Photo:Takeshi Hoshi
制作・東洋経済企画広告制作チーム
今年、セイコーから独立した「グランドセイコー」は、いま日本発の高級腕時計として新たな地位を築きつつある。スタンダードなデザインを中心としながらスポーツモデル、レディスモデル、貴金属モデルとデザインの幅に広がりを見せる中で、何を選ぶべきか、迷う人も多いことだろう。
ここでは時計ジャーナリストの広田雅将氏、福留亮司氏、本間恵子氏に加え、スタイリストの森岡弘氏の4名を集め、「自分がグランドセイコーを着けるなら」というテーマでモデルをセレクトしてもらった。時計の目利きたちが、グランドセイコーの何に着目しているのか。ぜひ時計選びの参考にしていただきたい。
時計専門誌「クロノス日本版」編集長
広田 雅将 Masayuki Hirota
日本で一番多くの腕時計を見ている、と言っても過言ではないほど知識豊富で業界内でも有名な時計ジャーナリスト。国内外の時計賞で審査員も務める
広田 海外出張が多いこともあり、第二時間帯を表示することが可能なGMT機能付きの「SBGM221」を選びました。特に気に入っているのは、実用性に優れていること。たとえば時差修正する際は、時針のみの単独操作が可能なので、早送りも逆戻しも素早く行えます。それに、高く盛り上げたインデックスには光を反射しやすい多面カットが施され、視認性も十分。ダイヤルのつやのコントロールもうまく、あざとくない高級感が出ています。もちろん、精度も非常に優れている。「これは買いたい!」とずっと思っていたモデルなんです。
福留 クロコダイルのレザーバンドもいいですよね。会食があるような出張なら、ブレスレットタイプよりもレザーバンドのほうが合いますから。
広田 そうですよね。僕はエグゼクティブでもなんでもありませんが、そうした人たちが使うのにもいいんじゃないかなと思います。海外の人たちと食事すると、決まって服やお酒、文学、そして腕時計が話題になるもので、日本製のよいモデルを身に着けていると話が弾むんですよ。
本間 GMT針に青焼き針を使用した点も控えめでいいですね。
広田 GMT針に赤をあしらったモデルは多いのですが、それだとスポーティになりすぎるので、個人的にもこのぐらいの色合いが好みです。
森岡 「趣味のいい人」といった感じで、いやらしくなく、収まりがきれいに見えますね。今の時代、「センスのいい人に見えること」が優先事項だと思うのですが、このモデルは非常にたたずまいがよくなる気がします。
時計ジャーナリスト
福留 亮司 Ryoji Fukutome
ライフスタイルマガジン「エスクァイア日本版」副編集長を経て、独立。現在は腕時計を中心に、ファッション、ゴルフなどのライターとして幅広く活躍
福留 僕が選んだのは、「SBGA211」。こちらも、広田さんが先程おっしゃっていた「会食での話題性」という点で、大いに活躍してくれるでしょう。セイコー独自のアイデンティティが息づいたモデルだからです。グランドセイコーは1960年、高級時計と言えばスイスメーカーしかないと考えられた時代に、日本発の高級時計を打ち出したブランド。そうした歴史的背景から、当初は海外勢からかなりの影響を受けてきました。個人的にはそうした時代のモデルも好みなのですが、歳月を重ねるごとに日本的な要素が高まり、今世紀に入ってから誕生した「SBGA211」ではグランドセイコーならではの世界観が見事に確立されているんです。機械式とクオーツ式のメカニズムを融合させた独創の自動巻スプリングドライブ「キャリバー9R65」を搭載したことも、オリジナリティを感じさせます。
本間 スプリングドライブの仕組みって、なかなか説明が難しくて時間がいりますよね(笑)。でも、このムーブメントの魅力を理解したうえで「これは説明すると長くなるんだけどね……」と語るのも楽しい。
広田 ケースに使われたブライトチタンも魅力的です。チタンは軽量性や耐食性が特徴ですが、純チタンだとややもするとグレイッシュな感じが強くなりすぎてしまうところ、ブライトチタンは控え目で高級感のある色味がいい。
福留 独創のスプリングドライブとブライトチタンにジャパンクオリティを感じ、着けていて誇らしい気持ちにさせてくれますよね。
森岡 年齢やポジションも関係なく、着用しやすいデザインだと感じました。着こなしの幅も広く、最大公約数的に活用できると思います。
ファッションディレクター・スタイリスト
森岡 弘 Hiroshi Morioka
