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労働市場の転換点を、日本の再成長の起点に。パーソルCEOが語る、機会創出のシナリオ

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パーソルホールディングスの代表取締役社長 CEO 和田 孝雄 氏
パーソルホールディングスの代表取締役社長 CEO
和田 孝雄 氏
  • パーソルホールディングス 制作:東洋経済ブランドスタジオ
AIの普及は、労働力不足が深刻な日本の労働市場に未曾有の転換期をもたらしている。この状況を「個人の可能性を広げる好機」と捉えるパーソルグループは、独自のAI活用により累計10億円超の利益貢献を実現するなど、テクノロジーと人の融合を強力に推進してきた。AIを人の可能性を拡張するパートナーと位置づけ、AI活用と個人の“はたらくWell-being”実感向上をいかに両立させるか。パーソルホールディングス 代表取締役社長 CEOの和田孝雄氏に、AI時代に個人や組織が可能性を最大化するための展望を聞いた。

AIが「はたらく」常識を加速度的に塗り替える

――日本は深刻な労働力不足問題を抱えていますが、AIは労働市場にどのような変化をもたらすとお考えでしょうか。

和田 AIは、これまで個人が過度な負荷を背負っていた業務から、人を解放してくれる存在です。私はこの変化を非常にポジティブに捉えています。労働力不足の解消のみならず、新しい仕事や働き方を生み出す絶好の機会だからです。

例えばタクシー業界では、以前は「ベテランの勘」がモノをいう世界で、新人にはハードルが高く、人材確保も難しいという悪循環がありました。しかし、AI配車システムの登場で、新人ドライバーでも最適なルート選択が可能になり、稼働率も報酬も向上しました。

このように、人材確保が難しかった業界に人が集まり始めています。今後、同様の変化があらゆる業界で起こると考えています。

パーソルホールディングス 代表取締役社長 CEO 和田 孝雄

――過去のIT革命と比較して、今回の生成AIの波及効果についてどうみていますか。

和田 圧倒的に違うのは、スピードです。これまでのIT化とは次元の異なるインパクトが、全産業に同時に波及している感覚です。進化が加速度的で、半年前の常識が今日は通用しない。経営者仲間と話していても、その広がりの速さに驚かされます。

――一方で、仕事がAIに代替される不安も根強いですが、いかがでしょうか。

和田 テクノロジーの進化とともに仕事の形が変わることは必然ですが、仕事の質と求められる能力の重心が、より人間味のある対人スキルや意思決定へとシフトしていくと考えています。

具体的には、商談で相手の本音を引き出す力、言葉の裏の機微を読む力、組織の空気をつくる力などです。これらはAIにまねできない、人だからこそ生み出せる力であり、信頼関係を築きながら価値を生み出す役割はより重要性を増していくはずです。

そこで重要になるのが「キャリアオーナーシップ」です。当社では「キャリアスカウト」や「社内副業」など自分で自分のキャリアを選択できるよう、多様な制度を整えていますが、これらはAI時代であろうとなかろうと、自ら意思を持ってステップアップするために不可欠な取り組みです。

AIがどれほど進化しても、新しいビジョンを描き、最後の決断を下すのは、意思を持った人です。自分のキャリアをどう描きたいか、どんな社会課題を解決したいかという主体性こそが、AIと共存するための最強の装備になります。

人とAIのタッグで累計10億円超の利益貢献

――パーソルグループでは、自動化や効率化を超えたAIエージェントの可能性に注目されています。

和田 AIにすべてを任せるのではなく、人は「人と接点を持つところ」に最大のパワーを割くという共創の形こそが重要だと考えています。私たちのメインミッションは、「仕事の機会」と「はたらく人」のベストマッチングです。ここにAIエージェントを導入することで、可能性の幅が劇的に広がります。

例えば、膨大な人材のデータベースから特定の仕事にフィットする方を探す際、AIを使えば「確からしい候補者」を瞬時にスクリーニングできます。人材スカウト業務の一部をAI活用により高度化できれば、キャリアアドバイザーがこれまで定型業務に割いていた時間を、企業理解の深掘りや候補者との対話といった、より付加価値の高い支援に充てることができます。

――そうした可能性にいち早く注目され、社内専用AI「PERSOL Chat Assistant(CHASSU)」を開発し、2023年8月から全社展開を進めてこられました。狙いと成果について教えてください。

和田 社員の生成AI活用スキル向上の学習体系を整理し、新しい技術を楽しく体得するために、共創をテーマにした学びの場を提供しています。 そのうちの一つとして、生成AIの活用を社員が自発的にボトムアップ型で広げていくことを重視し、社内版GPT「PERSOL Chat Assistant」 の展開やコミュニティー形成を進めてきました。

勉強会を自発的に開催したり、自分が作ったプロンプトを共有したりといった「勝手連」的な動きを推奨しました。結果として、1時間かかっていた業務が10分に短縮されるといった事例が続出し、トータルでの生産性は明確に向上しました。現在までに、累計利益貢献額10億円を超える成果を上げています。

こうした実践知を、アウトソーシング領域でも活用しています。社内で培ったAIドリブンのフローを、お客様の業務再設計にも適用し、生産性を高めるご提案を始めています。

今後も、デジタルプラットフォームをさらに強化します。当社は、2025年10月に、AI技術をリードするフランスの人材派遣プラットフォーム企業、Gojob SASを子会社化しました。同社が持つ高度な知見を国内事業にも移植し、ホワイトカラー領域だけでなく、医療や建設、製造、運輸など、現場の最前線で活躍する「フロントラインワーカー」の方々へも、より多くの機会を提供していきたいと考えています。

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AI時代におけるパーソルの戦略(中期経営計画FY2028より)
独自データとAIを融合し、“より良いはたらく機会”の創出と高成長・高収益を実現

企業成長の源泉は「はたらくWell-being」の拡大

――AIの活用は、パーソルが掲げる「はたらくWell-being」にもつながるのでしょうか。

和田 そのとおりです。AI活用によって業務を高度化し、個人のケイパビリティーが拡張していくことで、人だからこそできる判断や創造的な仕事、自己実現につながる活動に時間を投下できるようになります。

個人が自らの意思でキャリアを選択できる環境を整えることが、組織全体のエンゲージメント向上につながり、企業の人材獲得力や生産性向上、さらに事業成長や企業価値の向上につながります。このサイクルを回せるかどうかが、これからの企業の生命線です。

――では、最後に、変化の激しい時代に舵取りを担うリーダーたちへ、メッセージをお願いします。

和田 AIの進展は、既存のパラダイムを大きく変える好機です。経営においてこれまで越えられなかった障壁があるはずですが、社会が激変している今こそ、その壁を突破する絶好のタイミングです。

現状維持は衰退を意味します。日本全体の生産性を高め、国際競争力を引き上げる。これは日本が再び世界で輝くための「ラストチャンス」かもしれません。

われわれは2030年に「100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目標に掲げています。当社社員だけでなく、派遣スタッフや求職者、顧客企業の社員の方々にとって、自らの意思でキャリア選択ができる環境をつくることで、「はたらいて、笑おう。」の社会を実現できると信じています。

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