
さまざまな経営課題に対してコンサルティングを行うデロイト トーマツ コンサルティング。先般、日本企業のグローバル・マネジメントのあり方に関する提言を主なミッションとするグローバル マネジメント インスティテュートを立ち上げ、そのアジェンダの1つとしてGCMを位置づけた。GCMに関する体制を整備・拡充し、豊富な知識と経験、そしてグローバル・ネットワークをベースに、企業を全面的にサポートする。
現実的な問題として、多くの日本企業の財務部は日々の業務を回すだけで手いっぱいで、新しい業務に時間を割きにくい状況だ。伊藤氏は、GCMの実現に近道はなく、ひとつずつ着実に壁を越えていくしかないと話す。
「GCMの構築には時間とコストがかかります。関係各国の法制度を理解し、GCMを正しく運営できる人材が育つまで、5年くらいの時間を見込むべきです。それでも私はそうした人材を育てるべきだと思います。グローバルなビジネスの成功を支えるのがGCMですから、人材育成を含めた継続的な取り組みを続けていくことが重要です」
ファイナンスとビジネスの両面から
企業の現状を分析

日本企業のGCMへのチャレンジに対し、デロイト トーマツ コンサルティングは「現状分析」「構想」「実行・検証」の3つのフェーズで幅広くサポートしている。
現状分析フェーズでは、GCMの構想や共通プラットフォームの設計に向けて、現状の資金の流れを把握し、課題を洗い出す。
「期末時点の資金残高は見えていても、期中の流れを把握していない企業が多い。例えば期末に資金残高があっても、期中のキャッシュフローをよく見ると貸越のポジションがあり、金利が相殺されているケースがあります。資金の動きは、グループ全体でリアルタイムで把握されるべきです」とマネジャーの近藤泰彦氏は指摘する。
デロイト トーマツ コンサルティングでは、さまざまな業界の知見を持つチームと、キャッシュ・マネジメントに高い専門性を有するチームのメンバーを組み合わせて現状分析を行う。ビジネスのスキームや資金の流れ、オペレーションなど、構想を描くうえで不可欠な現状分析をサポートする。ファイナンスとビジネスの双方からアプローチできる陣容の厚みが強みといえる。
「グループ内の口座がどこにあるかという単純な管理だけでなく、各口座がビジネスのなかでどのような役割で使われ、それぞれの口座がどのようなつながりを持っているかを理解することで、重要でない口座を洗い出し、キャッシュ・マネジメントを効率化できるのです」と近藤氏は解説する。

写真左より
デロイト トーマツ コンサルティング マネジャー
近藤 泰彦氏
デロイト トーマツ コンサルティング シニアマネジャー
日置 圭介氏
デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター
伊藤 薫氏