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サクサ「変革から成長へ」新たな挑戦
モノづくりで切り開く「ニッチトップ企業」への道筋

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齋藤社長とサクサグループ各社の代表に、未来戦略についてインタビューした
  • サクサ 制作:東洋経済ブランドスタジオ
われわれは、最後まで「モノづくり」にこだわり続ける――。「変革から成長へ」というテーマを掲げ、中期経営計画を発表したサクサ。新たなビジョンとして掲げる「現場価値を実装するニッチトップ企業」への道筋を支えるのは、祖業のビジネスホンを通じて築き上げた全国約25万社の中小企業顧客基盤と、グループの強みを結集した徹底的な「強いモノづくり」の追求だ。同社の未来戦略について、代表取締役社長執行役員の齋藤政利氏と、グループ企業4社のトップにインタビューした。

中期経営計画「現場価値を実装するニッチトップ企業」への挑戦

「非連続の成長を目指すため、ソリューションや脱ハードウェア的なビジネスに転換することはありません。われわれは、最後の最後までモノづくりにこだわり続けます」

2026年6月、中期経営計画で「変革から成長へ」というテーマを掲げ、新たなスタートを切ったサクサ代表取締役社長執行役員の齋藤政利氏は、こう力強く宣言した。異例ともいえる、前中期経営計画の最中での戦略転換。その背景には同社の根幹を成す現場でのモノづくりと、その姿勢に今一度向き合うという意図が込められている。

現場価値を実装し、次世代の「ニッチトップ」を切り開く
サクサ
代表取締役 社長執行役員
齋藤 政利

「前中計ではDXを主軸に、現状から一気にジャンプアップするような『非連続な成長』を目指しましたが、当社が持つ本来の強みが生かされず、2年が経過しても納得できる成果が得られませんでした。当社はモノづくりの企業。非連続な成功を目指すよりも、小さな成功を積み重ねて、一歩一歩上るのが性に合っていることに気づき、戦略転換を図ったのです」(齋藤氏)

自社の強みを今一度見直し、着実な成長を遂げるための指針となる中期経営計画。その柱となるのは、経営資源を「プロダクト事業」「EMS事業」「デバイス事業」「システム事業」の重点4事業へ集約させる事業部制への移行だ。それぞれの分野における、グループ4社が持つニッチ領域に対する圧倒的な強みを武器に、他社でやらない、やれない現場価値を地道に実装することで、各特定領域においてNo.1を目指す体制となっている。

「弱いところを改善して全体の底上げを図るのではなく、強いところをさらに強くするのが、この戦略のポイントです。個別分野の力を伸ばしていくと同時に、各事業部の連携を通じて、新たな価値を創り出すことも考えています。さまざまなリソースをお互いに融通し合いながら資本効率を最大化し、グループ全体のシナジーを高めていきたいと考えています」(齋藤氏)

【プロダクト事業】全国25万社の小規模・中小企業顧客基盤へ、業務効率化支援を推進

サクサの中核を担う「プロダクト事業」の強み、それは祖業のビジネスホンを通じて築き上げた全国約25万社の小規模・中小企業顧客基盤だ。その顧客に対して、同社では約15年前からUTM(複数のセキュリティ機能を統合したネットワーク保護装置)を提供している。双方で国内シェアトップを目指す同社が次に見据えるのは、IT化による業務効率化支援だ。

「多くの大企業で情報セキュリティ強化や、従業員のワークスタイルを担保するシステムの導入が進んでいますが、中小企業ではまだまだこれからです。ここ数年、ランサムウェアなどのサイバー攻撃により、一部業務の停止に追い込まれる企業も続出しています。セキュリティ基盤が脆弱な小規模・中小企業が標的とされ、取引先である大企業に被害が拡散するケースも今後増えてくるでしょう。BCP(事業継続計画)の観点や顧客との関係維持という点でも、小規模・中小企業のセキュリティ対策は一層重要になると考えています」(齋藤氏)

加えて人手不足も年々深刻化している。ITによる業務効率化は、人材難に陥っている小規模・中小企業にとっては不可欠といえる。

「セキュリティ対策にしてもIT化による業務効率化にしても、小規模・中小企業には専任スタッフをつけられるだけの人的な余裕がありません。私たちが企業の『OfficeAGENT』となり、オフィス内外のコミュニケーション、サイバーセキュリティ対策、業務効率化を引き受け、支援するのが、プロダクト事業の核になります」(齋藤氏)

【EMS事業】「設計力」×「製造品質」が織りなす一気通貫の完遂力

サクサテクノが培った製造機能とソアーの高度な製品設計力が融合し、劇的な進化を遂げた「EMS(電子機器の受託製造)事業」は、製造業プラットフォーマーNo.1を目指す。

サクサテクノは、旧電電公社時代に通信インフラを支える電磁カウンターの製造から始まった歴史を持ち、長年にわたりサクサグループの祖業でもあるビジネスホンなどの重要アセットを世に送り出してきた。

モノづくりを追求し、一気通貫のEMSを体現
サクサテクノ
取締役 社長執行役員
鈴木 健登

「ソアーがグループにジョインしたことで、お客様の要望を最初の図面段階から保守・試験に至るまでサポートできる『一気通貫のEMS』へと生まれ変わりました。体制が始まってまだ1年弱ですが、すでに設計からの新規案件を複数件受注するなど、成果も出始めています」(サクサテクノ 鈴木健登氏)

実績と設計力が築く「世界レベルのOLED」で市場を牽引
ソアー
代表取締役会長
八巻 雅敏

「地政学的リスクを背景にした製造の国内回帰(地産地消)のトレンドがあり、防衛・重要インフラに関わる高度な安全保障案件の受注や、希少なコア技術を持つスタートアップ企業からの引き合いも非常に増えています。注力分野として、産業機器、計器計測器、医療健康機器、フードテックの4分野を重点ターゲット領域とし、グループ各社とも連携を取りつつ体制を強化していきます」(ソアー 八巻雅敏氏)

