やっぱり「生成AI」という言葉はやめたほうがいい 「対話型AI」は半導体の未来を切り開くのか

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台北にあるアメリカのエヌビディアのオフィス。AI向け半導体で世界シェア8割を握る同社の動向からは目が離せない(写真:ブルームバーグ)

「何を今さら」と言われてしまいそうだが、筆者はあの「生成AI」の「生成」という言葉に割り切れないものを感じている。だってそんな言葉、ほかじゃ使わないじゃないですか。そもそも「生成」って、どういう意味なのよ?

「生成AI」より「対話型AI」と呼ぶほうがしっくり来る

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調べてみれば、他愛のない話なのである。代表的な生成AIである「ChatGPT」のGPTとは“Generative Pre-trained Transformer”の略なのだそうだ。

「事前学習をするジェネレイティブな変圧器」ということになって、この“Generative”という英単語が日本語に翻訳されるときは、「生成」が定訳になっている。だから「生成AI」になってしまうのだ。

“Generate”という動詞は、「生み出す」とか「発生させる」といった意味である。転じて“Generator”(発電機)になったり、“Generation”(世代)になったりする。

つまり、何かを回転させることによって、新しいものが生み出されるイメージである。水車が回って電気が発生するとか、「めぐる~めぐる~よ時代は巡る」とか。とにかく、ぐるぐる回っているところから、何か新しいものが生まれてくる。

そこで「ChatGPT」の機能は何かというと、人間とAIが会話をやり取りすることによって、知恵をGenerateすることである。だったら、当初の頃のように「対話型AI」と呼ぶほうが実態に近いのではないか。「生成AI」と言ってしまうと、このキャッチボール感覚、ぐるぐる回る感じが伝わってこない。

おそらくあなたの周りにも、こんな人がいるはずである。「話題のChatGPT、使ってみたけど平気でウソをつく。全然ダメだ、使えない!」と嘆いている人たちが――。いや、筆者も実際に最初に使ったときは、以下のような回答に唖然としたものである。

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