難航する「高齢者の賃貸物件探し」課題解決の糸口 孤立死問題に立ち向かう不動産会社の挑戦とは

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サポートシステムを整えるだけでなく、入居者には現実との擦り合わせも促していかなければなりません」

「見守り事務委任契約」サービスが当たり前の社会へ

今後、高齢者を対象としたサービスが増えていくために考えるべきことを、金子さんは次のように話してくれました。

「賃貸管理業界においても効率化という名の下、アプリやコールセンターでの電話対応など、社員がお客さまと直接関わらない方向へと進みがちです。しかし高齢者はスマホを使いこなせない人も多く、自分自身の生活や命に関わることなので、密なコミュニケーションを必要としています。

時代と逆行しているようですが、私たちは既に入居されている65歳以上の方を個々に訪問してサービスの内容を説明し、安心に住んでいただけるように定期的に巡回もしています」

既存の入居者も年を重ねていずれは高齢者になる。アミックスは65歳以上の高齢者を一人ずつ訪問し、「見守り事務委任契約」について説明を行っている(画像提供/アミックス)
効率が重視される世の中でも、入居者一人ひとりと顔を見てつながっていくことも大事ではないか、と金子さんは言う*写真はイメージです(写真:KY/PIXTA)

「さらに、入居者やオーナーさんへの提案で物件価値の維持、向上を図ることも大事です。例えば既に居住中の方も年齢を重ねると2階以上が住みづらくなることも起こり得ます。そのようなとき、1階への住み替えを提案し、オーナーさんには空室になったタイミングで適切なリフォームを提案するなどすれば、物件を長く保全することが可能です」

金子さん(右)は、アミックスで高齢者受け入れ促進のため、協力会社探しからシステムづくり、加入希望者の面談や入居後の訪問、自治体とのやりとりなども行っている。左は同じチームで事務を担当する小出真央さん(画像提供/アミックス)

高齢者の賃貸への入居が難しい問題は、いろいろなところで話題になりつつあります。今回紹介したケースでは多くの会社の協力を得て、さまざまなサービスを一つにまとめて提供できている点が大きな特徴ですが、このように高齢者への入居に対応している不動産会社はまだ多くはないのが現状です。

また、精神疾患や認知症の発症など、死亡事故以外の対応をどうするかも課題といえます。

「一つひとつ解決し、行政や関係団体、企業などとの連携体制もさらに整えていきたい」と話す金子さん。時間をかけて高齢の入居者と向き合っていくには、さらなるマンパワーも必要でしょう。高齢者が住まいを借りるとき、このようなサービスが当たり前の社会になっていくことを切に願います。

(文/和田 文(りんかく))

●取材協力
株式会社アミックス

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『SUUMOジャーナル』編集部

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