両社の「強いモノづくり」を体現する一大プロジェクトとして、山形県米沢市において「米沢アドバンスドファクトリー構想」も進んでいる。これまで市内に点在していたサクサテクノとソアーの生産拠点や倉庫を一つに集約し、新工場を建設。物理的な距離をなくすことで、両社の技術者や現場スタッフが日常的に交流し、真の意味でのシナジーを生み出すことが狙いだ。EMS事業を含めたサクサグループ全体の重要戦略拠点として、活用が検討されている。

設計から保守まで一貫してサポートすることで、顧客との長期的信頼関係を構築し「モノづくりから逃げない」完遂力の強化は、EMS事業の今後の目標達成に向け強力なアドバンテージとなることだろう。

【デバイス事業】他社にまねできない唯一無二の技術でニッチトップを走る

ソアーは、サクサグループのモノづくり技術を支えるデバイス事業も牽引する。有機ELの累計出荷台数2.2億台という実績をベースに、OLED・特殊光源などの高機能・高単価製品における世界市場の開拓を狙う。

「透過率75〜80%を実現した透明OLEDや、原子レベルの薄膜封止技術によって曲げることを可能にした極薄ディスプレイなど、付加価値の高いカスタム領域での開発が当社の得意とする分野です。ニッチな製品で他社との差別化を図りつつ、今後はサプライチェーンの強化と海外市場の開拓に力を入れていきたいと考えています」(ソアー 八巻雅敏氏)

各国のメーカーでレーザー距離計やスコープといった光学機器に採用されるなど、その技術力は世界的な評価を獲得。磨き上げられた設計ノウハウと熱量は、部品単体としての価値にとどまらず、デバイス以外の各事業においてもシナジーを発揮する。

【システム事業】映像データ×AI×ストレージの融合が生む、新たな価値

「システム事業」では工場や発電所といったインフラ施設、物流といった「止まらない現場」に向け、24時間365日記録する映像基盤を提供し、現場の改善につなげるデータ活用の普及を目指す。その中核を担うのが、多数のカメラを一元管理する映像プラットフォーム「SK VMS」を展開するシステム・ケイと、強固なストレージを提供するニューテックだ。

工場や店舗には多数のカメラが設置されている。事故や犯罪を防ぐための映像記録用というのが主な目的だが、VMS(映像管理システム)は単なる記録ではなく、AIによる拡張性を持つことが特徴だ。例えば工場内の稼働状況をチェックし、異常を検知したらアラームを鳴らすといった用途などで活用できる。

AIとVMSの融合で、映像を「現場を動かす情報資産」へ
システム・ケイ
代表取締役
鳴海 鼓大

「監視カメラの世界はVMSによる一元管理の時代を迎えています。顔認識などのAIは頭脳ですが、例えばカメラとドアを連携させることで、カメラで見た映像から判断してドアを開けるなど、目や手足のように一体となって動かせるのがVMSです。AIと組み合わせることで、単なる記録映像が『現場を動かす重要な情報資産』へと変わります」(システム・ケイ 鳴海鼓大氏)

システム・ケイのVMSが用いられる現場は、製造工場・発電所・物流・道路など24時間稼働が必要であり、そのためには極めて頑強なストレージが必要になる。その頑強なストレージを提供するのがサクサグループに新たにジョインしたニューテックである。

信頼と実績で、重要データを守り抜く
ニューテック
代表取締役社長
早川 広幸

「われわれが提供するのは重要データを長期にわたり安定して守るための、高信頼なストレージ基盤です。クラウドを活用する企業が増える一方で、サイバー攻撃や情報漏洩への備えとして、秘匿性の高い重要データをオンプレミス環境で管理したいというニーズも根強く存在します。頑強なシステムを構築することで顧客のビジネスを支え、BCP対策においても価値を発揮できるのが強みです」(ニューテック 早川広幸氏)

映像が単なる記録からビジネスを左右する「情報資産」へと進化する中、高度なAI解析技術と、データを守り抜く堅牢なストレージの融合によって「止まらない現場」に向けた次世代の映像市場を、力強く牽引していく。

現場の課題を解決し、未来へつなぐモノづくりの使命

中期経営計画では、株主還元方針として明確な資本政策も提示された。29年度の目標KPI(重要業績評価指標)としてROE(自己資本利益率)8%以上を目指す。

「2029年度にはROE8%以上を目標とします。ただ、そこに到達するまでの間も株主の皆様に応援していただけるよう、『DOE(株主資本配当率)4%』もしくは『総還元性向100%』のいずれか高いほうで還元することとしました。」(齋藤氏)

プロダクト、EMS、デバイス、システムという重点4事業に経営資源を集約させるサクサグループの新たな布陣。この変革の本質は、単に組織の形を変えることではなく、グループ各社が持つとがった先端技術や独自のノウハウを相互に融合させ、「モノづくり力」を抜本的に強靭化することにある。

どんなに効率経営やソフトウェア化が進んでも、人間が使う以上、必ずハードウェアというヒューマンインターフェースが必要になる。

「われわれは、最後の最後までモノづくりにこだわり続けます」

冒頭の齋藤社長の言葉は、単なる決意表明ではなく、サクサグループの存在意義そのものといえるだろう。グループ各社の圧倒的なニッチトップ技術と、「モノづくり」への強固な意志が組み合わさったとき、同社が創り出す「現場価値」は、社会インフラを支える不可欠なピースとなっていくはずだ。 

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