自分流のリーダーシップで
チームを引っ張り、結果を出す。
立命館大学
それぞれの意見を尊重しながら、最適解を探す
横浜市にある日産自動車の本社で働く小坂智さんの上司は、フランス人である。その上の上司も、さらにその上の役員も、フランス人だ。ルノーとのアライアンスがきっかけで、日産は女性活動支援だけでなく、クロスカルチャーの面でも、ダイバーシティーの取り組みが進んでいる。以前いた部署では全部で十数カ国のスタッフに囲まれていたという。

(1999年 経営学部卒業)
日産自動車
LCV事業本部 グローバルマーケティング&コミュニケーション部
グローバル商品広報
「上司との会話は英語、資料もプレゼンも英語です。日本人社員の場合、英語ができるのは当たり前。プラスアルファで中国語やスペイン語、フランス語などができる社員もたくさんいます。私は英語で精いっぱいですが」
という小坂さんは、横浜のオフィスにいながら日々、グローバル化を体感している。
仕事もグローバルだ。世界各地にある日産の現地オフィスと連携しながら、グローバルに統一された商品メッセージが発信されていくようにコーディネイトしているのである。バスやトラック、ピックアップなどのLCV(ライト・コマーシャル・ヴィークル)を担当している。
昨年はタイでメディアを対象にした試乗会を企画し実行した。商用車でこうした大規模な試乗会を行うのはまれだが、各国から30~40社のメディアが参加して、新聞や雑誌の記事にも取り上げられた。
「各地域の広報チームなどは、それぞれ自分たちなりのプランをつくります。当然国が違えば考え方も違いますし、意見を主張する度合いもそれぞれです。グローバル広報としては一方的にこちらの考えを押し付けるのではなく、それぞれの考え方も尊重しながら、どうすれば日産としていちばん伝えたいことをメッセージにできるか、その最適解を探してまとめていくようにしています」
一人で抱え込まず周囲に協力を求める
小坂さんは立命館大学在学中、男子ラクロス部のマネージャーをしていた。そこでさまざまな考えを持つ選手がいるチームをまとめていく難しさを経験したし、自分流のマネジメント手法も身に付けた。
「みんなが納得できる最適解を見つけるやり方は、マネージャーをしていたときから変わりません。何かあったら一人で抱え込まずにみんなに協力を求め、事前に根回しをしっかりするのも学生のときと同じです。ぐいぐい引っ張るタイプではありませんが、結果として自分の考えている方向にもっていくというタイプですね」

今、新しいイベントの企画を考えている。上司の了解は取れているが、予算を獲得しなければならないので、役員相手に英語でプレゼンをしなければならない。
「英語ももちろんですが、学生のときにマーケティング論で学んだSWOT分析などは、仕事でも使いますから役に立っています。今振り返ると勉強は楽しかった。チャンスがあれば大学院でもう1度マーケティングを勉強したいくらいです」
あくまでもしなやかに、スマートに。でも、結果はしっかり出す。それが小坂流だ。