがえらせた。
レースという刹那の駆け引きに勝てる勝負強さは、どうやって養われるのか? 原監督は、「普段の積み重ねがものを言う」と話す。
「スポーツもビジネスも同じで、成功の8割以上は丁寧な準備があってこそ。こだわりをもって物事を突き詰め、何が正しいのかを理解し、常にアンテナを張りながら進めていく。そうした積み重ねがあるから、瞬間の勝負で勝ちを拾うことができる。いわば、試合が始まる前に勝負事はある程度決しているのです」
もちろん、価値の低いものを積み重ねてもしかたがない。来るべき日に向けて準備を整えるには、本質を理解する力と、ゴールから逆算して計画できる力が必要だという。
「常に周囲を観察し、相手を気遣う姿勢を身につけることで、物事の本質を理解できるようになります。だから、メールやSNSも便利ですけど、大事なコミュニケーションはやはりフェイス トゥ フェイスでやる。そうした泥臭さが、深い人間性を育て上げるのです。そうして本質を追求していくと、ときに軋轢を生むこともあるしょう。しかし、そこで折れてはいけません。これまでの真剣な取り組みで確立した信念は、たとえ裏付けがなかったとしても、引き続き熱意を持って推し進めていくのがいい。今の非常識は、明日の常識かもしれないのですから、正しいと思えることをそのまま追求すべきなのです」
ここぞという瞬間に正しい判断を行える、勝負強さ。それを養うための、積み重ね。時計メーカーのハミルトンにとっては、創業から126年にわたる歴史がそれにあたる。正確さが必要な鉄道用時計として知られるようになった黎明期から、細部に至るまで時計の本質を追求してきた。
「時間はすべての人間に平等に与えられるものですが、実際の時間と体内時計とが合っていない人は意外と多く、できないランナー、できない営業マンは、この2つの時間軸がずれているもの。時間感覚を整えるためにも、腕時計は肌身離さずに着用しておくべきでしょう。出勤前に腕時計を着ける習慣は、気分の切り替えにも役立ちますしね」
端正な表情をした3針モデルの「スピリット オブ リバティ」は、特に優れた精度を求められた1940年代の航海用腕時計マリンクロノメーターからインスピレーションを受けている。視認性も高く、時間感覚を整える時計として最適だ。
「高級感にあふれたモデルですよね。それに、このムラ染めしたというカーフストラップは味がある。高級品は、使うほどによさがわかるものだと思っています。きっとこのモデルも味わいが増してきて、大切な1本になるのでしょうね」