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「土地のみ」を切り出すCRE戦略の新基軸「資本コストを意識した経営」に効果的な「JINUSHIリースバック」とは

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左から西羅 曜旦 氏、楠木 建 氏
「土地のみを売却する」という新たな手法に迫る
  • 地主 制作:東洋経済ブランドスタジオ
CRE(企業不動産)戦略が転換期を迎えている。2023年の東証改革「資本コストや株価を意識した経営」を背景に、上場企業が所有する不動産を売却する動きが加速している。そうした中、「土地のみを売却する」という新たな手法を活用する企業が増加しているという。この手法を積極的に提案し実現しているのが、2000年創業で東証プライム市場上場の地主株式会社だ。建物は企業が引き続き継続所有し、土地のみを売却する同社の「JINUSHIリースバック」が多数の企業に選ばれている理由は何か。競争戦略論を専門とする一橋ビジネススクール特任教授の楠木建氏と、同社代表取締役社長の西羅曜旦氏が語り合った。

累計90件超、約1600億円の実績「JINUSHIリースバック」

――昨今、上場企業を中心に、土地のみを売却する動きが活発化していると伺いました。地主株式会社は「JINUSHIリースバック」というサービス名称で展開し、多数の実績を積み重ねていますが、需要が増加している背景をどのように捉えていますか。

地主株式会社 代表取締役社長
西羅 曜旦

西羅 大きな要因として挙げられるのは東証改革です。2023年に「資本コストや株価を意識した経営」が上場企業に要請されてから、経営者は資本効率を向上させるための打ち手を模索しています。加えて「物言う株主」ともいわれるアクティビストによる、資本効率改善を求める提言が増加していることも、その流れを加速させています。

そこで注目を集めているのが、不動産の有効活用、CRE(企業不動産)戦略です。不動産を売って、借り直すセール&リースバックは、以前から使われてきた手法ですが、建物まで売却すると事業活動の自由度が損なわれる、売却手続きに手間がかかるといった懸念から、近年では、建物を所有したまま土地のみを売却し、事業を継続する企業が増えています。

当社は、自ら建物は建てず、土地のみに投資をして地主に徹する「JINUSHIビジネス」を創業から25年以上続けてきました。土地と建物を一体として所有している企業に対しては、土地のみを売却いただくと同時に、その土地を当社から借りていただく「JINUSHIリースバック」を提案させていただいており、実績は、直近の2年半で約2.5倍にまで増加し、累計90件超・総額約1600億円に上ります。

――企業がCRE戦略を見直し、所有不動産を積極的に手放す動きについて、楠木先生はどのようにお考えですか。

楠木 私は競争戦略が専門で、よく助言を求められます。10年くらい前までは大半が事業会社からのご相談でしたが、最近は投資家の割合が増えました。日本の上場企業に対する投資家の注目度が上がっていると感じます。

そうした投資家の中にアクティビストがいます。さまざまな評価がされていますが、アクティビストの影響で資本効率への意識が高まったことは事実です。そして、より広範な投資家からも注目されることで、資本市場からの規律が日本の上場企業にかかり、しかもその規律の質は、今後さらに良くなっていくというのが私の見立てです。

ただし、経営の成果指標はあくまでも長期利益です。経営者が経営の質を上げるには、事業の収益性を高めて長期的に利益を獲得するしかありません。株価も、長期利益を出していればおのずと上がります。ですから、資本効率を高めることは重要ですが、単にCRE戦略といって、資産を売却するだけではなく、長期利益を大きくする手段の1つとして、バランスシートの最適化を図るべきです。

この観点で見ると、資本効率を高めるために不動産を売却する場合、例えば工場を建物含め丸ごと売ると、稼ぐ母体である事業の継続性や運営の自由度が失われます。単純に資産をキャッシュに変えただけでは、長期利益を獲得できないわけです。しかし、土地のみを切り出してキャッシュに変えれば、事業が継続できるだけでなく、成長投資に回すことができます。土地のみをセール&リースバックする「JINUSHIリースバック」は、長期利益を獲得するうえで大きな意味があると思います。

10兆円規模の底地マーケット、土地のみ売却が主流に

――「JINUSHIリースバック」のような手法は以前からあったのでしょうか。不動産は、建物と土地をセットで取り扱うものと認識している人も多いように思います。

西羅 まさに、「土地と建物はセット」というのが不動産の常識で、土地のみを切り出すという発想はなかったのではないでしょうか。しかし、1992年に借地借家法の改正により設けられた定期借地権を活用した「JINUSHIビジネス」によって、当社は、底地(借地権の付着した土地所有権)のマーケットを創出し、拡大させてきました。

その市場規模は、この25年で約10兆円にまで拡大しています。市場が形成されたことで、底地の価値が上昇するとともに流動性が高まり、従来は一般的ではなかった「土地のみの売却」が可能となりました。

