この数字だけを見れば、運賃収入によって大きな利益を生み出す路線とは言いにくい。
岡山電気軌道を傘下に置く両備グループの小嶋光信CEOも、ハレノワ線について、単独路線としての採算性ではなく、中心市街地の活性化として岡山駅から表町やハレノワまでをつなぐ「都心回遊ネットワーク」として評価する必要があると指摘する。
その考え方のベースとなるのが、公設民営という仕組みだ。
ハレノワ線は、国と岡山市がインフラ整備を担い、岡山電気軌道が運行を担う「みなし上下分離」によって整備する方向となっている。
公共交通の整備費用を運賃収入だけで回収するのではなく、商業、観光、居住など街全体にもたらす便益まで含めて、その価値を考える。公共交通を維持・活用するうえで、こうした考え方は今後ますます重要になってくる。
30年越しの構想、駅と都心をどうつなぐか
岡山では30年以上前から、路面電車を都心の回遊に生かす構想が描かれてきた。一方で、その間に広島や富山、高知などでは路面電車が駅に直接乗り入れ、駅と街を結ぶ交通基盤が整備されてきた。2025年には広島電鉄も広島駅の2階に乗り入れ、岡山に先行する形で駅と路面電車の接続を実現している。
岡山駅への乗り入れによって、駅と路面電車の接続は新たな段階を迎える。さらに、ハレノワ線を含む延伸・環状化によって、実際の人流や商業、観光の活性化にどこまで結びつくのか。駅前広場への乗り入れはゴールではなく、岡山市のまちづくりが次の段階へ進む出発点となる。

