難航する「高齢者の賃貸物件探し」課題解決の糸口 孤立死問題に立ち向かう不動産会社の挑戦とは
サポートシステムを整えるだけでなく、入居者には現実との擦り合わせも促していかなければなりません」
「見守り事務委任契約」サービスが当たり前の社会へ
今後、高齢者を対象としたサービスが増えていくために考えるべきことを、金子さんは次のように話してくれました。
「賃貸管理業界においても効率化という名の下、アプリやコールセンターでの電話対応など、社員がお客さまと直接関わらない方向へと進みがちです。しかし高齢者はスマホを使いこなせない人も多く、自分自身の生活や命に関わることなので、密なコミュニケーションを必要としています。
時代と逆行しているようですが、私たちは既に入居されている65歳以上の方を個々に訪問してサービスの内容を説明し、安心に住んでいただけるように定期的に巡回もしています」
「さらに、入居者やオーナーさんへの提案で物件価値の維持、向上を図ることも大事です。例えば既に居住中の方も年齢を重ねると2階以上が住みづらくなることも起こり得ます。そのようなとき、1階への住み替えを提案し、オーナーさんには空室になったタイミングで適切なリフォームを提案するなどすれば、物件を長く保全することが可能です」
高齢者の賃貸への入居が難しい問題は、いろいろなところで話題になりつつあります。今回紹介したケースでは多くの会社の協力を得て、さまざまなサービスを一つにまとめて提供できている点が大きな特徴ですが、このように高齢者への入居に対応している不動産会社はまだ多くはないのが現状です。
また、精神疾患や認知症の発症など、死亡事故以外の対応をどうするかも課題といえます。
「一つひとつ解決し、行政や関係団体、企業などとの連携体制もさらに整えていきたい」と話す金子さん。時間をかけて高齢の入居者と向き合っていくには、さらなるマンパワーも必要でしょう。高齢者が住まいを借りるとき、このようなサービスが当たり前の社会になっていくことを切に願います。
(文/和田 文(りんかく))
株式会社アミックス
SUUMOジャーナルの関連記事
●一人暮らし87歳母の賃貸探し、内見しても高齢者を理由にすべて拒否。ようやく出会えた物件は不動産会社の入居支援がカギに 名古屋
● 孤独死の増加で「遺留品処分」問題への危機感高まる
● 高齢者、障がい者、外国人など、住まいの配慮が必要な人たちへの支援の最新事情をレポート。居住支援の輪広げるイベント「100mo!(ひゃくも)」開催
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら