「11の産業」ごとに投資できるセクターETF
内田 ずばり、「セクター投資」とはどのような投資ですか。
山口 特定の企業ではなく、金融、不動産、情報技術といった産業を単位に投資する方法です。米国市場ではGICS(世界産業分類基準)に基づき11セクターに分かれています。これは「どこで売って、どこで稼いでいるか」という事業活動ベースで分類されているのが特徴で、例えばコミュニケーション・サービス・セクターには、通信会社だけでなくネット配信プラットフォーム企業も入っています。

ロジャーパパ 実は私がYouTubeでバズるきっかけになったのは、ステート・ストリートの高配当ETF「SPYD」ですが、セクターETFも積極的に使っています。例えば金利が上昇するとITが下がり、割安なエネルギーが上がる傾向があるので、そうした循環を利用した投資を個人投資家も簡単にできるようになっています。
GAFA企業での勤続9年を経て、2021年11月よりFIRE生活をスタート。米国株投資の実績や銘柄紹介、投資戦略などをわかりやすく配信するYouTubeチャンネル「ロジャーパパ米国株投資」は総再生回数2700万再生を突破。
内田 S&P500などさまざまな指数がある中で、セクター投資を行う意味はどこにありますか。
山口 S&P500などのインデックスはテクノロジー関連の比重が高いため、そこの動きで指数全体が上下に振れてしまいます。一方、セクターETFは11業種に分かれているので、自分のマーケットビューを反映させながら投資できるメリットがあります。
イラン情勢が緊迫化した際は、エネルギーセクターのパフォーマンスが際立ちました。そうした注目テーマに投資したり、今年の3月ごろのようにAI関連が弱含みした時に、ディフェンシブ寄りのセクターを持ってヘッジしたりといった使い方もできます。
セクター・セールス・スペシャリスト
山口美帆氏
ロジャーパパ ETFはリアルタイム取引ができ、指し値も使えます。アメリカでは1株から買えるので、1万円前後で買えるETFも多く、個人投資家にはとても使いやすいんです。
しかもステート・ストリートのセクターETFは総経費率が0.08%と低く、100万円投資しても年間コストは800円ほど。私の知る限り、投資信託にはセクター別の商品はありませんが、「このセクターいいな」と思ったとき、ETFならすぐ買える。その点でも強みがあります。
内田 11あるセクターで、値動きにはそれぞれどんな特徴がありますか。
山口 各セクターでかなり特徴があります。情報技術はインデックスと連動しやすい一方、エネルギーやディフェンシブ系の公益事業や不動産、ヘルスケアなどはインデックスと相関性が低く、値動きのブレ幅が大きいです。ただ、各企業の経営戦略などのミクロ要因に、個別企業ほど左右されないのも特徴です。

ロジャーパパ 個別企業の決算を見て短期的な変動を取りにいくのも楽しいですが、初心者には難しく、一日中画面に張り付いていられる人ばかりでもありません。しかし、例えばコミュニケーション・サービスのセクターETFである「XLC」はメタやアルファベットがしっかり入っているだけでなく、AT&Tのようなディフェンシブ要素の強い通信会社も入っているので、ある程度分散ができます。
まさに個別株とS&P500のようなインデックスの中間くらいで運用ができ、しかも配当利回りも比較的高いので、個人投資家としては個別株よりやりやすいと感じています。
プロが注目する「3つの視点」とは?
内田 さて、ここからが本題です。セクター投資でプロはどこに注目していますか。
山口 3つの要素があります。1つ目が「成長性」。これは今期の個別企業の業績を見るというより、中長期的なセクターのトレンドを見ていくことが重要です。2つ目は「評価水準」。仮によいテーマでも期待が株価に織り込まれすぎていると、リターンは不安定になってしまいます。3つ目は「リスク要因」。金利、資源価格、規制といったそのセクターで共通するリスクが緩む局面が、投資のタイミングと結び付きやすいということです。
ロジャーパパ 私が長期保有しているマイクロソフトは、今は業績がよいのにアンソロピックショックで売られています。しかし、やはり私が投資している「XLK」という情報技術セクターのETFはマイクロソフトのほかにエヌビディアやマイクロンなどの半導体株が入っているので、全体としてリターンが生まれる形になっています。
「XLK」は情報技術にしっかり投資でき、大型株中心で構成されている安心感もあり、長期で持ちやすい。このような観点でETFを使うと、よい感じで投資ができると思います。
※個別商品に関する意見はあくまでも個人の見解です。
内田 2026年の注目セクターを3つ挙げるとすると、山口さんはどこになりますか。
山口 情報技術、資本財、公益事業の3つです。共通点は、いずれもAI投資が実装フェーズに入る局面で成長が期待できるところです。当社では2026年第2四半期に情報技術セクターのレーティングを「中立」から「ポジティブ」に引き上げました。年初の調整でバリュエーションに割安感が出たためです。
資本財にはデータセンター構築や電力インフラなど、AI設備投資の受け皿となる企業が含まれます。また、防衛や航空宇宙もここに組み入れられているので、イラン情勢などに伴う防衛支出の増加も追い風になります。
ロジャーパパ 資本財セクターには建設機器のキャタピラーや防衛のレイセオン、航空宇宙のボーイングなどがあります。こうした企業は値動きが大きいので、テーマに将来性を感じていても個別株投資は難しいですが、セクター投資なら入りやすくなります。
山口 また、公益事業はこれまでディフェンシブ銘柄とみられてきましたが、AIデータセンターの電力需要というテーマで再評価されています。しかも情報技術セクターとは値動きの相関性が低いため、ヘッジのために持つという意味もあります。

