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超精密加工で、工作機械、産業機械から食品機械まで。ソディック、3事業の躍進で挑む次の50年

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確かな実績とAI時代の潮流に乗り、勢いのあるソディック。三人の経営陣は何を語るのか
  • ソディック 制作:東洋経済ブランドスタジオ
放電加工機メーカーとして世界でトップクラスのシェアを握る東証プライム上場企業、ソディック。同社は工作機械のベンチャーとしてスタート。産業機械、食品機械へと拡大し、今年で設立50周年を迎える。現在のトップと、今まさに成長を加速させている産業機械、食品機械の責任者の3人は、若手時代、アメリカで工作機械のサービスエンジニアとして共に研鑽を積んだ過去を持つ。彼らはそれぞれの領域で経験と実績を積み重ねてきた。同社が誇る「超精密」技術は、いかに世界のものづくりを支えているのか。さらなる成長へ向けて歩みを進める同社の展望について、3人の経営陣に語ってもらった。

数値制御(NC)放電加工機メーカーの先駆者であるソディックは、1976年の設立以来、「超精密」技術を飛躍的に向上させ、工作機械から産業機械、食品機械へと事業領域を拡大してきた。ソディックという社名には、「創造 (So)」「実行 (di)」「苦労・克服 (ck)」の頭文字を組み合わせ、顧客の要望に応える製品を作るため、新たな創造と実行、その過程にある困難を乗り越えるという強い企業理念が込められている。文字どおり、世界のものづくりを支えてきた同社は今年設立50周年を迎える。ソディック代表取締役CEO社長執行役員である圷祐次(あくつ・ゆうじ)氏は次のように語る。

ソディック 代表取締役
CEO 社長執行役員
圷 祐次(あくつ・ゆうじ)氏

「会社の規模が大きくなったと実感しています。私が入社したのは当社が東証2部に上場した翌年の1987年。まだベンチャー的な気質を持った会社でした。会社の成長とともに自分の思いどおりのキャリアを積むことができたのは、とても幸運だったと考えています」

2025年に社長に就任した圷氏は在籍39年間のうち、延べ29年間をアメリカで過ごしている。内定した会社の中でソディックを選んだのは、もともと海外志向が強く、その希望をかなえてくれるからだった。当時は事業の8~9割が国内向けのビジネスだったが、時代の波を捉え、航空宇宙・医療関連・AI・半導体・データセンター事業へと広がり、今や海外売上比率は約7割にも上る。まさに世界を相手にするグローバルなエンジニア集団に成長したのだ。

AIの進化で爆発的に需要増の工作機械

そんな同社は26年1月、設立50周年を機に、その後の50年に向け、新たな理念体系PMVV(Purpose・Mission・Vision・Value)を策定した。圷氏が続ける。

「これまでの50年は社名にあるように『創造』『実行』『苦労・克服』でやってきましたが、これからはグローバルに展開する当社の社員が共通の価値観を持ち、創造力とイノベーションによるものづくりの進化と同時に、持続可能な社会の発展にも貢献していきたい。そして、ものづくりのお客様あっての当社であることを社員たちに忘れてほしくないと思い、策定したのです」

ソディックは現在、売り上げの7割を占める工作機械を中心に産業機械、食品機械を事業展開しているが、各事業の現況はどうなっているのだろうか。

まず1つ目の柱となる工作機械については、データセンターの需要拡大の恩恵を享受している。

「AIの進化による爆発的な需要があります。そのインフラであるデータセンターについては、日本、海外問わず、外観はできても、中身はこれからというところも多い。それだけ大きな需要があるということです。光ファイバーケーブルや冷却装置など様々な周辺要素も必要であり、電力需要増による電力タービンも旺盛な需要を呼び込んでいます。そこに必要不可欠なのがコネクターなどの成形品であり、超精密な金型なのです。当社の装置がますます必要になっているといえます」(圷氏)

