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2027年、金価格は6000ドルを目指す! 金(ゴールド)は資産の価値を守る世界共通の「通貨」

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金融・貴金属アナリスト 亀井幸一郎氏
金融・貴金属アナリスト 亀井幸一郎氏
  • ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント 制作:東洋経済ブランドスタジオ
金価格は、2026年1月に史上最高値を更新した後、年の前半にかけて急落した。しかし、世界の中央銀行や個人投資家による買いは衰えず、市場は底堅さを保っている。金価格を支える構造的な買い材料も依然として根強い現状を鑑みると、この先もその輝きが色あせることはなさそうだ。金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏に、今後の金価格の見通しと、「世界共通の通貨」として金を保有する意義などについて聞いた。

急落の原因は「表層雪崩」とテクニカル指標の悪化

――2026年1月に1トロイオンス=5500ドル台の史上最高値を更新した金価格は、6月には4000ドルを割り込み、8月に急反発した後に不安定な値動きが続いています。この背景について教えてください。

亀井 年前半の急落は、古い雪の上に降り積もった新雪が滑り落ちる「表層雪崩」のようなものです。

2025年秋から26年初めにかけて、金市場には相場のトレンドに追随して機械的に売買する投機資金が大量に流入しました。当時、市場はFRB(米連邦準備制度理事会)による「26年中3回の利下げ」を織り込んでおり、そこへFRBの独立性をめぐる問題や地政学リスクの高まり、アメリカによるベネズエラへの軍事侵攻、トランプ大統領のグリーンランド領有発言などが重なりました。その結果、一方向に買いが集中する強烈な上昇トレンドが形成されたのです。

マーケット・ストラテジィ・インスティチュート 代表取締役 金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎
中央大学法学部卒業。山一証券や投資顧問、ワールド・ゴールド・カウンシルなどを経て、1998年独立。金市場の分析・評論活動に入る。著書に『今こそ「金」ゴールド』(主婦の友社)など

AIを活用した売買プログラムが買いを積み上げ、5500ドル台まで一気に駆け上がりました。しかし、相場があまりにも急ピッチで上昇したことで、積み上がった投機資金が自らの重みに耐え切れず、一気に崩れました。これが「表層雪崩」です。

その後、アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃の長期化によって原油価格が高騰し、インフレ懸念が再燃したことで、FRBの利上げ観測が強まりました。アメリカの長期金利は上昇し、エネルギーを自給できるアメリカのドルは独歩高となります。米金利上昇とドル高は、利息を生まない金にとって逆風であり、価格をさらに押し下げる大きな売りベクトルが生まれました。

6月初旬には、長期トレンドの節目とされる200日移動平均線を割り込みました。加えて、高値から20%超下落したことで、市場では「弱気相場入り」との見方が広がり、トレンドフォロー型の売買プログラムが一斉に戻り売りへと転換しました。6月末にはデッドクロス(50日移動平均線が200日移動平均線を下抜ける現象)も発生し、テクニカル指標の悪化がさらなる売りを誘発したことで、4000ドル割れまで下落したのです。

中央銀行と個人投資家による「通奏低音」が下値を支える

――金価格は今後もしばらく低迷するのでしょうか。

亀井 現状は、悪材料やテクニカル上の売りサインがほぼ出尽くした「陰の極」です。過去の経験則でいえば、「金相場は終わった」と判断したくなる局面でしょう。しかし、私はそうはみていません。現在の金市場は、過去とは構造がまったく異なるからです。

現在の金市場は1日当たり3600億ドル超、日本円で50兆~60兆円もの取引が行われ、その約半分は現物取引です。買い手の中心は新興国の中央銀行と、インドや中国をはじめとする世界中の個人投資家です。

私はこれを金市場における「通奏低音」と表現しています。中央銀行による継続的な買いが市場の土台となり、その上に個人投資家の現物保有が積み上がっている。だから、投機筋がテクニカルで売り崩しても、4000ドル近辺では実需の買いが入り、下値は極めて堅いのです。

アメリカの「決められない政治」が表面化。年末に向けて4800ドル台回復を予想

――では、いつ反転するのでしょうか。2026年末および27年以降の金価格の見通しについて教えてください。

亀井 目先の下落要因であるイラン情勢や原油高、それに伴うFRBの利上げ懸念は、年末にかけて徐々に和らいでいくとみています。FRBメンバーの見通しでも、2027年以降は利下げ局面を想定しており、現状の利上げ観測はあくまで予防的な措置でしょう。

