「カメラを止めるな!」はなぜシェアされるか 社会人に共感呼ぶ痛快さが盛り込まれている

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インディーズ映画が異例の大ヒットのワケは?(写真:『カメラを止めるな!』公式サイト)

映画の制作費はたったの約300万円、監督も役者も無名。テレビCMや交通・街頭広告などの大々的な宣伝活動はしていない。予告編はYouTubeの専門チャンネルでひっそり流しているぐらいで、映画館へ1年に100回以上通う映画好きでさえ映画館で予告編を見たという人は、ほぼいない――。

そんなインディーズ映画が、異例の快進撃を見せている。『カメラを止めるな!』。監督&俳優養成スクール「ENBUゼミナール」の制作により、今年6月23日に東京のわずか2カ所の映画館で封切りされた作品だ。その後、ジワジワと上映館数を増やし、8月中旬時点で全国150館を超え、47都道府県を制覇した。各映画館で連日超満員だ。

SNSでの「感染力」がとにかくすごい

これまでの映画のセオリーから考えると、この現象は本当に珍しい。通常、マニアックなインディーズ映画は休日であっても客席が閑散としていることが多く、上映館数も限られる。それが、これだけの数の映画館に広がり、なおかつ連日超満員の盛況ならば、日本映画製作者連盟が毎年まとめる邦画興行収入ランキングで、トップクラスに顔を出す可能性が極めて高い。

例年なら、それらは興行収入が軽く10億円を超える。2017年でいえば公開された邦画作品約600本のうち、10億円超えは40本弱。「ヒットは20本に1~2本」というシビアな市場で、制作や宣伝に十分なお金をかけられないインディーズ映画が大ヒットを放つなんて、驚天動地としか言いようがない。

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