ホンダ「フィット」に不具合が多発する理由 早くも3度目のリコール、好調な販売に冷や水

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ガソリン1リットル当たり36.4キロメートルの燃費が売りの「フィットハイブリッド」(撮影:梅谷秀司)

ホンダの期待の新型ハイブリッド車(HV)がトラブルに見舞われている。ホンダは2月10日、昨年9月に発売した主力小型HV「フィットハイブリッド」と、同12月に発売した小型SUV「ヴェゼルハイブリッド」のリコールを発表した。対象はこれまでに製造した全8万1353台。

リコールの原因は、フィット、ヴェゼルが搭載するHV用デュアルクラッチ式自動変速機(DCT)の制御プログラムの不具合で1速ギアがかみ合わず、発進できないなどのトラブルが発生するおそれがある。不具合報告件数は427件という。

DCTを巡っては、昨年10月、12月にすでに2度のリコールを行っており、今回が実に3回目。過去2回とも今回とはトラブルの状況と原因は異なるが、いずれもDCTの制御プログラムにかかわる部分だ。その都度、全車両を対象に対策を施したが、また新たな不具合が発生してしまった。

ホンダは「新型車で立て続けに3回もリコールした前例はない。発売前のチェックが行き届いておらず、また、これまでの対策内容の検証が不十分だった」(広報部)と反省の弁を述べる。

新しいHVシステムが原因

今回、十分な対応ができなかった背景には、DCTを使ったHVシステムがホンダにとってこれまでに経験がないまったく新しい複雑なシステムだったことがある。従来、ホンダはHVのシステムとしてIMAという方式を使っていた。これは常に稼働するエンジンを必要に応じてモーターがサポートするという比較的単純な方式のHVシステムだった。

これに対して新システムは、2つのクラッチを持つDCTにモーターを組み合わせ、発進時にはモーターのみで走行し、加減速や車速など状況に応じて変速機の段数を変化させてモーターアシスト走行やエンジン走行、充電を行う複雑な機構になっている。ホンダにとって、モーターのみで走行できるHVの経験はなく、DCTという変速機方式も初めての採用だった。

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