必要悪?「男らしさ」が猛威を振るう深いワケ 出世する人まで「粗暴になる」という悲劇

✎ 1〜 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 最新
拡大
縮小
「男らしさ」をめぐる問題は複雑です(写真:Gearstd/iStock)
女性の育児や仕事など、女性の問題ばかりが取り上げられるこのご時世。しかし、男だって「男ならでは」の問題を抱えて生きづらさを感じています。男が悩むのは“女々しい”!? そんなことはありません。男性学研究の精鋭、田中俊之先生がお答えします。

※田中先生へのお悩み相談はこちらの投稿フォームへ

最近、スポーツ界のパワハラ問題がよくクローズアップされています。体育会系の社会はいわゆる「男らしい」社会なので、「男らしい」振る舞いの人が上へ行きやすい構造があるのかもしれない、と思って見ています。
一方で、権力を持った男性が必ずしも「男らしい」振る舞いをするかというとそうではありませんよね? メディアなどでお見掛けする一般企業の社長さんなどは、比較的温和なイメージです。それは「男らしく」振る舞うアドバンテージのない業界だから、というのもあるかもしれませんが、社会的に成功していることで「男らしさ」の承認欲求がすでに満たされているからではないか、とわたしは思います。
連日ニュースでお見掛けする、とあるパワハラ問題のスポーツ関係者の方は非常に「男らしく」振る舞う方でした。わたしは男性的な権力欲が満たされた男性は、男性性にこだわらなくてもよくなるのではないか、と思っていたので非常に不思議でした。
男性性を一般化できないことは重々承知していますが、「男らしさ」を手に入れた男性が「男らしく」振る舞う意味ってなんなんでしょうか? 男性学的な知見から、ご意見を聞きたいです。
スポ根とらしさ

男性が「男らしさ」を証明する方法

まずは落ち着いてください。

この連載の一覧はコチラ。※読者の皆様から田中先生へのお悩みを募集します。「男であることがしんどい!」「”男は○○であるべし”と言われているけれど、どうして?」というお悩み・疑問がある方はこちら

連日、メディアをにぎわせているスポーツ界のパワハラ、そして、#me tooをきっかけに改めて世間の注目を集めたセクハラといった問題は、被害者が男性であれ女性であれ、例外はあるにせよ多くの場合、加害者は男性です。

権力を持つ男性の言葉や行動に対して厳しい視線が送られる今日、どうして男性がこうした振る舞いをするのかを考えるために、「男らしさ」に目を向けることには大きな意義があると言えるでしょう。

男性学の知見によれば、男性が「男らしさ」を証明する方法は、「達成」と「逸脱」、この2つです。

達成とは、一流企業への就職や有名大学の合格など、社会的に認められた価値を実現することです。逸脱とは、たとえば中高年の男性でよくあるケースとしては、残業や連続勤務、あるいは不健康自慢のように、一般から外れた行為をするによって自分のすごさを誇示しようとすることです。

次ページ達成は競争に勝つことでしか手に入れられない
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT