ネットワーキングイベント開催
東京証券取引所は2026年1月20日、「東証 アジア スタートアップ ハブ」の支援対象企業およびパートナー、オブザーバーを招いたネットワーキングイベントを都内で開催した。本取り組みは、日本市場にコミットするアジアの有力スタートアップを対象に、ビジネス展開や上場準備を支援する取り組みで、イベントの開催は昨年に続き2回目となる。当日は、選定企業約20社の代表によるあいさつのほか、参加者同士の交流を目的とした懇親の場も設けられた。本稿では、当日のイベントの模様をリポートする。
アジア有力新興企業が20社集結、海外企業支援の裾野が拡大
開会に当たって東京証券取引所 代表取締役社長の岩永守幸氏があいさつを行った。
代表取締役社長
岩永 守幸 氏
「2024年3月に、日本と強い結び付きを持つ有望なアジア企業に焦点を当てた『東証 アジア スタートアップ ハブ』を立ち上げてから、約2年が経過しました。現在、本プログラムでは7つの国と地域から20社を支援しており、国内外から56のパートナー、4つのオブザーバーにもご参画いただいています。エコシステムとして着実に成長し、支援企業が日本への関与を一層深める後押しとなっています。すでに日本企業との業務提携を開始し、国内でのサービス提供を始めた企業もあり、その多くが将来の東京市場への上場に向けて準備を進めています。参加企業からは、東証のプログラムが日本での事業拡大や上場計画の前進に大きく寄与しているとの声も寄せられています。本日は2回目の開催となりますが、昨年同様、新たな出会いと連携が生まれる場となることを期待しています」
官民連携でスタートアップ成長促進へ
岩永氏に続き、金融庁長官の伊藤豊氏が登壇し次のように語った。
伊藤 豊 氏
「私も、07年から11年まで東京証券取引所に在籍し、岩永社長をはじめ多くの方々と共に、『TOKYO PRO Market』の前身である『TOKYO AIM』市場の立ち上げに携わりました。当時、日本およびアジアの新興企業に資金調達の機会を提供し、日本の金融市場の国際化を進めることを目指していた経験は、今につながるものだと感じています。現在、日本ではスタートアップへの成長資金供給の促進が重要な政策課題となっており、政府は『スタートアップ育成5か年計画』を策定し、官民連携による支援を強化しています。併せて、東京証券取引所のグロース市場改革も進展するなど、スタートアップ・エコシステムは大きな転換点に立っています。金融機関、投資家、専門家など関係者がそれぞれの役割を果たすことで、持続的な成長を支える環境が整うと考えています。『東証 アジア スタートアップ ハブ』の取り組みが、日本とアジアのスタートアップを結ぶ中核となり、本日の議論がその前進につながることを期待しています」


メガバンクとの連携で成長加速。台湾発フィンテック
「東証 アジア スタートアップ ハブ」の2025年支援対象企業は20社である。イベントでは各社の代表者が登壇し事業紹介などを行った。ここでは2社のコメントを紹介する。
21フィンテックは、アジアで決済および金融ソリューションを提供する台湾発のフィンテック企業だ。CFOのBruce Chou氏は次のように語る。
CFO
Bruce Chou 氏
「当社は台湾で創業し10年を迎え、8000億円の年間取扱高を記録しました。
本取り組みへの選定後、昨年は、日本法人への組織再編を完了し、また、日本の大手フィンテック企業であるペイメントフォーとの資本業務提携を発表しました。この取引は、SMBC日興証券、みずほ銀行、三菱UFJ銀行といったパートナー各社のご支援なしには成し遂げられませんでした。
日本は事業拡大を支える戦略的ハブです。成熟した金融エコシステムや規制環境、グローバルな投資家基盤は、当社の成長に不可欠です。とりわけ、東証は、資本の厚みと国際的な認知度を備え、グローバル展開を加速させる『変革の発射台』と考えています。本取り組み参加後、日本のビジネスコミュニティとの関係が強化され、東京が将来の上場先として最適との確信を深めました。今後も東証のプラットフォームと連携し、持続的な成長を実現していきます」
三菱UFJフィナンシャル・グループ
海外スタートアップが進むチカラになる
スタートアップ戦略部長
塚原 伸介 氏
本取り組みをきっかけに、複数の支援対象企業さまとのお取引が始まっています。
日常の銀行取引にとどまらず、企業買収を含む成長投資資金の支援や、上場に関わるサポート等幅広いご要望をいただいており、信託銀行や証券、VCといったグループ会社と一体で対応しています。
