これまでの経過を振り返ると、高市政権発足後、旧安倍派の“裏金議員”たちが次々と復権した。高市首相は「党の役職停止1年処分」となった萩生田光一氏を幹事長代行に抜擢、「1年の党員資格停止処分」を受けた西村康稔氏も今年2月に選対委員長に起用した。世耕氏についても「復党すればいずれ官邸入りし、内閣官房長官か衆院側の官房副長官に就任する」との臆測が飛び交っていた。
ただ、現状を見る限り、自民党執行部内では世耕氏の早期復党に対して慎重論が少なくない。「『自民党はやはり裏金政党』とのレッテルが貼られかねない」ことへの懸念に加えて、「世耕氏復党で党内の権力闘争が拡大する」といった声も相次ぐ。
ささやかれる「2つの権力争い」の影響
世耕氏復党をめぐっては「地元での“紀州戦争”と、浅尾党紀委員長の地元である神奈川県連の『アンチ世耕』の動きが影響している」(政治ジャーナリスト)との指摘もある。
自民党和歌山県連は今年6月の拡大委員会で、参加者約100人に対して、世耕氏復党をめぐる意識調査を無記名で実施。「賛成」「容認」「反対」「時期尚早」「党本部に一任」の5つの選択肢に自由記述を加えて、党本部に提出している。
これについて、同県連の石田真敏会長は「どちらかというと『容認』が多かった」としているが、浅尾委員長は「県連からの文章は『賛成多数』と記されているのみで、『ぜひ(復党を)お願いしたい』といった内容は付されていなかった」と慎重な姿勢を崩さなかった。
その背景にあるとされるのが、和歌山県連内における世耕氏と鶴保庸介元内閣府特命担当相による“新・紀州戦争”だ。鶴保氏は二階氏の側近で、世耕氏と二階氏の“紀州戦争”を引き継ぐ形で対立している。
鶴保氏は昨年7月の参院選の選挙活動で「運のいいことに能登で地震があった」と発言して大炎上。その影響もあって、和歌山選挙区では、世耕氏が推す望月良男前有田市長が当選し、鶴保氏が応援した二階氏の三男・伸康氏は落選した。地元では世耕氏が優勢だが、自民党内では依然として世耕批判が根強いのが実態だ。
さらに、浅尾氏は自身が所属する自民党神奈川県連の菅義偉元首相や河野太郎元外相と親しい関係にある。もともと菅・河野両氏は高市首相には批判的で、とくに河野氏は消費税減税に真っ向から反対を唱えており、「それも浅尾氏の慎重姿勢を後押ししている」(関係者)とみられている。
こうした複雑な党内状況から「党紀委のメンバーを一新しても、世耕氏復党への反発はなくならず、決着には時間がかかる」(自民党長老)との声が広がっている。


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