中国の国産旅客機「C919」、ついに商用運航を開始 5月末から上海-成都間の定期路線を1日1往復

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中国東方航空はC919を商用運航する最初の航空会社となった(写真は同社ウェブサイトより)

中国が独自開発した初の幹線用旅客機「C919」が、5月28日から商用運航を開始した。国有航空大手の中国東方航空による初フライトは午前10時32分に上海虹橋国際空港を離陸、約2時間後に北京首都国際空港に着陸した。

このフライトは招待者のみが搭乗した特別便で、一般向けの航空券販売は行われなかった。C919は翌29日から、上海虹橋国際空港と(四川省の)成都天府国際空港を結ぶ定期路線に1日1往復就航する。

1号機の座席仕様はビジネスクラスが8席、エコノミークラスが156席の合計164席。両クラスともに、中国が開発した新世代の国産座席を採用している。C919は機内の広さと快適さを売り物にしており、ビジネスクラスのシートピッチ(座席の前後間隔)は1メートル超、通路の床から天井までの高さは2.25メートルを確保している。

C919は国有航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC)が開発・製造を担う。中国東方航空はその採用を決めた最初の航空会社であり、2021年3月に5機を発注。1号機は2022年12月に中国東方航空に引き渡された。

当初予定より2カ月遅延

新型旅客機が商用運航を開始するには、(中国の民間航空行政を所管する)中国民航局の規定に基づいて最低100時間のテスト飛行を実施し、当局の安全審査に合格しなければならない。

C919の1号機は2022年12月26日からテスト飛行をスタート。中国の航空情報アプリ「航班管家」のデータによれば、1号機は上海、成都、北京、武漢、西安など13都市間の33路線を飛び回り、(商用運航前の)累計飛行時間は160時間を超えた。

このテスト飛行は必ずしも順風満帆ではなかった。2023年2月、飛行中に技術的な不具合が発生したため、当初は3月末の予定だった商用運航の開始を延期せざるを得なくなった。

本記事は「財新」の提供記事です

もっとも、トラブル潰しのための追加検証は珍しいことではない。航空業界の関係者によれば、(国策プロジェクトである)C919のテスト飛行に関してはメーカーの中国商用飛機も運航会社の中国東方航空も特別に慎重な対応を取り、周到な準備を重ねたという。

(財新記者:趙丹)
※原文の配信は5月28日

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