ユニゾTOB劇で「得」をした意外なプレーヤー 米ブラックストーンの登場で株価も上昇

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米投資ファンド・ブラックストーンへの回答期限は本日。ユニゾはどんな回答をするか(撮影:梅谷秀司)

「結局、当事者であるユニゾ以外のステークホルダーにとっては“敵対的買収”ではなく、歓迎すべき買収だったのではないか」

ある外資系M&Aアドバイザーは、不動産やホテルなどを手掛けるユニゾホールディングスをめぐる一連のTOB(株式公開買い付け)に関して、このように指摘する。

そもそものきっかけは、今年7月。旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が、事前の交渉なしでユニゾ株を1株3100円で買い付けると表明、保有比率を45%まで高めようとしたことだった。

これに対しHIS傘下に入るのを嫌ったユニゾは、“ホワイトナイト(白馬の騎士)”探しに奔走。8月中旬になって、ソフトバンクグループ傘下でアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループが、1株4000円でTOBを開始した。

ところが、ここから事態は混迷する。当初ユニゾはフォートレスのTOBに賛同の意思を表明していたにもかかわらず、HISを追い出すことができた途端、用済みとばかりに、「聞いたこともない、むちゃくちゃな条件」(前出のM&Aアドバイザー)をつけて、フォートレスに“三行半”を突きつけたのだ。

ブラックストーンもTOBに参戦

「むちゃくちゃな条件」とは、TOBをかけられたユニゾ側が、フォートレスに対し「買収提案者の取り分と出口(ファンドによる株式売却)の時期・方法を合意書に明記し、出口の時期・方法を従業員持ち株管理会社が選択できる」(ユニゾが発表した「買収提案に対する対応の基本方針」)よう求めたことだ。「買収逃れだけを目的とした、常識外れのなりふり構わぬ条件」(M&Aアドバイザー)としか言いようがない。

そんな折、今度は1株5000円で買収提案をしていたものの、ユニゾに拒否されていたアメリカの投資ファンド、ブラックストーン・グループが、TOBを再提案する意向を表明した。ユニゾが提案を拒否した場合は「あらゆる選択肢を検討する」(ブラックストーン)としており、これまた敵対的TOBに発展する可能性がある。

これだけの短期間に、同じ企業が3度もTOBの提案を受けるのは、極めて異例の事態だ。

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