医師の適性は「スネ夫をどう思うか」でわかる 面接試験は猛勉強の果てにある「最後の関門」

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医学部試験において面接の重要性はますます高まっている(写真:kou/PIXTA)  
夏休みが明け、いよいよ受験へ向けて準備を本格化させる重要な時期。医学部に進むべきかどうか、まだ悩んでいる高校生と親御さんを対象に「医学部受験のスペシャリスト」である代々木ゼミナールの加藤広行さんがその心得を解説する。最終回のテーマは「最後の関門、小論文と面接試験」(第5回はこちら)。

いよいよ本連載の最終回となった。今回は「技」の部分の最後として、小論文と面接試験について解説しよう。この2つの試験では、学科試験では測りきれない「医師としての資質と適性」などが評価される。

連載一覧はこちら(今回が最終回です)

センター試験や私立の試験の一部はマークシート方式で「機械が判定」するのに対して、小論文や面接は「ひと(採点者や面接官)がじっくりと判断」するという違いがある。

「この受験生を採りたい、うちの大学(自分の手)で育てたい、この受験生は医師に向いている」と判断してもらえるかどうかがポイントだ。言い方を変えれば、「医師に向いていない受験生を見分ける(不合格にする)」ために行われるのだ。

前回、医学部入試は「医療現場の実習」であると説明したが、このことは今回の小論文と面接についても同様だ。これらを踏まえて、受験生はどう対策すればよいのか、試験当日はどう対処すればよいのか詳しく解説していこう。最後に、「心・技・体」の「体」の部分で締めくくることにする。

小論文の「実施状況と形式・出題内容(狙い)」

国公立と私立の一般入試における小論文試験の実施状況は次の通りだ。

【国公立前期日程】49校中の2校(群馬・横浜市立大)のみ
【国公立後期日程】23校中の11校
【私立一般入試】31校中の29校(東邦・藤田保健衛生大以外)
【私立センター利用入試】17校中の12校(愛知医科・藤田保健衛生・関西医科・兵庫医科・福岡大以外)

これでわかるように、私立の入試では小論文は「ほぼ必須」だ。国公立は私立と比較すると採用率は低いが、センター試験では国語が全員必須である。医学部受験だけでなく、将来の学会発表で、また患者や家族への説明でなど、受験生や医師にとっては「国語力全般が不可欠」だ。

小論文の形式・内容について話を移そう。まず形式は各大学でさまざまだが、大別すると「資料や課題文あり」のタイプと、「テーマ・設問文のみ」のタイプに分かれる。内容については、以前の回でも説明した通り、英語や理科の試験と同様に「医療系のテーマ」も出る。

昭和大では「医療において人間とAI(人工知能)はどのように共存すべきか述べよ」といった内容で出題され、日本医科大では「ノーベル生理学・医学賞の日本人受賞者の表を見て感じたことを述べよ」などが出題されている。

その一方で、次のような出題例もある。

慶応大では「4歳の甥に『イルカが哺乳類であること』を説明しなさい」という出題があった。この出題の趣旨は「患者の年齢が幅広いこと」に対応する能力をみるためのもので、目の前の患者一人ひとりに合わせた的確な説明ができるかどうかが問われる。

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