格差鮮明!役員報酬が増えたトップ500社 社員の年収増減との関係に着目

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ルネサスエレクトロニクスの立役者として、6月に勇退した作田久男前会長兼CEOは、1億円を超える役員報酬を得て平均を引き上げた(撮影:梅谷 秀司)

厚生労働省が公表した今年6月の毎月勤労統計調査によると、一般従業員の給与水準に近いとされる現金給与総額に、物価変動を加味した実質賃金指数は、前年同月比で2.9%のマイナスとなった。ボーナス時期のズレ等もありマイナスとなったが、実際の給与は横ばい程度だとされている。業界や個別企業ごとに一定の濃淡はあるものの、日本の景気は足踏み状態ながら回復が続いているといっても、サラリーマンの給与はなかなか上がらない。

一方で、東京商工リサーチによれば、国内の上場企業の2015年3月期決算で、1億円以上の報酬を受け取った役員は211社の計411人となり、前年より20社、計50人増えた。好決算が相次ぐ中で、業績連動によってもともとの金額が大きい役員報酬の増加が目立ち、なかなか給料が上がらない社員(従業員)との収入格差が広がっていると指摘されている。

では、実際に主要な上場企業の役員報酬はいったいどれぐらい増え、それに対する社員の給料の増減はいかほどなのか。東洋経済オンラインは、この1年で役員報酬が大きく増えた企業のランキングを作成。トップ500社を紹介する。

有価証券報告書(2013年5月期~2015年4月期)をもとに、東洋経済が独自に算出した「役員平均年収」について昨年比増加額の多い順に並べた。直近の役員平均年収額のほか、従業員平均年収の昨年比増減額、直近額、また、役員が従業員の何倍の年収を得ているかを示した「年収格差」も併載した。

ランキング1位から4位の企業では、役員平均年収が1億円以上も増加した。ランキング5位の武田薬品工業は、クリストフ・ウェバー氏が、同社初の外国人社長に就任したのに伴って、役員平均年収も押し上げられたことが大きい。ウェバー氏の役員報酬は5億0700万円だった。

ルネサスの役員平均年収は約5倍に!

目を引くのは役員平均年収が1年前から約5倍の8600万円(6945万円増)になった9位のルネサスエレクトロニクス。2015年3月期に業績が上向いたことで、それまで実施していた給与カットをやめ、賞与も復活。給与体系をより業績連動型に近づけ、社員の平均給与も3割近く上がった。業績不振に伴う再生の過程で役員報酬の対象となる役員の数が従来の9人から3人に減ったことや、6月の株主総会後に勇退した作田久男前会長兼CEOに総額1億1300万円(基本報酬4700万、賞与6600万)の高額報酬を払ったことなども要因だ。

ランキング上位の企業は、オーナー経営者の退任や退職慰労金制度の廃止で、多額の退職慰労金を払った企業が多く、一時的に役員報酬は増加した面はある。しかし、上位500社を見渡してもこの傾向があまり変わらないことから、企業業績が回復しても一般従業員にはなかなか恩恵が及ばないものの、いち早く役員報酬にはその結果が跳ね返っているということが読み取れる。 

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