実際、同社の超精密ワイヤ放電加工機は受注ペースが急拡大している。電子部品が高度化し、精密になればなるほど同社は強みを発揮するのだ。圷氏はその独自の優位性をこう語る。

「当社は創業以来、コア技術を磨き続け、今ではナノレベルの製造にまで対応できます。放電加工機の技術であるモーションコントロール・リニアモータ・セラミックスなどもすべて自社開発のため、歩留まりよく製品を作ることができます。特許も取得しており、他の追随を許さない超精密な技術が当社の競争優位性を高めているのです」
 

データセンター向けが急激に伸びる産業機械

工作機械に次ぐ2つ目の柱である産業機械はどうか。産業機械事業部長の谷口一芳氏は圷氏の先輩に当たる。同じくアメリカで共に過ごした仲だ。技術だけでなく、営業をはじめ、射出成形機関係の海外拠点の立ち上げをすべて経験したオールラウンダーでもある。

ソディック 執行役員
産業機械事業部 事業部長
谷口 一芳

現在、事業の中心となっているのが射出成形機。金型を使いプラスチック製品を作る装置だ。その大きな強みとなっているのがV-LINEという独自技術で、プラスチックを均一に溶かす可塑化部と、安定した計量と射出を行う射出部を分離させた機構を持つのが最大の特徴だ。

「実はこの技術は歴史的には古いもので、現在の主流は1本のスクリュで可塑化と射出を行うインライン機ですが、計量樹脂密度と実充填量が不安定になる弱点があります。当社は最後発からスタートしたため、むしろ計量が正確だった古い技術の特徴を生かし、インライン機の弱点も改善した結果、生産性を飛躍的に伸ばし、歩留まりも向上させたのです」(谷口氏)

現在、射出成形機業界は必ずしも活況とはいえないが、グローバルで見ると、特に日米中で工作機械同様、データセンター向けの需要が昨年から急激に伸びている。ほかにも電子部品をはじめ、半導体関連などが国内外共に堅調だ。

また、産業機械事業部ではサーキュラーエコノミーへの取り組みにも積極的だ。その中核となるのが、使用済み樹脂を原料として同じ製品を再生するリサイクル方式「ダイレクト水平リサイクル成形」である。谷口氏がこう語る。

「プラスチックの射出成形時には、製品以外にランナーという、金型内で流路を通った不要なプラスチックが出てしまいます。中には製品が2割で、ランナーが8割というものもあります。当社では、リペレット業者を通すことなく、ランナーをその場で粉砕材にして新材料と直接混合し、品質を保ったままリサイクルできる成形を実現しています。粉砕材100%でも新材料のみの成形と同等の安定した成形が可能です」

1. 放電加工機から始まったソディック。画像のEXC100L+は、最小駆動単位10ナノメートルで、究極の超精密加工を可能にしたソディックのワイヤ放電加工機のフラッグシップモデルだ。放電加工は電極(ワイヤ線など)に電圧をかけ、電極と加工物を接近させることで両者の間隙の絶縁を破壊し、放電現象を発生させ、加工物表面を溶融。電極と加工物の間の絶縁の回復、放電の発生というサイクルを毎秒数千~数万回繰り返すことで加工を行う
2. 射出部と可塑化部の分離した独自のV-LINE構造により、超精密な小物部品を高い再現性で安定して成形できる横型射出成形機LP20EH4
3. 連続式真空冷却装置は、最も菌が増殖しやすいといわれる温度帯50℃~20℃を素早く通過させることで、加熱調理した食品の衛生管理工程を改善する

こうしたリサイクル材には政府認証の動きもあり、技術検証データが豊富な同社にとって追い風となっている。産業機械分野では「アメリカで高度な電子部品や医療関連向けが好調で、今後はドイツを軸にヨーロッパへも攻めていきたい。それと同時に、単に廃棄物を減らす技術ではなく、製造コストの削減と環境負荷の低減を両立させる『ダイレクト水平リサイクル成形』をさらに広めたいと考えています」と谷口氏は言う。

