
新型コロナによって、一気に進んだ「オンライン授業」。これからもオンライン授業は、メインになるのでしょうか? それとも、新型コロナが収束すれば、オフライン授業に戻るのでしょうか? 昨年3月の休校期間から、学校ではさまざまな施策を講じてきました。「学びを止めない」ために、いろいろな取り組みが行われたのです。
一方で、この期間はさまざまな課題も浮き彫りになりました。多くの学校の先生にとって、授業動画を撮ることは初めての経験だったことでしょう。システム面でも、Wi-Fi環境の整備、セキュリティーの問題、ツールの選定など、難しい課題がたくさんあったと聞いています。
僕は、東大生が全国の学校に訪れ勉強法を教える「リアルドラゴン桜」という、教育プログラムを提供しています。これも昨年は、オンラインとオフライン両方で実施していました。その活動を通じて、僕自身も「オンライン教育の価値とは? またその限界とはどんなものなんだろうか?」と考える機会が多くありました。
そのような中で、今回はオンライン教育に取り組まれていた3つの学校の先生方に取材させていただき、オンライン教育の価値と課題について現場のお話を伺いながら、記事にまとめさせていただくことになりました。非常に勉強になるお話を伺うことができましたので、少しお付き合いいただければと思います。

(撮影:尾形文繁)
日本大学櫻丘高校「アンケートで改善を続け満足度が高まったオンライン授業」
まず、1校目は、東京の世田谷区にある日本大学櫻丘高等学校さんにお話を伺いました。こちらの学校は昨年3月に休校して5月から6月はオンライン授業を実施、5月末の緊急事態宣言明けから徐々に分散登校を開始し、2学期からは通常どおりの学校運営を行っているそうです。
こちらでは、録画した形式のものを「Google ドライブ」で配信する、という形式でオンライン授業を行っていたそうです。中でも大変だったのは、都内の感染者が多かったために、授業動画を撮るのも、機材が整った学校ではなく家で撮る必要があったということでした。学校であればホワイトボードやWi-Fiの環境も整い、わからないことがあれば、同僚の先生に聞くこともできますが、家ではそうはいきません。非常に先生方は大変だったそうです。この点においては感染者数が多くなり、より厳格な対策が求められていた東京の学校らしい問題だなと感じました。
こちらの学校では、1週間程度オンライン授業を行ったタイミングで生徒たちに授業に対するフィードバックを求めるアンケートを実施したそうです。このアンケートで見えてきたのは、意外な意見でした。多くの生徒が、「オンライン授業の時間が長く感じる」と回答していたのだそうです。
録画のオンライン授業を想像すると、オフライン授業に比べ、雑談も、生徒に答えさせるというやり取りもないわけですから、普通よりもコンパクトになりそうですよね。でも、実はそんなことはなく、対面授業に比べて、体感も実際の時間も長くなることが多いとわかったそうです。50分の授業として設計したものの、オフラインのときよりも「あ、こっちも話しておいたほうがいいな」「この話もしておきたい」と盛りだくさんにしてしまいがちで、50分以上になってしまう場合が多かったのだそうです。