

ブラウンで18年以上にわたって活躍。なかでも世界初のドライシェーバー用洗浄システム「クリーン&リニューシステム」の開発では重要な役割を果たした。このほか、水やシェービングフォーム、シェービングジェルの使用に特化した製品「ウォーターフレックス」、世界初のスキンクーリングテクノロジー内蔵シェーバー「クールテック」、初めての丸洗い可能なシェーバー「cruZer」といった画期的な製品を開発し、世界を驚かせてきた。
「世界中の男性にリサーチした結果、深剃り以上に肌へのやさしさを求めていることがわかりました」
18年以上にわたってブラウンで活躍し、数多くの革新的なシェーバーを生み出してきた開発責任者のホーザー氏は、その結果を受けて「深剃り」と「肌へのやさしさ」を両立させる技術の開発に着手した。5年以上もの歳月と60人以上のエンジニア、400以上の部品、200以上の品質チェックを経て生み出されたのが、「人工知能デュアル連動刃」だ。あらゆるくせヒゲをとらえてカットする「くせヒゲキャッチ刃」と寝たヒゲを持ち上げてカットする「極薄リフトアップ刃」を連動させることで、少ないストロークで肌にやさしい深剃りを実現した。
「相反する関係に思える『深剃り』と『肌へのやさしさ』を両立させる答えは、たった1回のストロークで深剃りできることでした。剃り残しがあると、ユーザーは何度も同じ場所に圧力を高めてシェーバーをあててしまい、それが肌へのダメージになってしまうからです」
そこで再度注目したのが、トリマー内へのヒゲの取り込みだ。
「研究の末、ヒゲの生え方には100以上もの種類があることを確認し、中には寝ているヒゲや剃っている間に動いてしまうヒゲというシェーバーの天敵があることもわかりました。前作『シリーズ7』のトリマーも非常に優れた構造でしたが、ひとつですべてをカバーするユニバーサルな設計思想だったため、こうした天敵への対処は完璧ではなかったのです。そこでユニバーサルという考えから離れ、あらゆるヒゲを取り込めるトリマーを研究した結果、この『人工知能デュアル連動刃』にたどり着いたのです」
技術開発において、ホーザー氏は「フォスターのS曲線」を意識しているという。新しい技術に費やされる労力・コストと成果の関係は、S曲線で示されるという理論だ。当初は労力・コストに見合った成果は得られないが、軌道に乗るや急上昇し、やがて鈍化していく。
「5年以上もの歳月をかけてようやくお披露目できた『シリーズ9』も、幅広い発展が期待できる革新的技術を搭載しました。これから新しいS曲線を描いていくでしょう。日本の消費者は製品のパフォーマンスやテクノロジーというものを正当に評価してくれますし、多くの方に満足していただけると確信しています」

