ハイヤーやタクシーの配車プラットフォームを提供する注目の企業「Uber」。日本法人の社長である髙橋さんは幼少から海外での生活に触れる機会が多く、また昨年6月に日本に戻られるまで、海外中心の勤務だったという。有力ベンチャーのリーダーとして久しぶりに東京に戻り拠点を構えられた髙橋さんに、都市生活についてのお話を聞いてみた。そこには海外を多く見て来られた同氏だからこそのキーワードが登場する。
Uberと髙橋社長について

――Uberとはどういったサービスか、あらためて教えてください。

アプリを開くと、車がどこにあるかがすぐに分かる。シームレスで高品質なユーザー体験を目指すUberは、一気に今の地位に駆け上がった。

弊社はスマートフォンからツータップでハイヤーやタクシーを配車できるプラットフォームを提供している会社です。2010年にサンフランシスコで産声を上げて以来、現在では世界54カ国の260都市以上でサービスを展開しています。技術を提供する会社なので車を保有しておらず、ドライバーさんもいません。あくまで技術のプラットフォームでマッチングを行う会社。それがUberです。

――Uber Japanの代表に就任された経緯は?

昨年6月までサンフランシスコに住んでいて、アメリカの大学を卒業後、ずっとソニーに勤めていました。本社に4年、ソニーフランスに赴任しパリに3年。その後、ビジネススクールに通い、2012年からサンフランシスコに。ソニーではマーケティングやプロダクトマネジメント、最後はM&Aや投資案件を担当していましたが、ひと通りロールをこなし、次にどうしようかと考えていたところ、縁がありUberへジョインすることになりました。サンフランシスコでは車の移動がメインでしたが、自分や身の回りの友人も皆Uberを日常的に利用していたし、話をしてみるとはじめからフィットも良かったのでUber Japanの代表に就いたのもごく自然な流れでした。

都市での生活について

――急成長の御社ですが、ご多忙な社長業のなか仕事以外の時間はどのように過ごされていますか?

ベンチャー企業の場合、オンとオフの境目が明確には存在しません。家に仕事を持ち帰ったり、休日もPCに向かうこともよくあります。ですから仕事をしていない時間は、意識的に身体のケアや自分の時間へ費やすように努めています。あとは7年ぶりに日本へ帰ってきたので、できるだけ実家で家族と過ごすように心がけています。最近ではようやくこのような働き方にも慣れてきたので、友人と会う時間も少しずつ増やしているところですね。

――ご自宅での過ごしかたは?

平日は言葉通り「寝に帰る」感じですが、休日の時間があるときは趣味のコーヒーを楽しんでいます。コーヒーを注いで陽の当たる窓際で街の眺めを楽しみながら落ち着いた時間を過ごす。ビジネスから一瞬離れて我に返る、そういう時間をなるべく設けようとしています。

あとは平日の夜、家に帰ってからフィクションを読むこと。脳の中が仕事でない世界に一瞬入り込めるのです。リフレッシュした気持ちで次の朝を迎えられるようになりました。ノンフィクションでも試してみたのですが…ビジネス書を読んでしまうと頭のなかが仕事で一杯になり、全く休むことができません(笑)。

――髙橋さんが家に求めるのはどういったことですか?

私は広さよりも「空間」を大切にします。室内だけではなく、眺めなども含めた環境ということ。パリ在住の時は窓からエッフェル塔が見えました。自分が落ち着けて、安らげて、フレッシュな気持ちになれる空間が好みです。ですから静かであることや天井の高さなど、求める空間とマッチしているかを重視しますね。

――共感します。今お住まいの場所はマッチしますか。

そうですね。都心ですが、忙しくなるのが分かっていたので今の家は利便性重視で選びました。でも窓から街はよく見えます。サンフランシスコでは、仕事場と家の位置関係は距離があり車での通勤でしたが、これはこれで、けっこう有意義でした。サンフランシスコでは丘の上に住んでいたので街全体が見える。朝起きて一瞬だけでも振り返る時間が大切でした。あまり離れて森のなかで暮らすとかは考えないです(笑)。プラクティカルな人間なので。都市の中にありながらゆとりの持てる場所が好きです。

サンフランシスコは日本とは大きく違うけど、そもそも街のあり方が違う。暮らしてみて思ったのですが東京は密集しているがゆえに、いつでもどこにでも行ける。東京に自分が暮らしてみてすごく合うなと思います。

都心で暮らす魅力について

――髙橋さんの考える「都心で暮らす価値」とは?

一番大きいと思うのは選択肢がたくさんあることです。都心は時間の流れが早く、物事の動きもダイナミック。競争も激しいのでお店の移り変わりも日常茶飯事です。そのなかで自分が何を選ぶか、選択肢が多様にあることが一番の魅力ではないでしょうか。

英語には“ポケット”という表現があるのですが、東京は特にポケットの多い都市。渋谷から代官山、青山へと半径数キロメートル内に、全く雰囲気の異なる多様なポケットが密集しています。ひとつの場所から他のポケットへ行こうと思えば、例えばUberであれば数分で移動できる。今日はファンキーな気分だから裏原へ行こうとか、ラグジュアリーな気分だから六本木にしようみたいに、異質な環境や空間へ身構え無しに移れることが東京の魅力だと思います。

――ポケットとは面白い表現ですね。海外と比較していかがですか?

例えば私の暮らしていた都市の中ではニューヨークなどはポケットの多い街です。ワンブロック歩いただけでチャイナタウンにたどり着くような、全く異なる空間を見つけることができます。一方でサンフランシスコはポケットが距離的に離れていて、数もそれほど多くはない印象。パリは密集せずにもう少し広がっていて、渋滞もひどいのでアクセスに時間もかかります。ですから気軽さという意味では、東京ほど大きな都市で都心に住めば様々なポケットに行けるということは非常に大きな魅力だと思いますね。

車を呼べば15分ほどでどこでも行ける。電車もバスも普及し発達している。都心にいるって、こんなに便利で気持ち的にも楽なんだなと感じます。

「ハイヤーというのは都市にすごく合う」と語る髙橋さん。ドアtoドアのバリューが高く、隣のポケットにシームレスに辿り着ける最適な方法だからだ。そのご経験から、都市で暮らす利便性を誰よりも感じられている髙橋さんならではの言葉だ。
今後も東京だけでなく、都市や地域によって異なるニーズや環境にマッチしたサービスを提供していくそうだ。

ポケットを行き来することは都心を楽しむこと。そこで生活する者の「特権」といえるだろう。この特権は、楽しむだけじゃない、日々の働くこと、その場所で生きていくということに直結する。

拠点を都心に構える髙橋社長は、出社は徒歩(健康のためだそうだ)、移動はUber、休日といえばWi-Fiのあるカフェを求めて移動、また、久しぶりの東京を楽しみながら、友人との時間も楽しむ。職住近接という言葉があるが、効率的で充実した時間を自分でクリエイトできる醍醐味は、都心ならではだろう。

都心に住むということ。働き盛りの若い世代こそ、実現して欲しい選択だ。

都心1LDKの人気を、数字でひもとく! 記事はこちら
Uberに乗ってモデルルームを見に行ってみる? 詳しい情報はコチラ