「新たな負担ゼロ」で断熱改修実現した団地の覚悟 横浜市の竹山団地「生活のストレス」をなくす

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「勉強会を重ねる中で、これからも快適にこの団地で住み続けていくためには、大規模改修工事のなかでもとくに『断熱改修』が重要だという結論に至りました。そこで、希望者を募り、当時、外断熱改修をいち早く実施していた多摩ニュータウンにある南大沢団地を視察に行ってその快適な暮らしについて話を聞きました」

改修工事見学会を行ったときの様子
竹山団地の管理組合向けに改修工事見学会を行ったときの様子(画像提供/竹山16-2団地管理組合法人)

さらに断熱工事においては「外断熱」という工法が「建物全体を断熱材で覆うもので、柱の内側に断熱材を入れる内断熱と比べると気密性が高く、建物への負担が軽く、断熱の効果が高い」ことを知ります。

断熱材が建物の外側と内側で熱の移動を遮断することで、快適な室温を維持することができるのです。検討委員会はまず、床・屋上・壁を外断熱工法で工事し、同時に各住戸の窓サッシを複層ガラスに変更することを決めました。

約2億円の改修費は、住民の新たな持ち出し金ゼロで捻出

工事にかかる費用を見積もりしてもらうと、約2億円もの金額に。そのうち1億2000万円は、蓄えてきた修繕積立金で賄い、残りの8000万円を管理組合が金融機関から借り入れることで、住人に新たな費用負担が生じないようにしました。

工事前に立てた長期修繕計画では将来的に必要になる修繕をしっかりと見込んでおり、その後も152世帯から修繕積立金を計画的に集めることができたため、当初は4年間で完済する予定だった借入金は、結局、繰上げ返済をして3年で完済できたそう。「住人の新たな持ち出し費用がゼロであることは、スムーズな合意形成にもつながった」と稲葉さんは振り返ります。

さらに、稲葉さんたち検討委員会のメンバーは、長期修繕計画を作成していたときに「住宅エコポイント制度」という補助金を活用できるかもしれない情報を入手していました。これは国の施策として省エネ法に基づく基準を満たした断熱改修を行った住宅に工事の内容に応じて、商品と交換できるポイントを支給する制度です。

もともとの計画では大規模改修を2012年ごろに行う予定でしたが、この補助金を有効に活用するため、工事の予定を早めて2010年10月~2011年の2月に最上階の屋上天井と壁の外断熱工事、複層ガラスの窓サッシへの変更を実施しました。

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