北陸新幹線「小浜ルート」と原発の意外な関係 「大阪延長」で議論が複雑化、カギ握る福井県

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金沢駅に停車する北陸新幹線。福井県では新幹線開業の賑わいから取り残されていることへの焦りがある(撮影:尾形文繋)

北陸新幹線長野~金沢間が開業してから9カ月が経った。空前の北陸観光ブームが起きて、輸送人員は在来線特急時代の3倍となり、ホテル・旅館も高稼働率を記録している。

残るは金沢~敦賀~大阪間。特に、敦賀~大阪間の大阪延長ルートの扱いが大きな問題となっている。敦賀から福井県小浜市付近経由で新大阪駅へ向かう「小浜ルート(若狭ルート)」、琵琶湖西岸沿いに京都駅に至る「湖西ルート」、米原駅で東海道新幹線と接続する「米原ルート」が有力視されてきた。

2015年8月、与党の検討委員会が「2年以内に3案を絞り込み、結論を出す」と言い出し、政治家や沿線自治体が色めき立ち始めた。さらに、JR西日本が9月に小浜経由で京都駅へ向かう第4の「小浜・京都市ルート」を提案したことで、事態は複雑になっている。

新幹線延長へのこだわり

鍵となるのは、福井県の動きだ。県選出の稲田朋美自民党政調会長(与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム座長)らとともに国や与党へ活発に働きかけ、金沢~敦賀間の開業時期は2025年度末から2022年度末に前倒しされた。ただ、スケジュール的に無理な金沢~福井間の2020年度先行開業をゴリ押しして、関係者を当惑させる一幕もあった。露骨な利益誘導に「我田引鉄」と揶揄するメディアもある。

大阪延長ルートについては、福井県西部の嶺南地域(敦賀市や若狭地方など)を経由する「小浜ルート」を福井県は要望している。1973年の整備計画で「小浜市付近」とされたことがその根拠だ。そうした県の北陸新幹線へのこだわりは何に起因するのか。そもそも、40年前、なぜ「小浜ルート」が採用されたのだろうか。

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