日本の金融市場の活性化に欠かせない規制対応

第2回金融規制ジャパン・サミット

 「日本は深刻な不備事項をこれまで改善してこなかった」――。FATF(金融作業部会)から厳しい勧告がなされたのは2014年6月のこと。テロ活動などが国際的に大きな問題になる中、テロ資金供与対策やマネー・ローンダリングの面において、日本の対応が甘いと非難された。FATFのバイス・プレジデント、シン・ジェユン氏は「早急に対応が必要な課題だ。対応に不備があれば、巨額な制裁金を課される恐れもある」と指摘する。

 また、近年、問題が深刻化しているのがサイバー犯罪だ。警察庁長官官房参事官サイバーセキュリティ担当警視長の岡部正勝氏は「インターネットバンキングの不正、システムにアタックし機能不全に陥れるサイバーテロ、標的メールなどによりM&Aなどの機密情報を窃取するサイバーインテリジェンスなど、様々な問題が発生している」と述べる。サイバー犯罪は単に金銭的なダメージがあるだけではない。「機密情報の漏洩などがあった場合、金融機関の社会的信用がガタ落ちしてしまう可能性もある」とトムソン・ロイター・アジア担当シニア・エディターのトロンド・ヴァゲン氏は語る。

 一方、金融庁総務企画局国際室長小森卓郎氏は「2008年の金融危機の教訓から、システミックリスクを回避するためOTCデリバティブの規制や、金融機関の破綻処理をスムーズにするためTLAC(総損失吸収力)についても世界的に議論が活発に行われている」と分析する。

 様々な規制強化は金融機関にとって大きな負担だ。しかしPwCの金融規制アドバイザリー・グローバルリーダー、アダム・ギルバート氏は「規制対応をコストと考えるのではなく、グローバル競争の中で勝ち抜く将来への成長への投資と考え、前向きに取り組むべきだ」と指摘する。日本では「スチュワードシップ・コード」や「コーポレートガバナンス・コード」、「社外取締役」などを導入し、金融市場の活性化や企業の成長を促す動きも出てきた。

高リスク分野に優先的に資源配分を

 ただし現実的にはすべてのリスクに完璧に備えることは不可能だ。限られた資源の中でいかに効率的・効果的に対処し、金融機関の成長に結びつけていくかが今後の大きな課題となっている。そこで注目されている手法がリスク・ベースド・アプローチだ。金融規制ジャパン・サミットではパネルディスカッションや基調講演などで、リスク・ベースド・アプローチの重要性が度々強調された。限られた資源の中で、リスクの高いものに資源を集中し、優先的に対応する考え方だ。

第2回金融規制ジャパン・サミット パネルディスカッション

すべてのリスクに完全に準備することはできないとしても、金融機関はリスクや規制を洗い出し、その中でもリスクが高く、重要度が高いものを順位づけていき、資源を配分していく。高リスク分野では厳格な措置をする一方、低リスク分野では簡便な措置にすることで、リスクレベルに合わせて効率的かつ迅速に対応が可能になる。

 こうした問題に対処するには人的資源で個別対応するには限界があり、システム導入によるシステマティックな対応が求められているといえよう。

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制作:東洋経済企画広告制作チーム

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