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金投資はこれから始めても遅くない?なぜ各国の中央銀行は金を保有し続ける?専門家にとことん聞いてみた

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ジャーナリストの國貞文隆氏(左)とゴールド・ストラテジストのアーロン・チャン氏(右)
  • ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント 制作:東洋経済ブランドスタジオ
激動する世界経済の中で、改めて金への投資が注目を集めている。とはいえ「どう買えばいいのか?」「今から買っても遅くないのか?」といった「ギモン」を持っている人は少なくないだろう。そこで米ボストンに本社を置く運用会社、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのゴールド・ストラテジスト、アーロン・チャン氏に、ジャーナリストの國貞文隆氏が金投資に関する「6つのギモン」を聞いた。

ギモン① 金って“守り”の資産じゃないんですか? 

國貞 金は不況時に買う「守りの資産」というイメージがありますが、最近は景気が良いときも価格が上がっているように見えます。

ジャーナリスト  國貞文隆氏

チャン 確かに株式が大きく下落する局面で、安全資産として買われる傾向はあります。ただ過去55年間のデータを見ると、金価格は長期的に上昇してきました。理由は世界の経済成長です。

経済が成長すれば、それを支える通貨の供給量も増える。通貨供給量の増加ペースが、実質経済成長率を持続的に上回れば、インフレ圧力が高まり、通貨の価値は目減りしていく。裏を返せば、通貨に対して金の価格は上がりやすいのです。 

ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント ゴールド・ストラテジスト
アーロン・チャン氏

しかも通貨はいくらでも発行できますが、金はそうではありません。限りある資産です。長期投資において守りと攻めを兼ね備えている点が、金の特徴だと考えています。 

ギモン② 金投資って、金を買いに行かなきゃダメなんですか?

國貞 金投資というと、店舗で金の延べ棒やインゴットを買うイメージがあり、その点でハードルが高いと感じます。

チャン 個人の方の選択肢は基本的に金の現物か金融商品で、金融商品にはETF(上場投資信託)と投資信託があります。現物は製造や流通のコストが乗るため割高で、今は1グラム約2万2800円(出所:Bloomberg 2026年8月31日現在)。少額から始めにくく、保管の手間とコストもかかります。

一方、ETFは証券口座があれば株式と同じように売買でき、信託報酬も比較的低く、NISAの成長投資枠の対象も多いです。

投資信託は一般的に、ETFより信託報酬が少し高くなる傾向があります。実は投資信託の中身を見るとETFの場合もあります。証券口座を持つ投資家なら、ETFのほうがコストを抑えられる傾向があります。

なお、当社は2004年11月に、アメリカで初めて金の現物を裏付けとするETFを設定した運用会社で、世界最大の金ETF※になっています。

※ ブルームバーグ・ファイナンスL.P., 2026年8月31日時点

ギモン③ 配当もないのに、金は資産形成に向いているんですか?

國貞 株には配当、債券には利子がありますが、金は何も生み出しません。

チャン 利息を生まないのは事実です。金には発行体がなく、誰かの借金でもないからです。金は存在そのものに価値があり、保有し続けても長期のリターンが損なわれるわけではありません。

2000年以降、S&P500単体と、S&P500と金に50%ずつ投資した場合をシミュレーションすると、後者のほうが累積リターンは良く、リーマンショックのような局面での最大下落率が抑制されていました。

インフレ率が高いときは株と債券が一緒に弱くなることがありますが、金に分散投資しておくとポートフォリオが安定する傾向がありました。金は一発で大儲けする資産ではなく、長期的な資産形成において「増やす」と「守る」を両立させる重要なパーツだとお考えください。

ギモン④ なぜ各国の中央銀行は金を保有し続けているんですか? 

國貞 世界の中央銀行がものすごい勢いで金を買っていると聞きます。金融のプロである彼らが、なぜ金を積極的に買うのでしょうか。

チャン 1971年まで金本位制があり、欧米諸国はもともと大量の金準備を保有していますが、2000年以降は増やしも減らしもしていません。近年増やしているのは主に新興国です。

世界の中央銀行の総額でみると、2010年から2025年まで16年連続で買い越し、特に2022年から2024年は3年連続で年間1000トンを超えました。

きっかけは2022年のロシア・ウクライナ戦争です。ロシアのドル資産が凍結され、制裁を受ければドルが使えなくなるリスクが意識されたのです。

中央銀行は投資家のように短期の利益は狙っておらず、国家の戦略的な理由で金の保有をしています。

金の世界組織であるワールド ゴールド カウンシルの調査では、回答した中央銀行の84%が、5年後には世界の準備資産に占める金の比率が現在より高まり、74%が米ドルの比率は低下すると予想しています。中央銀行は引き続き、構造的な買い手になる可能性が大きいと考えています。

ギモン⑤ 金利が上がったら、金価格は下がるんじゃないんですか?

國貞 「金利が上がると金利がつかない金は売られる」といわれていましたが、アメリカが2000年代初頭以来の高水準となる高金利を維持した2024年、金は当時の最高値を更新しました。これはなぜですか。

チャン 市場は今の金利水準だけでなく、将来の水準を見ています。2023年後半から2024年にかけては利下げ期待が高まり、それが金価格の上昇につながりました。

加えて中央銀行の大規模な購入や、中国やインドの現物需要も利いています。長期的には政府債務、特にアメリカの財政悪化もあります。アメリカの債務は40兆ドルまで膨らみ、利払いだけで1兆ドル。通貨の価値が下がれば、金のように価値を保全できる資産の需要はさらに高まると思います。

ギモン⑥ 金ETFはどれを買っても同じですか? 

國貞 金ETFは種類がいくつもあって迷います。何を確認すればよいでしょうか。

チャン まず現物の裏付けがあるETFをお勧めしています。金ETFは金価格に連動するよう設計されており、運用者の腕でリターンが変わる商品ではないのでコストの差がそのまま利いてきます。加えて、LBMA金価格のような国際的なベンチマークの採用や、運用資産の規模、流動性も確認していただきたいですね。

國貞 ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントには、どのような商品がありますか。

チャン アメリカでは「SPDRゴールド・シェア(GLD)」と「SPDRゴールド・ミニシェアーズ(GLDM)」というETFがあり、GLDは運用資産残高が約24.5兆円で世界一※になっています。

※ブルームバーグ・ファイナンスL.P., 2026年8月28日時点

もちろん東証に上場している円建てETFもあります。「ステート・ストリート・スパイダー ゴールドETF」で、為替ヘッジなしの447A、為替ヘッジありの448Aの2本があり、両方とも信託報酬は0.177%と低コストで、NISA成長投資枠に対応しています。

ETF投資が難しい方には、投資信託の選択肢があり、当社では「ステート・ストリート・ゴールド・オープン」を設定しています。信託報酬は0.2925%で、さまざまな金投資信託がある中で最安水準の1つです。

國貞 最後に、読者へメッセージをお願いします。

チャン 長期の資産形成では、増やすだけでなく守りも必要になります。その意味で、金はポートフォリオの一部として組み入れるメリットがあります。一般的な目安は10%程度ですが、最初からそこを目指す必要はありません。

NISAを使いながらコツコツ積み立て、少しずつ増やしていくのがよいでしょう。興味のある方は、まずは無理のない範囲で買ってみると、感覚がつかめると思います。

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