豪雨の「水没リスク」、都内地下駅の対策は? 東京には浸水しやすい駅が至る所に存在する

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東京メトロは高い浸水のおそれがある駅出入口に防水扉を整備している(編集部撮影)

関東地方では27日夜、大気の状態が不安定となり局地的に非常に激しい雨が降った。落雷による停電で京王線などが一時運転を見合わせ、帰宅ラッシュの足を直撃した。

もし、今年7月の西日本豪雨クラスの雨が首都圏に降ったら、東京はどうなってしまうのだろうか。

東京には地下鉄駅や地下街が多数ある。出入口から地下へ水がドッと流れ込み大変な事態にならないだろうか。対策はどう立てられているのか。今回は地下鉄ほかJR・私鉄の地下駅も含め、駅出入口付近にどの程度の洪水がやってくるか、地上の浸水高予測と、地下に水が流入しない対策を見ていきたい。

西日本豪雨級の雨量はありうる

結論から先にいえば、西日本豪雨クラスに襲われた場合、東京付近の地下駅合わせて100近くの駅(各地表部分)へ洪水が襲ってくる(荒川決壊の例で約70駅)。駅出入口一帯は数十センチから数メートル水没してしまう。

そこで(1)どの程度の雨で(2)どの駅付近(地表部分)が浸水し(3)どう対策が立てられているか――これを順に見ていこう。

荒川区役所玄関にある「想定浸水深」の表示(筆者撮影)

豪雨による水害はさまざまなパターンがある。東京に関しては、2000年に東海地方を襲った東海豪雨クラスやゲリラ豪雨などを想定して、河川の氾濫などによる浸水予想区域図(ハザードマップ)が作成されている。

なかでも浸水高、浸水域の広さで大災害となるのが荒川堤防の決壊による洪水である。想定しているのは、荒川流域で72時間総雨量が632mmに達し堤防が複数箇所で決壊するケースだ。

そんなに大量に降ることがあるのか、と思われるかもしれないが、今回の西日本豪雨では、高知県馬路村で72時間に1319mmの雨が降った。もともと雨の多い四国太平洋側以外でも、西日本豪雨では岐阜県郡上市868mm、佐賀県佐賀市675mmなど西日本の10箇所以上の観測所で72時間総雨量632mm以上を記録している。この数字を突きつけられると、いつ東京付近にこうした豪雨が襲来してもおかしくないと思えてくる。

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