
「図解 中国トレンドExpress」編集長
四家 章裕
―訪日中国人のインバウンド消費について、近年のトレンドをお聞かせください。
円安などを背景に訪日外国人客の数は増加傾向、とりわけ経済が好調な中国人によるインバウンド消費は活況を呈しています。客層としては富裕層、とりわけ近年では不動産によって財をなした方が中心となっています。
―売れている商材に変化は見られますか。
売れ筋の商品としては医薬品と化粧品が不動の1位ですが、それ以外の商品に関してはトレンドが時々によって移り変わっています。例えば春節のときには温水洗浄便座が多く買われました。しかし6月20日から始まる端午節では釣り竿やヘッドフォンが売れそうだということがデータから明らかになっています。
―日本でそうしたトレンドを知ることは困難です。
実際に多くの企業では、なぜその商品が人気を集めているのかということが判然としないまま対応しているケースが多いのが現状です。そこで我々ホットリンクでは中国の方たちが何を望んで日本にやってきて、どういうところを好んでいるか、またどういうことを不満に思っているかを口コミから分析することにしました。そうしたデータを基に今年5月からサービスをスタートさせたのが「図解 中国トレンドExpress」です。
―「図解 中国トレンドExpress」とはどういったサービスか教えてください。
訪日中国人が何を考え、いま何を欲しているか。口コミデータを基にメディア分析のプロが時流や文化背景を踏まえて分析。一目で理解できるインフォグラフィックスとセットでお届けする月4回配信のレポートです。
―口コミデータの収集と分析はどのように行っているのでしょうか。
ウェイボーと呼ばれる中国版ツイッターのデータを中心に、日本へ旅行する人の書き込みを母集団として収集。何を買ったのか、何を食べたのか、どこに行ったのかといったデータをまずは分類してランキングにします。次にそこで登場するものを週次で追いかけていくと、今週初めてランキング入りしたものや順位の入れ替わりが激しいものがわかる。これを基にしてその要因は何かを読み解いていき、解説文とインフォグラフィックスへと落とし込んでいきます。
―特集の内容はどのように決めているのでしょうか。
月に1度、編集会議を行い翌月に何を特集するか決めています。テーマの決め方はソーシャルメディアのデータから伸びているものや変化の激しいものを見つけて深掘りしていく方法。また中国人の方は春節や端午節といった「節」に来訪することが多いので、その節ごとにどのようなものが売れそうか分析。あとはお客様のリクエストにより特定の業界に特化して、どういった商材が売れているかを分析・解説するということも行っています。
―これから特集する予定のテーマを教えてください。
まず6月は端午節の振り返り、実際に何が売れたかを解説します。また最近「中国国内でどのようなプロモーション活動を行えばいいか」という声が多く寄せられるようになったので、どのような方法だと反響が大きいか、来訪のきっかけになるかを深掘りします。さらに近年注目を集める中国国内向けのECサイト、いわゆる越境ECについても特集を予定。いま中国政府が関税率を引き下げて、中国国内での消費を誘導する動きも見られます。これは日本企業の中国進出のビジネスチャンスでもあるので中国国内ではどのような商品が人気なのかということも深掘りしていこうと考えています。
―今後の展開について教えてください。
まず、グローバルのソーシャル・ビッグデータを保有している強みを活かし、中国以外の訪日外国人のインバウンド消費に関しても、中国同様に分析していこうと考えています。
また、中国人のお客さまは、日本に限らずタイや韓国、オーストラリアなどさまざまな土地を旅行します。ですからその土地土地でどのようなインバウンド消費を行っているのか、日本以外についても分析を行い、国外での販売展開をしていきたいと思っています。
―最後に、読者の方へ向けてメッセージをお願いします。
「図解 中国トレンドExpress」を読むことで現在の中国における消費動向を手軽にご理解いただくことができます。継続してご購読いただければ、どういった背景によって彼らの趣味趣向が変化しているのかもご理解いただけるでしょう。顧客が何を考えて、どのように行動をとっているのか。それを理解しているか否かで対応の質も変わってくるはずです。ぜひ「図解 中国トレンドExpress」をご採用いただき、インバウンド消費による売上げアップに役立てていただけたらと思います。