トヨタ「クラウン」15代続く国内専用車の本質 使い勝手や耐久性、ローカルな価値がある

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2012年末に登場した14代目の現行クラウン。ピンクのボディカラーに度肝を抜かれた人も少なくなかったはずだ(撮影:鈴木 紳平)

トヨタ自動車「クラウン」が6月下旬にフルモデルチェンジ(全面改良)を控えている。今回で15代目となる新型車の外観やスペックなどは、すでに複数の自動車雑誌で先行リポートされている。

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クラウンの歴史は日本経済の縮図でもある。栄華を極めたのはバブル経済の絶頂からほどない1990年。年間販売台数は20万台を超えた。ところが、その後は低落傾向をたどっている。モデルチェンジのたびに少し盛り返しても、長期的なトレンドでみれば販売台数は右肩下がり。2017年の販売台数は3万台弱と、ピークから8割以上も減少している。

それでも乗用車ブランド通称名別ランキング(軽自動車除く、日本自動車販売協会連合会調べ)で見ると29位と、トヨタの売れ筋である大型ミニバン「アルファード」(28位)の次点。国産セダンでは圧倒的にナンバーワンだ。

クラウンの歴史をたどる

それに一つの車名を誕生から今年で63年の長きにわたって、続けているケースはまれだ。そんなクラウンの歴史をたどってみよう。

私は永年にわたり国内専用車として開発された高級車づくりが長寿の秘訣ではないかと考えている。

中村健也を主査とする初代クラウンは、海外の乗用車を手本としながらトヨタ独自の開発にこだわった。一方の日産は、同じ時期にイギリスのブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が製造するA50ケンブリッジのノックダウン生産(主要部品を輸入し現地で生産)を行っていた。

どちらが良い悪いではない。だが、本格的な乗用車開発の手始めとして自社開発・製造にこだわるトヨタの姿勢はその後も永年受け継がれ、クラウンをここまで長寿にしたのではないかと思うのである。

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