セクター投資に適切な資産配分は?
内田 3つの注目セクターについて伺ってきましたが、実際に始めるとなるとセクターの選択や配分が重要になります。ロジャーパパさんはどんなふうに投資していますか。
ロジャーパパ 私はコア・サテライト戦略で、資産の8割をコアとして、S&P500のETFである「SPYM」とゴールドETFの「GLDM」に投資しています。「SPYM」は総経費率0.02%で、100万円投資しても年200円のコストで済みます。
残りの2割がサテライトで、その枠内でセクターETFを買っています。自分が説明できる理由があるときに少しずつ買っていく形で、リスクを取る部分は少なめにしていますが、実際に買ってみると自分の気持ちが動くじゃないですか。もっと勉強しよう、経済ニュースを知ろうと前向きになってくるので、そのくらいの割合でよいと思います。
山口 まさに今のお話のようにして、最初は少額で始めるのがいいと思います。そしてもし、購入したセクターの見通しが悪くなってきたら、そこを減らしてほかのセクターに配分する。このローテーションができるのも、セクター投資のよいところだと思います。
内田 最後に、セクター投資を検討している方へメッセージをお願いします。
ロジャーパパ 個別株投資は難しいと感じている人は、まずセクターETFに挑戦するのがお勧めです。1株だけでも買えて、インデックスとは異なる動きを経験できます。自分の仕事や関心に近い領域から入るのも有効な方法です。読者の方がヘルスケア業界で働いているのであれば、ヘルスケアセクターから入るのもいい。私自身、自分なりに情報技術の「XLK」を分析し、理解したうえで下がった時に買い増す方法を取っています。
山口 ステート・ストリートのセクターETFシリーズは1998年に設定され、28年の実績があります。S&P500の11セクターのフルラインナップは当社だけで、平均取引量・流動性ともに高水準。先ほど触れていただいたように、総経費率は業界最低水準の0.08%です。
頻繁に売買する必要はありません。少額で始めて、金利や景気、政策が変わったときに見直す程度で十分です。経済ニュースを「不安材料」ではなく「投資判断の材料」としてみて、セクター投資に一歩踏み出していただけたらと思います。
※個別商品に関する意見はあくまでも個人の見解です。
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ETFに係るリスク
ETFは、値動きのある有価証券等を主な投資対象としますので、連動対象である株価指数等の変動、組入有価証券等の価格の下落、組入有価証券の発行会社の倒産や財務状況等の悪化、その他の市場要因等の影響等により、市場取引価格または基準価額が値下がりし、それにより損失が生じることがあります。 また組入有価証券は為替相場の影響を受けるものもあるため、為替の変動により基準価額が下落することがあります。したがって、投資家の皆様の投資元金が保証されているものではありません。
※ETFのリスクは上記に限定されません。
ETFに係る費用
市場を通してETFに投資する投資家の皆様には以下の費用をご負担いただきます
・売買手数料(お申込み時にご負担いただきます)
ETFの市場売買には、取扱い第一種金融商品取引業者(証券会社)が独自に定める売買委託手数料がかかり、約定金額とは別にご負担いただきます。(取扱会社毎に手数料率が異なりますので、その上限額を表示することができません。)
・保有時の費用
ETFの保有期間中は運用管理費用等を間接的にご負担いただきます。保有時の費用の率(総経費率)は個別のETF毎によって異なり、また運用状況や保有期間等に応じて異なることからその上限額を示すことはできません。
個別のETFの情報についてはウェブサイトの各ファンドページにてご確認いただけます。
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ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社
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