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AI時代の競争力を左右するインフラ戦略とは――進化しながら企業の成長を支え続ける、KDDIの「AccelWaves構想」

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KDDIが始動させた「AccelWaves構想」とは。執行役員の荒井克彦氏に聞いた
  • KDDI 制作:東洋経済ブランドスタジオ
現在、AIの実装は経営の重要課題だ。しかし、AI実装を現場で支えるIT部門は、システム運用やセキュリティ対策などの日常業務に追われて疲弊しているケースが少なくない。その根底には、長年にわたり必要に迫られて機能を追加し、複雑にサイロ化されてしまったネットワークという見過ごされがちな要因がある。そこでKDDIは2026年9月、AI前提社会に対応する新たな事業基盤の実現に向けて「AccelWaves構想」を始動させた。今後、通信量の爆発的な増加や接続環境の多様化が進む中、従来型の通信インフラでは企業の成長を支え続けることが難しくなりつつある。「AccelWaves構想」は、こうした課題にどう応えるのか。KDDI 執行役員の荒井克彦氏に詳しく聞いた。

AI実装と事業成長を阻む、「見えないインフラ課題」の正体

「今、企業のIT部門には非常に大きな業務負荷がかかっています」。多くの企業がAI活用やセキュリティ強化を経営課題として掲げる中、その実現を支える現場では何が起きているのか。KDDI執行役員の荒井克彦氏は次のように話す。

「IT部門の業務は多岐にわたります。中でも、ネットワークの監視や障害対応、複数のベンダー調整、セキュリティ対応といった運用・管理業務に多くの時間を取られているのが実情です。そのため、本来取り組みたい新たなテーマに時間が割けないという声を多くのお客さまから伺っています」

KDDI株式会社
執行役員 ビジネスコア事業本部 副事業本部長
荒井 克彦氏

なぜそうなってしまうのか。長年にわたり多くの顧客の声を聞く中で、どの業種でも共通して「人材不足」「運用負荷の増大」「複雑化するIT基盤への対応」が課題になっていることが見えてきたという。

「現在、多くの企業がAI実装とセキュリティ対策を重要な経営課題に位置づけています。しかし、そうした状況に置かれたIT部門が、これら『攻め』と『守り』の取り組みを同時に行うのは簡単ではありません」

しかも、AIの活用が進んでいく今後、通信量は加速度的に増え、接続先も多様化する。守るべきデータや業務プロセスが広がることで、ガバナンスリスクも高まるだろう。このまま既存の運用モデルを続ければ、人材不足の中でネットワークやセキュリティの運用負荷はさらに増大し、いずれ運用が立ち行かなくなる企業も出てくる可能性がある。

従来型インフラを、企業成長を支える基盤へ転換する「AccelWaves構想」

IT部門を疲弊させる「人材不足」「運用負荷の増大」「複雑化するIT基盤への対応」の課題は、なぜ生じたのか。荒井氏は、過去の「足し算の解決策」が根本的な原因だと指摘する。

「過去十数年、クラウド化やテレワークの普及、サイバー脅威への対応といった新たな課題が出てくるたびに、企業はITインフラへ新たな回線や機器・機能を追加してきました。その結果、ネットワークやセキュリティは複雑にサイロ化し、運用・監視対象が増加しています」

そうなると、運用負荷が重くなるだけでなく、トラブル発生時の原因特定に時間がかかり、業務停止リスクも高まる。加えて、ネットワークとセキュリティでは必要なスキルセットが異なるため、十分な組織体制を構築するのも容易ではない。こうした「個別最適を積み重ねてきたインフラ」は今や限界を迎えていると荒井氏は強調する。

「人材不足の中、既存インフラに機能や機器を足し続けるアプローチでは、いずれ運用が立ち行かなくなります。これは、お客さまからの声だけでなく、私たち自身も『AI前提社会』を見据えた取り組みを進める中で痛感してきたことです。

『個別最適を積み重ねてきたインフラ』が生まれた責任の一端は、私たち提供者側にもあります。お客さまの個別課題に対し、都度必要なものを足す形で解決策を提案してきたからです。だからこそ、長年にわたりお客さまと向き合う中で見えてきた本質的な課題に対し、私たちはどう応えるべきか。その答えを求めて、模索を続けました。

その中で見えてきたのは、企業がAI活用を進めていくうえで、複雑化するネットワークや高度化するセキュリティ脅威への対応に追われず、より事業成長につながる取り組みに集中できる環境や仕組みの必要性です。そしてたどり着いたのが、『ネットワーク自らが考え、対処するインフラ』という考え方でした」

