スマホの普及や働き方の変革への期待が「内線電話」変遷のきっかけに

 企業内の通信手段として今では欠かすことのできない内線電話だが、その形態はこの20年で大きく様変わりした。アナログを中心としたレガシー系と呼ばれるPBX(構内交換機)はインターネット回線の普及とともに低コストで利用できるIP電話に対応したIP-PBXが登場し、2000年台後半からは携帯キャリアを中心に携帯電話を内線電話として使用できるFixed Mobile Convergence(以下FMC)と呼ばれるサービスが始まった。FMCサービスは業務効率化などが期待されたこと、スマートフォンの普及に後押しされたことでサービスが拡大し、その後、クラウド型のFMCサービスも携帯キャリアから提供が開始された。しかし、これらFMCサービスは、従来型(オンプレミス)PBXへの連携が必要となるなど、課題も残った。

八木田 夏樹氏

八木田 夏樹
NTTコミュニケーションズ
ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部
サービス企画部門 主査

 当然のことながら従来型(オンプレミス)PBXとFMCサービスを連携させるためには多大な導入コストがかかる。それらの点について、NTTコミュニケーションズの八木田氏は次のように話す。「企業に調査を行ったところ、PBXやビジネスフォンの導入コストが高いという不満が聞かれました。またFMCに関しても基本料金や通話料が高く、一つのキャリアに縛られてしまうため新たに端末を用意しなければならないということが企業にとってハードルになっていることも判明し、そういった課題を解消するサービスの必要性を強く感じました。」

PBXのクラウド化で課題を解決 進むスマートフォンの内線化

 そうした経緯から生まれたのがNTTコミュニケーションズの提供するクラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」だ。Arcstar Smart PBXはクラウド上にあるIP電話サーバによりPBX機能と内線機能を提供し、スマートフォンやパソコンなどのデバイスを内線電話として利用できるサービス。八木田氏は、従来型(オンプレミス)PBXやFMCサービスと比較して以下の特長があると話す。
「設置する企業側の視点ではPBXやビジネスフォンの筐体をオフィスに設置する必要がなくなることがメリットとして挙げられます。これにより導入コストや設置コストを削減し、ワークスペースを有効活用することができるようになりました。設定の変更もWebから簡単に行うことができるので、保守・運用管理の効率化に繋がります。一方企業の中の社員、すなわちユーザー視点では、私物のスマートフォンやパソコン(ソフトフォン)など、ご利用状況によって使い勝手の良いデバイスをそのまま使えることが大きな特長です。例えば、お手持ちのスマートフォンに専用アプリをインストールするだけで、その端末を内線電話として社内でも外出先でも使用することができるようになります。」

スマホの内線化で 非効率を解消! 生産性を上げる働き方とは

スマホイメージ

 またArcstar Smart PBXはFMCサービスとは異なり、携帯キャリアや端末を問わない「キャリアフリー」「デバイスフリー」であることも大きな特長だ。国内で流通しているほぼすべてのスマートフォンに対応しているため、現在利用しているスマートフォンですぐにサービスを利用することができる。つまり会社が新たに携帯電話を購入し、社員に貸与するコストを省くことができるのだ。NTTコミュニケーションズでは様々な機種に対応させるため携帯事業者の各機種ごとに検証を行い音量や品質などをチューニングしているのだという。「企業がBYODを導入するうえではより多くの端末に対応していることが重要です。社員がどの端末を保有していてもスマートフォンの内線端末化を実現することができます」(八木田氏)。さらに、どこでも連絡先を確認できる「Web電話帳」や企業内メンバーとのテキストメッセージをセキュアな環境でやりとりできる「メッセージ機能」など便利なオプションサービスも準備されている。

 このようにArcstar Smart PBXは安価に導入できるだけでなく、従来生じていたさまざまな非効率を解消することができる。導入によって社員の働き方に変革をもたらし、結果として生産性を向上することもできるだろう。では、具体的に職場のどのような業務が効率化されるのだろうか。Arcstar Smart PBXの仕組みについての詳しい図解とともに、今回スペシャルPDFに詳しくまとめた。この機会にぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。