男性ファッション誌「メンズクラブ」編集部のファッションディレクターを経て、独立。1996年クリエイティブオフィス「グローブ」を立ち上げ、ファッションを中心に多方面で活躍する
森岡 「センスのいい人に見える」腕時計にはちょっとした「賢さ」が必要で、この「SBGX319」にはまさにそうした雰囲気が宿っていると感じました。父親が着けていた腕時計のようなクラシック感があり、モダンな香りも漂っていますよね。特に仕事で着ける時計は、ちゃんとして見えるのはもちろん、目配り、気配りを備えている人であることが手元から伝わるものを選びたいですよね。その意味で、これは控えめですけどもファッション感がありますし、見る人が見たら「コイツ、そうとう洒落ているぞ」と思ってもらえるモデルだと思うんです。
本間 確かに知的な印象で、スタイルがありますね。わかる人にはわかってもらえるというのは、すごく大事な気がします。
森岡 今の時代、「みんながわかってくれる」腕時計やファッションは、逆に見向きもされないと思うんです。「つまらない」「地味だ」という人がいても、この良さをまだ理解できていないのだと割り切るのが正しい判断なのでしょう。それに、スタイリングで大事なのは引き算の考え方。あらゆる機能をてんこ盛りにしたモデルより、不要なものを引くことでたどり着いたミニマルな存在は、やはり収まりがいいんです。
広田 これ、風防に使われているデュアルカーブサファイアガラスにコストがかかっていると思います。ベーシックですが、見る人が見たらちゃんと手間ひまかけて丁寧に作っているモデルだとわかる実用時計です。
森岡 そこも気に入った点ですね。腕時計を真正面から見るのは本人だけで、周りからはだいたい斜めの角度で見られているもの。カーブした風防や薄いベゼルを採用した「SBGX319」は、斜めからもキレイに見えるんですよ。
福留 すっきりしたベゼルも知的ですね。賢く見えるというのは、腕時計が目指すひとつの理想だと思います。
ジュエリー&ウォッチ専門ジャーナリスト
本間 恵子 Keiko Homma
ジュエリーデザイナーを経て、独立。現在は女性誌、情報誌、ライフスタイルマガジンを中心に腕時計やジュエリーの記事を執筆
本間 レディスモデルで私が選んだのは、ブラックダイヤルの「STGF293」と18Kピンクゴールドを採用した「STGF308」。腕時計はスマホと違い、さりげないチラ見で時刻が確認できるのがいいところ。ただ、その利点を活かすには視認性がいいことが条件で、この2モデルはそこが確かなんです。
広田 一般的にレディスモデルは文字盤が小さい分、視認性の悪いものが少なくありません。しかし、こちらはダイヤモンドセッティングながらグランドセイコーらしい視認性の良さが発揮されていますね。
本間 そうなんです。それに、ジュエリーとしても魅力です。「転職をしたけど、職場にどの程度ジュエリーやアクセサリーを身に着けていけばいいのか?」をよく相談されるのですが、そういうときはキレイめの腕時計の着用をお勧めしています。腕時計は仕事で必要なものですから。
福留 初めてのときって、みんな考えすぎちゃいますよね。考えすぎて周りと横並びになり、個性が消えてしまうこともある。
森岡 女性の場合、オンタイムでも男性よりグレーゾーンが多いスタイルですから、アクセサリー感覚はあってもいいですよね。そういう意味で、この2モデルはシンプルすぎることもなくて、全体がうまく整いそうです。
本間 多くの働く女性が求める「ちゃんとした格好をしたい」を表現するには、やはりこうした腕時計の利用が有効です。それに、このモデルは仕事はもちろん、アフター5にも似合いますから、重宝すると思いますよ。
森岡 実は、この復刻モデルもお薦めしたいモデルでした。
本間 女性が着けても魅力的ですよね。私もいいなと思っていました。「いい時計を着ける目を私は持っているの」と胸を張れそうで。
広田 このモデルにも現れていますが、グランドセイコーは実用性の高い時計であるという核がある。その上で多彩なラインナップがあり、自分なりのチョイスを楽しめるというのが魅力だと思います。何より、グランドセイコーは全体的にすごく作りがよい。俗な表現をするとコスパが高くて、一度でも所有すれば、自然とモノを見る目が肥えていくはずですよ。
福留 確固たる軸があるんですよね。それを崩すことなく進化してきた。2017年にブランドとして独立し、さらに大きく進化する可能性が広がりました。
本間 これまではセイコーブランドの中の一つで、私にとっては"人にあまり教えたくない"的な存在でしたけど、今後は人目に触れられる機会は増えていくのでしょうね。