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毎月続く検針・請求業務をゼロにする仕組み。下北沢の駅前商業ビルが選んだ電気管理改革

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日本テクノの座間聖司氏とシモキタフロントの柏雅弘氏
ビルオーナーを電気の雑務から解放する
シモキタフロントの柏雅弘氏(左)と日本テクノの座間聖司氏(右)
  • 日本テクノ 制作:東洋経済ブランドスタジオ
高圧一括受電を採用するテナントビルでは、オーナーによる毎月の検針や電気料金計算、請求書の発行が大きな負担となりやすい。こうした課題を電気料金自動検針システム「ECO-TENANT(エコテナント)」で解決し、「電気料金に関しては、まったく考えなくなった」と語るのは、東京・下北沢の商業ビル「シモキタフロント」のオーナー、柏雅弘氏だ。同ビルが実践する、スマートなビル運営の仕組みに迫る。

自動検針で請求、立て替えの負担を解消

テナントビルや商業施設では、建物全体の電気をまとめて契約する「高圧一括受電」が一般的だ。しかし、電力会社が計測するのは建物全体の使用電力量のみで、各テナントへの電気料金の請求は、テナントごとに設置した個別メーター(子メーター)をオーナーが検針して計算しなければならない。

「オーナーには、各区画の検針、電気料金計算、請求書の発行、時には未払い金の回収といった事務作業が発生します。また、テナントからの入金より先に電力会社への支払いが必要な場合は、電気料金を一時的に立て替えなければなりません。こうした業務を毎月繰り返すのは、想像以上の負担になります」

そう話すのは、電気料金自動検針システム「ECO‐TENANT」を提供する日本テクノの座間聖司氏だ。同サービスは、高圧受変電設備を備えた建物を対象に、テナントごとの検針から電気料金計算、請求、回収、電力会社への支払いまでの一連の業務を代行する。

仕組みはシンプルだ。各テナントの子メーターをスマートメーターに交換し、使用電力量を遠隔で自動検針する。その電力データを基に、基本料金や燃料費調整額などを反映したテナントごとの明細が作成される。

「決められた料金計算方法で電気料金を算出するので、電気の使い方が異なるテナントが混在していても、請求根拠を明確にできます。また、電力会社への支払いも日本テクノが代行するため、オーナーは実質的に電気料金関連の業務から解放されます」(座間氏)

竣工直前の決断がビル運営の形を変えた

この仕組みは、日本テクノが電気設備の保安管理業務を請け負う中で、検針作業をよりよくしようと試行錯誤する過程で生まれた。かつては点検を担当する技術者が毎月メーターを目視で確認し、用紙に手書きで転記していた。

「人が読み取り、書き写す方法では、読み間違いや転記ミスを完全にはなくせません。そこで、数値を自動で取得する仕組みにしようと考えたのが出発点です。コロナ禍には、オーナーが室内へ入れないケースもあったと聞きましたが、『ECO‐TENANT』を導入したビルでは、立ち入りをせずに業務を続けられました」(座間氏)

この利便性を評価し、ビルの竣工と同時に導入したのが、東京・下北沢駅の目の前にある商業ビル「シモキタフロント」のオーナー、柏雅弘氏だ。2019年に竣工した「シモキタフロント」は、現在12区画に11のテナントが入居する。

シモキタフロント

以前、柏氏は同じ場所で、1964年に建てられた小規模なテナントビルを保有していた。「シモキタフロント」への建て替えの前は、管理会社が検針と電気料金の計算をし、報告を受けた柏氏が各テナントに電気料金の請求書を送付していた。柏氏は、その方法に違和感を覚えていたという。

「デジタル化の時代に、アナログな管理を続けるのは非効率だと思っていました。建て替え後はテナント数も増えるため、外部に任せられる業務はすべてアウトソーシングし、極力少ない人数で運営する方針でした。しかし、電気料金管理の解決策を見つけられないまま、ひとまず従来型のメーターを設置せざるをえませんでした」

転機は竣工直前に訪れた。偶然、工事中の看板を確認していた日本テクノの営業担当者へ柏氏が声をかけ、「ECO‐TENANT」の説明を聞いたという。

「話を聞いて、まさに求めていたサービスだと思いました」(柏氏)

しかし、ネックがあった。建物にはすでに新品のメーターが設置されており、「ECO‐TENANT」を導入するにはスマートメーターへ交換する必要があった。当然、追加の費用が発生する。それでも柏氏は導入を決意したという。

「長期的な視点でみれば、それほど大きな金額ではないと思いました。各テナントの電力データが自動取得され、日本テクノからテナントに請求してもらっているので、導入後は、電気に関する業務は完全に手離れしました。相当な決断でしたが理想の形をつくれたと思います。持続可能なビル運営を目指していくうえでも、デジタル化できる部分はさらに移行していきたいと考えています」

「メーターの期限」という法的リスク

検針や請求の業務は、毎月の負担を認識しやすい。一方、オーナーが見落としやすいのが、子メーターの期限管理だ。座間氏によれば、期限が切れたまま使われているケースもあるという。

「計量法に基づく有効期限を過ぎた子メーターを電気料金の算定に使い続けると法令違反になります。子メーターには有効期限を示す表示がありますが、そこまで確認できていないオーナーがほとんどではないでしょうか。電力会社は子メーターの管理には基本的に関与しませんので、オーナー側で確認しなければならない部分です」

メーターの交換時期の管理がオーナー個人の記憶や経験に委ねられている状態は、リスクが残る。こうした課題に対し、「ECO‐TENANT」では、設置したメーターを設備台帳で一元管理し、交換時期が近づくと案内している。そのため、オーナーが個別に期限を確認する必要はない。

このような管理の自動化にとどまらず、「ECO‐TENANT」では次の一手として日々の運用をよりスマートにするためのアップデートも見据えている。

「今後は、請求書の受け取りや保管までオンラインで完結できるようにするなど、ペーパーレス化も進めていきたいと考えています。オーナーだけでなく、テナントの皆様にとっても、よりスマートで利便性の高いサービスにしていきたいです」(座間氏)

毎月の検針や請求は、1回ごとに見れば小さな仕事かもしれない。しかし、積み重なれば、オーナーの時間を奪う大きな運営コストとなる。

「シモキタフロント」の事例が示すように、日々の負担をそぎ落とし、経営の本質にリソースを集中させることが、これからのビル運営に求められるのではないだろうか。

>「ECO‐TENANT」についてくわしくはこちら