出張へも持ち運びしやすいコンパクトなボディに、高度なテクノロジーを実現するため400個を超えるパーツを詰め込んだ

シリーズ9で初搭載となる世界唯一の「人工知能デュアル連動刃」。小さな部品がさらに細かなパーツで構成されている

2つのトリマーの1つ、「くせヒゲキャッチ刃」はさまざまな方向に生えた、あらゆるくせヒゲをとらえてカットできる

寝ているヒゲを持ち上げてカットする「極薄リフトアップ刃」。ワンストロークで剃り残しがなくなる結果、肌への負担が減少する


ドイツのシュトゥットガルト国立造形美術大学を卒業後、ヘルシンキの大学院で工業デザインの修士課程に進み、2つの文化圏でデザインを学ぶ。これまでに、世界の大手企業や有名ブランドとさまざまな仕事を手がけ、デザイン関連の賞も多数受賞、コンシューマー製品デザインの分野において国際的に注目されている。ブラウン製品のデザインは2007年から担当。現在のデザインコンセプト「The strength of pure」では中心となって活動中。
アップルやダイソンなど、昨今は売れる製品ほどデザインも優れている傾向にあると話すと、「本質を表現できているからでしょう」とデザイナーのステッグマン氏は返してくれた。
「ダイソンはテクノロジーそのもののアピールや豊かな配色で動的に見せ、アップルはすべてをシンプルに統合したうえでスマートに訴える静的なデザインを取っているという違いはありますが、どちらも確固たる哲学の下で革新的テクノロジーを表現し、デザインがプロダクトに息吹を吹き込んでいます。何年、何十年もかけて開発してきた"特別"な製品を、本当に"特別"なものとして表現するのがデザインの力。その製品を気に入り、毎日でも使いたいという気持ちにさせるのに、大きな役目を果たします」
動的と静的という先の例では、ブラウンはその中間にあるとも答えたステッグマン氏。テクノロジーとデザインを高次元で融合するためには、エンジニアとの綿密なコミュニケーションも欠かせない。ブラウンではデザイナーとエンジニアの机がすぐ隣に置かれ、ほんの小さなステップから一緒に話し合い、お互いに主張しあって理想を追い求めていくのだという。
「数多くの製品の中でも、シェーバーのデザインは特に難しい部類に入ります。据置型の家電なら比較的自由なカタチに作れますが、シェーバーは手にとるものですから人間工学的に優れていなければならず、開発した強力なモーターも収めなければなりません。可動する部分も多い。技術的なパッケージが最初にあり、デザインの自由度は多少制約されている中で、技術もデザインも損なわないよう調和させていくのです」
またブラウンといえば、巨匠ディーター・ラムスが活躍し、世界のインダストリアルデザインに大きな影響を与えてきたことでも知られている。そのデザイン哲学は2009年に「Strength of Pure」のテーマと10の原則に再解釈され、「シリーズ9」にも息づいている。ムダのないシンプルなデザインや左右対称のフォルム、ドットをあしらった親指置きや硬軟組み合わせた素材など歴代シェーバーのDNAを受け継ぐディテールは、誰もが一目で「ブラウンのシェーバーだ」とわかるものだ。
ディーター・ラムスの存在を、「チャレンジ精神を掻き立てる、いいプレッシャーと感じています」と話すステッグマン氏。今も本社を訪ねてくることがあり、意見交換もするのだという。
こうしてまた、ブラウンの優れたデザインが世に放たれていく。

世界初の量産化に成功した往復式電動シェーバー

世界初の六角形網刃を搭載。新たなデザインの起点に

世界初の異素材(ソフト×ハード)MIXボディ

世界初のシェーバー用自動洗浄機を同梱

世界初、ヘッドが震える音波振動ヘッドを搭載

世界初、肌のひりつきを抑える冷却機能を搭載

ブラウンには1961年入社、1995年退社。言わずと知れたデザイン家電のカリスマ


最高峰のシェーバーとして登場した「シリーズ9」。ブラウン65年のシェーバー作りの英知がここに結集されている。
開発責任者のホーザー氏が述べたように、革新的技術の中心にあるのが新開発の「人工知能デュアル連動刃」だ。くせヒゲキャッチ刃と極薄リフトアップ刃という、高度に特殊化された連動をする2つのトリマーが全方位に生えるヒゲをしっかりと持ち上げ、カット。根本から確実にヒゲをとらえることで、これまでよりも少ないストロークで深剃りできるようになり、ブラウン史上最も肌にやさしい深剃りを実現した。
また、毎分1万回の音波振動によって肌を震わせてヒゲを取り込みやすくする「ターボ音波テクノロジー」も搭載。ブラウン独自の技術であり、ヒゲの濃さに自動対応し、肌に余分な負担をかけずに効率的な深剃りができる。
実際に肌にあてるヘッド部分には、顔の曲線を自動的に追随する「密着3Dヘッド」を採用。前後稼働するヘッドと上下フロートで肌の凹凸に密着するうえ、新改良のスプリングによってより小さい力でヘッドが可動するため、肌に強く押し付けなくても多くのヒゲをとらえられるようになった。
従来から好評のクリーン&チャージシステムも引き続き採用。充電と同時にアルコールを原料にした専用洗浄液でシェーバーヘッドを自動洗浄でき、面倒な日々のメンテナンスから解放してくれる。
あらゆる点で従来モデルを上回る「シリーズ9」。機能もデザインも優れたエポックメーキングなモデルとして、不動の地位を築き上げていくに違いない。
撮影:逢坂 聡

青い部分が「極薄リフトアップ刃」。その上にあるのが「くせヒゲキャッチ刃」。2つのトリマーで肌への優しさと深剃りをついに両立

ブラウンのシェーバーではお馴染みの独自機能。1万回の音波振動で肌を振動&顔の曲面に密着する機能で、効率的な深剃りが可能に

一見すると均一に見えるが、実は899パターンあるという網刃。それによりさまざまなヒゲを根元からとらえることができる

ボタンを押すだけで洗浄、充電が可能。アルコール洗浄で除菌*までできるのはブラウンのみ。
*試験機関:INSTITUT FRESENIUS、試験方法:クリーン&リニューシステム洗浄後の刃部の除菌率を測定、試験結果:99%の除菌率