楠木先生が指摘されたように、きっちりと事業を展開して利益を出し続けている企業ほど、「固定資産である土地は要らないが、建物や施設は経営の自由度を確保するために保有し続けたい」という考えを持っています。

一橋ビジネススクール 特任教授
楠木 建

楠木 底地という存在には、土地と建物をセットで考える人が見落としているメリットがたくさんありますね。まず、不動産は取引に時間がかかるイメージがありますが、土地のみだから取引スピードが単純に速い。

西羅 おっしゃるとおりです。建物も売却しようとすると、デューデリジェンス(資産価値や権利関係、リスクの精査)対応のために多くの複雑な手続きが必要ですが、土地のみを売却する場合、境界の確認等を行う程度で済みます。建物をそのまま活用すれば、事業運営環境の変化もなく、改装や設備投資も自由にできます。建物の減価償却による税務メリットも得られますし、使途制限のない資金調達ができ、売却益の計上によって財務状況の改善も図ることができます。

* 一般財団法人日本不動産研究所による予測

多様なCRE戦略に対応、PEファンドとも連携

――「JINUSHIリースバック」の具体的な事例を教えてください。

西羅 例えば、石油や化学薬品などを貯蔵するタンクターミナルの事例があります。もともと所有していたのは非上場企業で、買収したPE(プライベートエクイティ)ファンドが土地のみを切り出し、当社に売却しました。タンクターミナルとしての事業運営環境を維持しつつ、土地の売却によって成長投資のための資金調達を実現されています。

また、東証改革に伴う経営資源の再配分の一環というケースに当てはまるのが、複合商業施設の事例です。土地・建物を所有する上場企業が、工場を閉鎖して複合商業施設を開発・賃貸していました。しかし、その上場会社にとっては非中核事業のため売却せざるをえなくなったのです。そのため、同社は、テナント企業に購入を打診しました。しかし、テナント企業にとって建物は必要ですが、土地も含めて取得するには資金負担が重すぎたのです。そこで、地主専業で25年以上の実績がある当社にご相談いただいたのです。結果、既存の不動産から土地と建物を切り出し、土地は当社が、建物はテナント企業が取得しました。

楠木 資本効率に特に敏感なPEファンドが、「JINUSHIリースバック」を活用しているのは印象的ですね。事業のオペレーションがうまくいかなくなったホテルなどの事業会社が、土地は地主株式会社に、オペレーションは別の事業会社に譲渡するといったケースもあるのでしょうか。

西羅 そうしたご相談も多くいただきます。また、ホテル事業者自らが、古いホテルを取得し、土地のみを当社に売却することで、その資金を建物のバリューアップ投資に充てる事例も多くあります。

楠木 一通りのインフラが整っている日本で、ビジネスの生産性をもう一段引き上げていくための合理的な手段として、大きな意味を持つ仕組みだといえますね。

安定地主としての評価が選ばれる理由

――「JINUSHIリースバック」の需要が大きく伸びている中、企業が地主株式会社を選ぶ理由はどこにあるとお考えでしょうか。

西羅 まず、地主専業であることは大きいと考えています。「建物の売却や再開発とは異なり、土地のみにフォーカスすることができるので、スピーディーかつスムーズに売却を進められる」といった声もいただいています。

また、当社は長期にわたって安定的な事業運営環境を提供する「安定地主」としての評価も得ています。

「JINUSHIリースバック」は、土地を売却いただくと同時に、20~50年程度の長期賃貸借契約(定期借地権設定契約)を締結します。当社が取得した土地は金融商品として、主に、当社グループが運用する私募リートである「地主プライベートリート投資法人(地主リート)」に売却します。地主リートが「安定地主」として長期所有を続けますので、テナントは安心して事業を継続いただくことが可能です。

――ありがとうございます。最後に東洋経済の読者へお二人からメッセージをお願いします。

楠木 資本効率の向上は、とりわけ上場企業にとってずっと取り組まなければならない課題の1つです。

今、ようやく、「経営とは存続が目的ではなく、何がしたいのか、そのためにリスクを取って意思決定をすることである」という当たり前の理解が広がっています。アセットを軽くしてキャッシュを得たならば、その資金を使い、将来の事業成長のためリスクを伴う投資をすることが重要です。あくまでも、長期利益の獲得を目指した意思決定をしてほしいと思います。

西羅 当社は、25年以上にわたって、底地マーケットを自ら創出し、拡大してきました。

昨今の社会変化の中で、当社の役割が認知され、世の中から求められる会社になってきていると感じています。

上場企業やPEファンド等の皆様にとっては、地主専業である当社と協業する利点をご理解いただけると確信していますし、当社の「JINUSHIリースバック」をご利用いただける余地が多くあると考えています。業種を問わず、ぜひお気軽にご相談いただきたいです。

地主株式会社のHPはこちら

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