この考え方を基に練り上げたのが、「AccelWaves構想」である。特筆すべきは、提供者目線ではなく、顧客の声を起点として生まれたことだ。第1弾の機能としてリリースした「SASEゲートウェイpowered by Palo Alto Networks」は、すでに複数の企業が導入を決めている。

「例えば、製造業のお客さまからは、『工場などに残るレガシーの閉域網と最先端のゼロトラスト環境を、いかに安全かつ運用負荷なく共存させるか』というお悩みをよく聞きます。ネットワークとセキュリティを一元管理し、複雑さを基盤側で吸収する『AccelWaves構想』であれば、そうしたハイブリッドな環境でもネットワークとセキュリティを統合管理できるとリリース直後ながら非常に多くの期待の声をいただいています」

「3つの自律機能」がAI時代の事業スピードとレジリエンスを支える

「AccelWaves構想」は、多様なアクセス回線からセキュリティ、トータル運用までITインフラ全体をワンストップでカバーする基盤を目指している。

特長は、「オートフィット」「オートレスポンス」「オートオペレーション」という3つの機能だ。

「オートフィット」は、通信状況をリアルタイムで判別し、AIによって増大する通信に対して、帯域や経路を自動調整。AI実装によって増加する通信量に対応し、通信の遅延を防ぐことで、AIを活用した事業や業務の安定的な展開を支える。

「オートレスポンス」は、異常に対して自律的に対処を行う。一例として、セキュリティ脅威を検知するだけでなく、一定の条件に従って隔離を行う。人の判断を待たずに対応するため、被害の拡大を抑え、事業停止リスクを低減できる。

そして「オートオペレーション」は、AIを活用してインフラの運用管理を一元化・自動化する。1つの管理画面でネットワーク・セキュリティ・運用状況を可視化することで、日々の運用業務を省力化し、管理負荷と運用工数を削減できるという。

「ITインフラは、構築したら終わりではありません。適切な設定、脅威の検知・隔離、継続的な運用というサイクルを常に回し続けることが重要です。このうちどこかに手作業が残っても『AccelWaves構想』の真価は発揮できませんので、全プロセスを網羅的に自動化できるように、3つの機能を設計しました」

KDDIは、この構想に基づき、2028年度中には新たなネットワークサービスである「KDDI AccelWaves Network」の提供を開始する計画を立てている。提供後も顧客の声や事業環境の変化を反映しながら、継続的に進化させていく考えだ。

そのうえで荒井氏は次のように語る。

「私たちは、『AccelWaves構想』に2つの考え方で取り組んでいます。1つ目は、シンプルかつ柔軟性と安全性の高いインフラであることです。ビジネスを止めることのないように、サイロ化されたインフラを1つに統合しつつ、高度なセキュリティを組み込んでいます。

2つ目は、限られた人材に依存せず、持続的に運用できるインフラであることです。どんなに技術が優れていても、運用が煩雑だと『守り』の業務負荷が重くなってしまいます。そこで私たちはAIなどの先進技術を活用して自律制御の質を高め、特定の人材や高度な専門性だけに依存しない、持続可能な運用管理を目指しています」

「人に依存しない」というのは、人を排除してAIなどのシステムに全てを任せるという意味ではない。荒井氏は、「人がやらなくていい業務を自動化し、意思決定など人が本来の能力を発揮すべき仕事に集中できる環境を提供したい」と語る。

「『AccelWaves構想』は、お客さまの貴重なIT人材をより事業成長につながる領域へ振り向けるとともに、運用・管理の効率化によって生まれた時間やコストを、新たな価値創出に活用できる有効な打ち手になるはずです。AI実装や事業創造など、『攻め』にシフトすることが、企業の競争力を左右すると思いますし、そうした環境を整えることが、私たちKDDIの最大の提供価値だと考えています」

経営の観点でも、IT部門の運用負荷を軽減することは、非常時の対応の迅速化や事業継続性の向上に寄与する。人材不足や事業環境の変化にも左右されにくい、持続可能性の高いITインフラの実現にもつながるだろう。「そうやって一社一社を支えることで、日本全体の産業競争力向上にも貢献していきたい」と荒井氏は力を込める。

「先の読めない困難な時代に求められるのは、成長の波を生み出し続ける事業基盤です。AI実装はその一手であり、今後はそれを継続的な成果へと結びつけられるかが問われるようになるでしょう。私たちKDDIは、時代の変化に合わせ、自律的に、効率的に、そして安全な“カタチ”に変化し続けるネットワークインフラの提供を通じて、お客さまの挑戦を支えるパートナーとして進化し続けたい、そう考えています」

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