家を買っても釘が打てない!日本の住宅の謎

背景には供給側の事情が……

東京ガス都市生活研究所の稲垣勝之さんは、「建築の専門家にしてみればささやかな違いだけれど生活者にとっては画期的。家についてこだわりたい人は注文住宅のように1からすべてを自分でつくることを望んでいる方ばかりでなく、近年は、基本のプランはありつつ、暮らしながら自由にできる余地が残されていることを望む人も多い。今回のように、あとから変更・追加するのは難しい水まわりにはあらかじめ機能的な設備を用意し、リビングの壁などに自分らしさを表現できる場を設けたという点は生活者のニーズに合っているのでは」と話した。

カスタマイズで自分らしい暮らしの空間づくりができる

インテリアスタイリストでDIY実践者の石井佳苗さんは5年前に都内から横須賀に引越し、中古の古い家を購入したのだが、自由にものが打ち付けられるよう、壁三面に合板を付加してもらったそう。

「壁は家の中でとても大きな面積を占める部分。これを自由にカスタマイズできる意味はとても大きいです。棚やフックをつけることで自分らしい暮らしの空間ができるし、この場所じゃないと思ったら外して、穴が開いた部分をパテで埋めてやすりをかけてまた同じペイントを塗れば何度でもきれいになります」(石井さん)

石井さんのご自宅の壁。左は棚やフックを活用してさまざまなものを飾って楽しげに。右は古道具屋さんで見つけたという棚を壁に打ち付けた。実は左右どちらも同じ部屋。壁一面だけでも部屋の印象はがらりと変わる。よい気分転換ができそう(画像提供/石井佳苗)

最近の新築マンションでは、将来の間取り変更がしやすい設計になっていたり、壁の色、床の素材を選べる物件は増えてきてはいるが、壁に重いものでも取り付けられるような、カスタマイズを意図した物件はあまりない。

注文住宅や中古を買ってリノベーションという選択肢は、住まいにこだわりや思いのある人にとってはよいが、そこまで手間をかけられないという人も多い。また、家は買って終わりという“モノ”ではなく、買った後に住みながらどんどん使い勝手をよくしていく“暮らしの場”だ。そういった意味で住まい手の思い・関与が重要だ。

SUUMOジャーナルでも「新築で家を建てて最後の仕上げはDIY」や「中古一戸建てのリノベーション物件に住みながら手を加えていく」などの事例を紹介している。これからはそんな余白を残した物件が「新築分譲マンション」にももっと増えてほしい。そう強く感じた1日だった。

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