なぜ歯医者は急に行っても診てくれないのか 現役歯科医が語る「予約制」の理由

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歯科での受診は「予約制」が原則。その理由を現役歯科医・若林先生に教えていただきました(写真:kou/PIXTA)
からだの病気を診る内科のクリニックなどと違って、歯科は「予約制」が原則です。なぜ、そのようになっているのでしょうか? 遅刻やドタキャンはやはり、迷惑なのでしょうか? 痛みが出るなど、すぐに診てもらいたいときは予約なしでも対応してもらえるのでしょうか? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。

とても手間がかかる歯の施術

内科の場合、病気の診断がついて治療法さえ決まれば、次の診察からは「問診→薬の処方」という手順で終わることも多いでしょう。

当記事は、AERA dot.の提供記事です

しかし、歯科は違います。歯科医師が手を動かす処置が必要です。軽いむし歯の場合でも、歯を削ってそこにコンポジットレジンを詰めるという一連の作業があります。重いむし歯では削る部分が多くなり、その後、かぶせものを作るための型取りなどもあるので、かなりの時間を要します。

抜歯が必要な場合は麻酔の準備から始めるので、さらに時間がかかることも。こうした歯科治療の性質上、1日に診ることのできる患者さんの数が決まってしまうため、予約制になっているのです。

なお、経営的な側面もあり、保険診療では1人の患者さんに時間をかけすぎるわけにはいきません。歯科医院にもよりますが、1人あたり約30分の治療時間を想定し、予約制としているところが多いようです(経験の浅い、若い歯科医師では同じ治療が30分では終わらないことも多く、1時間で設定していることも多いです)。

歯科医師は予約の時間内でその患者さんにどのような治療を、どう行うかを事前に考えます。いわゆる治療計画です。そして30分という時間は決して余裕がある時間ではないので、治療開始が予定より遅れると困るのです。

多くの歯科医院では、仕事や学校が終わる夕方ごろから予約が集中し、次々と患者さんがやってきます。このため、後ろに引きのばすことは難しい状態です。

例えば治療が10分遅れでスタートした場合、その患者さんに使える時間はケース・バイ・ケースではありますが、20分しかないということになります。

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