小泉進次郎は「天才子役」から脱皮できるのか 「平成の先」を見据え、国会改革に挑む

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12月11日、「国民起点プロジェクトチーム」の会合で、ねんきん定期便の改善点について説明する自民党の小泉進次郎厚労部会長(右)。左は小泉グループとされる村井英樹氏(写真:共同通信)

初当選から9年余り、「自民党のプリンス」の名をほしいままにしてきた小泉進次郎衆院議員(当選4回、37歳)が、「平成の終わり」に軌を一にして、政治家人生の転機を迎えている。自ら志願した自民党厚生労働部会長の活動と併せて、持論の「国会改革」の実現に挑むことで、「人気先行の天才子役」(自民長老)から脱皮し、実力も備えた“ニュー進次郎”として総理・総裁候補への地歩を固めようとしているようだ。

小泉氏は、安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなった9月の自民党総裁選での投票直前に、石破氏支持を表明したことが「姑息な対応」(閣僚経験者)との批判を巻き起こし、党内での人気には陰りが生じた。さらに、若手議員を糾合して「今のままの国会運営を、ポスト平成に引き継ぐわけにはいかない」と華々しく打ち上げた国会改革も、旧来の“国対政治の壁”に阻まれて、「平成のうちに」との合言葉も空回りが続いてきた。

その小泉氏が14日午後、福田達夫氏ら親しい自民党衆院議員3氏を同伴して、東京・内幸町の日本記者クラブで会見した。同クラブが企画した「平成とは何だったのか」シリーズの一環として「平成の政治と国会改革」を語るのが目的だ。特に、「国会改革」については、臨時国会会期末の10日に、衆院議院運営委員会が小泉氏らの強い要望を踏まえ、「国会資料のペーパーレス化」について、年明けからの通常国会での本格検討を申し合わせた。小泉氏はこれについて「大きな一歩」と胸を張った。

「ペーパーレス化」には野党の異論も

小泉氏が超党派の若手議員を代表する形で「国会改革」をぶち上げたのは、昔からの慣例に縛られて、国会審議が「完全に形骸化」(自民若手)している現状への強い不満からだ。小泉氏は会見で「平成の時代には選挙制度や省庁制度の大改革が断行されたが、国会改革だけがとり残されている」と力説した。

その強い思いから、小泉氏は自民党の「衆議院改革実現のためのプロジェクトチーム(PT)」の事務局長に指名されると、「とりあえずできること」として、国会資料のペーパーレス化や女性議員の妊娠・出産時の代理投票などを提案した。

国会議員への印刷物配布には、衆参両院合計で年間約12億円もの費用がかかっているとされる。まさに「国会のムダの象徴」でもあり、ここにきてペーパーレス化による費用削減が与野党共通の課題とはなってきた。ただ、国会での野党側の政権攻撃の切り札である内閣不信任決議案までがペーパーレス化されると、「印刷時間(約2時間)が省かれて審議がスピードアップし、抵抗戦術としての効果が薄れる」(立憲民主国対)との異論があり、すんなり与野党が合意できる状況ではないのが現実でもある。

この状況についても、小泉氏は会見で「国会改革は負け癖(実現しない)が染みついている。それを壊すには成功体験が必要だ」と強調した。小泉氏が一連の国会改革実現を、あえて「平成のうちに」としたのも、「形にするには期限を切るのが一番効果的」との理由からだ。会見でも「国会改革は確実に前進している、野球と同じで9回2死からの大逆転で平成のうちに実現できる」と言い切った。

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