人手不足の解消を目的に食品機械の開発を強化

そして3つ目の柱が、食品機械だ。食品機械事業部長の中村卓弘氏も圷氏の先輩で、工作機械の出身。アメリカ駐在時代は共に拠点を行き来した。食品機械事業は、兵庫県伊丹市の製麺機メーカーを前身としており、食品加工の深い知見に加え、工作機械、産業機械で培った高度な技術が融合されている点が大きな強みだ。

ソディック 執行役員
食品機械事業部 事業部長
中村 卓弘

「例えば、製麺設備の麺ほぐし装置『サテライト』の駆動部には自社製のリニアモータ用マグネットを採用しています。食品機械は丸洗いできる衛生性が必須のため、電子部品や駆動モータをカバー内部に収め、内部マグネットを回転させて外部を非接触で駆動する構造を実現しました。すでに200台以上を販売するヒット商品となっています。ほかに真空押出機にもV-LINEの押し出し技術が生かされています」(中村氏)

食品機械は工作機械や産業機械とは異なり、ライン単位での販売が中心だ。単体で売るよりも受注額は大きくなり、無菌包装米飯製造システムとなれば、さらに売り上げは大きくなる。

こうした食品機械の強みとは前述のとおり、まず統合された製麺機メーカーが事業部の前身となっていることにある。それに加え中小他社と比べ資本力があり、一気通貫した生産設備もある。充実した人員体制の下、工場単位で納入でき、製造ラインのカスタマイズから保守メンテナンス、トラブル対応など長期運用を支える仕組みを整えている。

現在、日本の食品機械は「人手不足の解消」や「食品ロス削減」などの観点から政府の成長戦略の重要分野にも位置づけられている。

「食品の現場は人が関与することが多く、自動化の重要性が高まっており、私たちも人手不足の解消を目的に装置の開発を強化しています。新たに開発した連続式真空冷却装置は、人が介在しなくても食品を自動で冷却できるもので、現在、大きな注目を集めています。これを契機に、製パン・菓子分野への展開も視野に入れています」(中村氏)

国内外共に冷凍関連の需要は高く、今後も成長が見込まれる。中村氏が言う。

「今後も技術の伝承を継続しながら、麺と米飯を原点に食の未来へ向け、50年にわたり培ってきた技術を生かし、総合食品機械メーカーへチャレンジしていきたいと考えています」

製販体制の一体化を深め、売上高1000億円を目指す

超精密技術を生かし、堅実な成長を遂げてきたソディック。同社では製販体制の一体化を深化させ、2029年12月期をメドに売上高1000億円を目指す。今後、メーカーが生産現場を自動化ソリューションにシフトしていく中で、AIや航空宇宙、医療をはじめ、バランスよくポートフォリオを組んでいく方針だ。いずれにせよ、同社の強さは「お客様のために」という徹底した姿勢が顧客の信頼につながっていることが最も大きいと圷氏は強調する。

「それを支えているのが現場の人材であり、製造と販売が一体となった総合的なエンジニアリング能力の高さです。当社の装置を使って、お客様のものづくりをいかに進化させていくのか。熟練工が減少する中、装置単品でなく、ソリューション全体を提供していくことが当社の大きな役割だと考えています」(圷氏)

今後、ソディックを次の50年に向けてどんな企業にしたいのか。圷氏が最後に語った。

「設立から50年、当社はものづくりの進化を捉え、それに合った装置を提供してきました。今も創造力やイノベーションは不可欠であり、人材の多様化も進めています。そのうえでものづくりの世界にとって、絶対必要な会社でありたい。入社した頃は知名度がありませんでしたが、今や世界でブランド力は向上しています。これからソディックはグローバルに展開する日本企業から、『グローバルに展開する真のグローバル企業』に成長したい。そう思っています」

ソディックについて詳しく知る

アメリカ時代から公私ともに仲が良いという3人。社内も同じく風通しが良いという