お客さまの豊かな暮らしを守るため郵便局ネットワークを刷新。しかし移行には現場の業務負担増の懸念も

 郵政民営化を経て 2012年に設立された日本郵便株式会社。全国2万4000の郵便局ネットワークを通じて郵便や銀行・保険の窓口業務、国内・国際物流業などを担う「トータル生活サポート企業」である同社、多岐にわたる業務の中でもとりわけ郵便局の運営に欠かせないものの一つに「資金管理業務」がある。これはいつ、どんな時でも利用者が貯金を引き出して利用できるような状態を維持するため、それぞれの郵便局に適正な額の運営資金をあらかじめ配分する業務のこと。営業中に想定外の資金が急きょ必要になった際も、各郵便局が所定部門に電話を入れ、速やかに追加資金を調達できる仕組みが整えられている。「あらゆるお客様のニーズにお応えするためには、郵便局と管轄部署の連携を密にすることが欠かせません」と同社の児玉恵三氏は話す。

 同社は東日本大震災を契機にこの資金管理業務の体制を刷新。これまで全国13の支社でエリア内を管轄していた体制を見直し、新たに「資金管理センター」を立ち上げ支社とセンターで業務を分担する方針に変えた。しかしこの新体制に移行するには一つ懸念された問題があった。資金管理に関する窓口が二つ存在することで、問い合わせを行う郵便局の業務負担が増大する可能性である。

 資金管理業務のほとんどはセンター側で対応するが、一部特殊な手続きが必要な業務に関しては引き続き支社で対応する。そのために問い合わせの内容に応じて電話をかけ分けてもらうという、複雑な手続きを郵便局の社員に強いるということは何としても避けたかった。そこで考えついたアイデアが、問い合わせ先をセンターに一本化しつつ、内容に応じて通話をそのまま転送する仕組みだ。これなら現場に負担を与えることなくスムーズに対応できる。あとはその仕組みをいかに構築するか。社内投資のため使える予算は限られる。さらにセンター開設までに残された期間はわずか半年だった。

クラウド型PBXとナビダイヤルの導入によって大幅な業務改善を実現
児玉 恵三 氏

日本郵便株式会社
金融業務部
係長

児玉 恵三

 限られた予算と資金管理センター開設までの短いスケジュール、この二つの難題をいかにクリアするか。複数のソリューションベンダーと討議を重ねた結果、同社が選択したのはクラウド型PBXサービス「Arcstar Smart PBX」と「ナビダイヤル」を中核にしたシステムの構築である。

 ナビダイヤルは「0570ダイヤル」の名称でお馴染み、通話料金を発信者が負担する電話サービス。コールセンターなど複数の着信先に対して全国的に統一された電話番号を提供できる。一方Arcstar Smart PBXはPBX やビジネスホンなどの通信設備をクラウド上に置くことで、多様なデバイスからロケーションを問わず無料で内線電話を利用できるサービス。どちらもNTTコミュニケーションズによって提供されているものだ。これらのサービスを組み合わせ、音声ガイダンスによって各所からの問い合わせを全32台の窓口担当者のIP電話機に振り分けることで、資金管理センター内での対応は大幅に効率化を果たし、当初想定していた以上の業務改善効果を得ることに成功した。

 また両サービスの導入は思わぬ副産物も生んだ。トラフィックデータの可視化である。「問い合わせ電話の時間帯や内容、件数などが明らかになることで回線数や人員配置を的確に判断し調整することができるようになった」(児玉氏)。同社はより多くの情報を収集するため、今後サービスのさらなる活用も検討中だという。

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