私たちも第二のマザーマーケットと位置づけていますが、国内の人口が減少する中、アジアの成長を取り込んでいくことはわが国にとって極めて重要です。
グローバル金融グループとして、海外拠点とも連携を進めながら、お客さまの成長ステージに合わせたサービスを提供することで、海外スタートアップの皆さまのチカラになっていきたいと考えています。
みずほ銀行
パートナー企業としてともに挑み、実りたい
イノベーション企業法人第二部
副部長
入江 純一 氏
みずほ銀行では上場前後のレイターステージ企業約400社と上場企業約400社の計約800社をカバーするようイノベーション企業法人第一部・第二部が専門的なサポートをしているほか、イノベーション企業向けのイノベーション審査室とグローバルデスクという弊行独自のセクション、アジア拠点や海外部門、グループ企業と連携して東証 アジア スタートアップ ハブ 支援対象企業をサポートしています。
私たちのネットワークを活用したビジネス拡大のサポートにさらに注力することで、アジア企業によるIPOが継続的に生み出されるエコシステムを構築すべく、支援対象企業、東京証券取引所とともにパーパス「ともに挑む。ともに実る。」を体現していきます。
医師向けAIで日本市場参入
Docquityは、アジア全域でヘルスケアの知識と連携を強化するヘルステック企業だ。CEO&Co-FounderのIndranil Roychowdhury氏があいさつした。
CEO & Co-Founder
Indranil Roychowdhury 氏
「当社はシンガポールに本社を置き、AIベースの臨床情報検索エンジンを含むプラットフォームサービスをアジア域内の約50万人の医師向けに提供しています。
当社は東証上場を目指していますが、その目的は単なる資金調達ではありません。日本は医薬品の市場規模として世界有数で、研究開発においても世界をリードしています。東証上場を通じて、日本に確かな拠点を築きたいと考えています。
本取り組みへの選定後、日本展開はすでに加速しています。上場準備に関する助言に加え、医療、規制、企業連携に精通した関係者とのつながりも得ました。MRT、エクスメディオなどの企業との連携も進めています。
信頼を軸に『日本発の成長エンジン』を築き、グローバルな事業拡大につなげていきます」
東京都もパートナーとして参画
東京都は「東証 アジア スタートアップ ハブ」にパートナーとして参画している。スタートアップ戦略推進本部長の吉村恵一氏が、その狙いや、26年4月に開催されるアジア最大級のグローバルイノベーションカンファレンス「SusHi Tech Tokyo」などについて紹介した。
スタートアップ戦略推進本部長
吉村 恵一 氏
「ちょうど1年前、本イベントで東京都が『東証 アジア スタートアップ ハブ』への賛同を発表しました。アジアのスタートアップには大きな可能性があり、東京はアジアのイノベーションと金融のハブを目指しています。東京都はスタートアップ戦略を2.0にバージョンアップし、『SusHi Tech Tokyo』や、イノベーション拠点『Tokyo Innovation Base』を軸に、スタートアップへの支援を強化していきます。今後も東証と連携し、取り組みを加速させていきます」
政府戦略にスタートアップ位置づけ
イベントの締めくくりでは、経済産業省イノベーション・環境局長の菊川人吾氏があいさつした。
イノベーション・環境局長
菊川 人吾 氏
「日本政府は、2022年に策定された『スタートアップ育成5か年計画』に基づき、スタートアップ政策に大きな力を注いでいます。昨今、民間企業による投資水準や賃金水準など多くの経済指標が好調な中で、高市首相は17の重点分野からなる戦略的領域を設定し、分野横断の課題として8つのカテゴリーを設定しました。その中にも『スタートアップ』が明確に位置づけられています。また、経済産業省は、日本とグローバルなエコシステムとの連結を強化するべく、昨年には、『Global Startup EXPO』を大阪・関西万博で開催しました。アジアで活躍する企業とはぜひ日本で良好な関係を築き、日本での事業展開にも挑戦していただけることを期待しています」
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2025年支援対象企業
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