年30組が移住する、高知県の町の秘密

イケダハヤト氏が移住した先は?

また、移住者だけでなく、もとから嶺北地域で暮らす人の気質も大いに影響しているらしく、「僕の生活も周囲に筒抜けではありますが、気にかけてもらてっているなという感じで、疎外感や閉鎖的な感じはしません」とYさん。

家賃3万円一戸建て。年収ダウンも生活満足度は向上

移住者の才能や特技を活かし、木材などを使った新たな名産品をつくり、売りだす試みもはじまっている。ここだとお金は与えられるものではなく、稼ぐものだ(写真撮影:嘉屋恭子)

2人とも住まいは一戸建てで、家賃は3万円程度。築年は30年程度、大規模なリフォームや修繕をしなくとも住むことができたという。

「移住前は、家賃7万円超、京都の公営住宅で生活していました。今は家賃が3万円で、広さはだいたい3〜4倍。子どもは夜、トイレに行くときに付いてきてというくらいの広さです」と広瀬さん。前職は飲食業でソムリエだった経験を活かして、現在は地元のコメを使った焼酎造りに携わっている。

Yさんはというと、「自分は大阪出身で、以前は公務員をしていたんです。家族の事情もあって転職をして、2012年に嶺北へ来ました。今は社会福祉協議会の一員として働いていますが、将来的にはカフェとか寺子屋とか、そうしたつながりの場所を運営したいなと思っています。今は経験を積んでいる感じですね」と目標を話してくれた。

一方で気になる収入について聞いてみたところ、「ダウンした」というのが現実で、広瀬さんは「夫婦共働きでないと苦しいかも」と台所事情を打ち明けてくれた。ただ、生活の質を含めた満足度は向上していて、「移住したことに後悔はないですね。正月に大阪に帰省して、梅田を歩いたんですけど、人混みに圧倒されてしまって。嶺北に帰ってきたらホッとして、少しずつですけどここが自分の“ホーム”なんだなって実感しました」(Yさん)

最近では、若い世代の移住者が増えたことで、子どもの人口が増え、消滅していた子ども会が復活。もとより小中高といった教育環境は整っているほか、スーパーや病院など生活に必要なものはひと通りそろっている。「お店がしまるのが早いくらいで、生活のうえでの不便さは感じない」と広瀬さん。

ただ、田舎暮らしとなれば、消防団活動やご近所付き合いも必要となり、時には休日がつぶれることもあるという。それでも嶺北地域にひかれてくる人が後をたたないのは、無理をせず、自然体の田舎暮らしが、実現できるからなのかもしれない。

(文:嘉屋 恭子)

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