一方で、金価格を支えてきた構造的な買い材料は何一つ解決していません。最大の要因は、アメリカの政治的な不安定さと財政赤字の拡大です。2011年に米国債が初めて最高格付けを失ったのは、「決められない政治」による連邦債務上限引き上げが難航しデフォルト寸前まで行ったことが理由であり、金価格はその時、急騰しました。今後も10月から始まる新会計年度の予算協議や27年に到来する債務上限引き上げなど、「決められない政治」が表面化しやすいイベントが続きます。

加えて、アメリカの債務は40兆ドルに達し、年間の利払い費は1兆ドルを超え、国防費さえ上回る水準に達しています。11月の中間選挙を控え、政治的な分断がさらに深まれば、ドルへの信認低下が改めて意識されるでしょう。中央銀行や個人投資家による金買いは続き、2026年末には4800ドル台を回復すると予想します。

2027年は最高値を更新するでしょう。一時期市場で期待されていた1トロイオンス=6000ドルも、アメリカの政治分断や財政赤字、利払い費の増大、地政学リスクといった複数の買いベクトルを考えれば、年末までにはありうる数字です。特に債務問題はアメリカに限ったことではなく、日本やヨーロッパも同様であり、世界的な通貨の目減りに対するヘッジ手段として、金の存在感は一層高まるでしょう。

※発言者の個人的な見解であり、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの見解を示すものではありません

「値上がりを期待する商品」ではなく「資産を守るための通貨」として金を考える

――個人投資家がポートフォリオに金を組み入れる意義を改めて教えてください。また、金投資を実践するうえでお勧めの手法はありますか。

亀井 金を保有する最大の意義は、株式や債券のようなほかの資産と異なる値動きをし、発行体が存在しないため信用リスクを持たないことです。国家の債務が膨らみ、政治や経済の不確実性が高まる時代において、これほど普遍的な安全資産はありません。

そして、日本の投資家にぜひ意識していただきたいのが、金の「通貨性」です。金をポートフォリオに組み入れることは、単なる資産分散ではありません。資産が円だけに偏るリスクをヘッジする「通貨分散」でもあるのです。

近年は投資信託を通じて海外株式へ投資する人が増えています。しかし、それらはあくまでも株式というリスク資産です。一方で金への投資は、円を世界共通の価値であるゴールドに換えて保有するという意味を持ちます。これがほかの資産にはない、金ならではの魅力です。

投資手法としては、小口から売買でき、指し値注文も利用できる金ETF(上場投資信託)が取り組みやすいでしょう。純金積み立てのような感覚で、毎月コツコツ買い続ける方法をお勧めします。

かつては、ポートフォリオに占める金の比率は5%程度が目安とされていました。しかし、時代は変わり、政治や経済、金融の先行きがこれだけ不透明な環境であれば、20%程度まで組み入れてもよいと考えています。すでに金の比率が高くなっている方も、無理に利益確定する必要はありません。現在の環境を考えれば、そのまま保有を続けるという選択も十分合理的です。

私は、金を「値上がりを期待する商品」としてではなく、「資産を守るための通貨」として考えてほしいと思います。世界の中央銀行が金を買い続けている理由も、まさにそこにあります。これからの時代、個人投資家も同じ視点で金と向き合うことが、資産を守る第一歩になるのではないでしょうか。

【ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのゴールドシリーズ】

金ETFのパイオニア、ステート・ストリートといえば「SPDRゴールド・シェア」(GLD)と「SPDRゴールド・ミニシェアーズ」(GLDM)が代表的な商品だが、取り扱い証券会社によるが、ほとんどの場合どちらも外国証券取引口座を経由して買い付ける必要がある。
そんな中、2025年11月に東京証券取引所に上場した日本籍の金ETFが「ステート・ストリート・スパイダー ゴールド ETF(為替ヘッジなし)(東証コード:447A)」と「ステート・ストリート・スパイダー ゴールド ETF(為替ヘッジあり)(東証コード:448A)」だ。この2本は外国証券取引口座を開設する必要もなく、円建てで取引でき、新NISAの成長投資枠での買い付けも可能。 GLDやGLDMに比べて金ETF投資がぐっと身近になるはずだ。
投資信託という選択肢もある。「ステート・ストリート・ゴールド・オープン(為替ヘッジあり)(為替ヘッジなし)」は、低コストで投資でき、新NISAの成長投資枠での買い付けも可能。投資信託なら定額で毎月コツコツ積み立てていくことも容易だ。自身の投資スタイルに合わせて使い勝手のいい商品を選び、有意義な金投資を実践してほしい。

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