日本電産の後継候補が突然会社を辞めた事情 在籍した2年余りの間に何があったのか

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呉氏の辞任について、永守社長は「けんか別れではない」ことを強調した

「けんか別れではない。新しい世界で成功してもらいたい」。日本電産が10月21日に開いた2015年度上期(4〜9月期)決算会見で永守重信会長兼社長が別れの言葉を送った相手は、9月末に退社した呉文精氏だった。

実力主義の下、昇格降格の激しい同社だが、代表取締役まで上りつめた人物が辞めたのは今回が初めてだ。呉氏は、かつて永守氏自身が三顧の礼で社外から迎え入れた人物で、異色の経歴を持つ。

興銀出身で複数の会社を渡り歩く

ファーストキャリアは銀行だ。1979年に東京大学法学部から日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行、1983年にはプリンストン大学大学院でMPA(行政修士)を取得している。

国際業務部米州担当副部長まで務めたが、2000年に興銀がみずほホールディングス(当時)へと統合されたのを機に退社。2001年に米GE(ゼネラル・エレクトリック)子会社のGEキャピタル・ジャパンに入社。その後、自動車リース会社であるGEフリートサービスの社長にまでなっている。

ここまで金融畑を歩んできた呉氏が自動車部品業界に飛び込んだのは2008年。日産自動車の中核子会社、カルソニックカンセイの社長に就任してからだ。「プロ経営者」としてスカウトされた呉氏は、生産の新興国への移管などを通して同社のグローバル化推進に大きな役割を果たした。

当時を知るカルソニックカンセイの幹部は、呉氏の経営を「トップダウンとボトムアップを巧みに使い分けるタイプ」だったと振り返る。

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