あの人が「際限のない残業」を強いられた理由

「幹部登用あり」の甘い言葉に騙されるな

求人票の甘い言葉につられると、痛い目を見ます(写真:xiangtao / PIXTA)
何があっても残業代を出したくない―――そんなひどい性根を隠しながら、社員をコキ使おうと企む企業が、求人票に撒くエサがある。それが“幹部候補”“店長候補”“裁量労働”という魅惑的な言葉。しかし!釣られて入ると恐ろしい現実が待ち受けているのです。
前回「「正社員で採用します」とだます会社の悪行」に続けて、「求人サギ」の第三、第四の手口を見ていこう。

 

■手口3「幹部登用あり」——「管理監督者」「裁量労働制」等々

新入社員なのに幹部候補生?甘い待遇にはウラが

第三の手口は、求人で「幹部登用あり」などと煽(あお)り、残業代などを違法に払わないというケースだ。第一のケースでは給与の計算方法をごまかしていたが、こちらの手口は入社後によい待遇に「昇進」できることを錯覚させる。だが、これは「昇進」どころか入社後すぐに「奴隷化」するための恐ろしい罠なのである。

大学院を卒業し、大手鉄道会社に就職したAさん。この会社では新卒の採用形態が総合職と一般職の2つあり、総合職の方が「ポテンシャル採用」と名付けられていた。そしてこの「ポテンシャル採用」は“幹部候補生”として会社に迎え入れられることになっていた。そんな立場に誇りを持ちながら、4月からAさんは幹部を目指して働き始めたのだが、実はこの会社ではもうひとつ決まりがあった。“幹部候補生”は仕事を「自分の時間で取り組むこと」とされており、残業代が一切つけられなかったのだった。簡単にできる業務であれば、それくらいは構わないと思っていたAさんだったが、ふりかかってくる仕事はとても簡単にできるものでなく、上司からも異常なプレッシャーが与えられていた。1日の実質労働時間は7:00~23:00、始発で出勤して終電で帰ってくる日々で睡眠時間は平均で3~4時間だった。明らかにおかしいと感じていたものの、会社全体が「お前はポテンシャル採用なんだからやれ」という雰囲気で仕事を断ることができなかった。

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