難航する「高齢者の賃貸物件探し」課題解決の糸口 孤立死問題に立ち向かう不動産会社の挑戦とは

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金子さんが出会った同じ高齢の入居者でもその反応には個人差がある(画像提供/アミックス)

Bさんのように「自分にはまだサポートは必要ない」という高齢の入居者がいる一方で、自ら「高齢になったので、生活について相談したい」と連絡をする人もいて、反応には個人差があるようです。

「普段から人と関わっていろいろな情報を持っている人は行政のサービスを受けることにも抵抗がないのですが、人との関わりが希薄な方は、社会的にも孤立して最悪の場合は孤立死(※)に至ることを目の当たりにしています」(アミックス金子さん、以下同)

(※)孤立死は孤独死同様、誰にもみとられずに一人で死ぬことを意味していますが、孤立死の方がより「家族や社会から孤立した死」というニュアンスが含まれるとする解釈もあります。当記事では、東京都の資料に準じて以後「孤立死」という言葉を使用しています。

増え続けている高齢者の孤立死

しかし、このように高齢者の受け入れに前向きな会社はまだ少数派です。いざ高齢者が賃貸住宅へ入居しようとしても、認知症の発症や孤立死、それに伴う残置物の処理などを恐れて高齢者を受け入れないオーナーや管理会社が今も多く存在します。

なぜならば、入居者が居室内で亡くなった場合、賃借権は相続され、残置物も相続の対象となるので、オーナーや管理会社は勝手に処分できません。撤去するには、亡くなった人の戸籍をたどって遺族を探し出し、残置物処理の同意に関する手続きが必要でした。

賃貸借契約時に残置物処理に関する取り決めがなされていないと、解決するまでに数年かかることもあります。その間オーナーは誰にも部屋を貸せなくなってしまったり、残置物処理や原状回復が済んで貸し出せたとしても、借主の心情に配慮して賃料を下げなくてはならなかったりするからです。

実際、高齢者の孤立死は今もなお一定数起こっています。

2022年版(令和4年版)高齢社会白書によると、東京都23区内における65歳以上の一人暮らしで、自宅で亡くなった人の人数は、2020年で4238人に上ります。

東京都23区内における65歳以上の一人暮らし高齢者の死亡数は年々増え続けている(引用元/2022年版(令和4年版)高齢社会白書)
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