「新たな負担ゼロ」で断熱改修実現した団地の覚悟 横浜市の竹山団地「生活のストレス」をなくす

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団地の入口部分の上部
団地の入口部分の上部を見ると、断熱材を入れた5cm分だけ外に壁が追加されていることがわかる(写真撮影/桑田瑞穂)

改修を支えた、住人主導の管理組合のあり方とは

スムーズに改修が実現した背景には、先に紹介したように住人から新たな費用の持ち出しがなかったこととあわせて、日ごろから「住人さん自身が積極的に団地の運営や環境整備・維持に関わる体制もある」と稲葉さんは説明します。

「例えば、敷地内の植栽の管理や草むしりなど、お金を払えば専門の会社に任せることは可能です。けれども私たちの団地では、有償のボランティアという形で有志を募ったりしながら草刈りなどを行っています。

自分たちで手入れをすればこの場所に愛着を持ちますし、住人同士のコミュニケーションのきっかけにもなります。何より、顔を知らない会社にお金を払うより、尽力してくれる知人(住人)に払うほうがお礼の気持ちを伝えることができて嬉しいし、コストダウンにもなるんです」

「美化ボランティア」のグループ
30分700円の有償で草刈りや植栽の剪定、花壇の手入れなどを行う「美化ボランティア」のグループ。今では竹山団地内の他の管理組合からも依頼が相次いでいるそう(画像提供/竹山16-2団地管理組合法人)
「梅見会」の様子
花が咲く季節には、住人同士の交流を兼ねて手をかけて育てた植栽や樹木を鑑賞しながら食事をすることも。画像は2月の「梅見会」の様子(画像提供/竹山16-2団地管理組合法人)

さらに、今回の取材で稲葉さんに話を聞かせてもらった「みんなの部屋」というスペースも、住人同士がコミュニケーションをとりやすいよう、お茶菓子をつまみながら談話を楽しむ「ふれあいサロン」を実施したり、組合の会合を開いたりする場所として開設したのだそう。

「高齢化が進んで、一人暮らしの方、さらには一人で亡くなる人も増えてきたときに『みんなで助け合って暮らしていくことが必要だね』という話になりました。

最初は庭にベンチを置いたりして、住人同士のコミュニケーションが図れるように考えてきましたが、やっぱり屋内のスペースが欲しいということで この『みんなの部屋』という共有スペースをつくったんです。最初はこの部屋を所有する法人から組合が借りていたのですが、2023年に買い取り、今は文字どおりみんなで運営しています」

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