「iモードとは違う」、NTT幹部が語る6G覇権の野望 光を使った新技術「IOWN」で主導権をつかめるか

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6G時代の通信覇権を狙うNTT。その要となるIOWN構想を指揮する川添副社長は「長い時間をかけてきた基礎研究が強みとなる」と意気込む(撮影:尾形文繁)
NTT肝煎りの巨大プロジェクトがついに動き出した。光を使った新技術「IOWN構想」だ。2023年3月に初のサービスとして、低遅延通信であるAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)の提供を開始した(詳細はこちら)。
IOWN構想で見据えるのは、2030年頃をメドに商用化が始まると見込まれる次世代通信規格「6G」でのゲームチェンジだ。NTTが強みを持つ光の技術を基にした通信規格を普及させ、5Gでは後塵を拝した国内外での通信覇権を握ることを狙う。
過去に「iモード」などを世界展開へとつなげられなかったNTTに勝ち目はあるのか。IOWN構想を統括する、NTTの川添雄彦副社長を直撃した。

「仲間作り」は順調に進んでいる

――NTTはこれまで「iモード」や「NGN(次世代ネットワーク)」のような新しい技術・サービスを世界に広められませんでした。それらの敗北から何を学び、IOWNにどう生かしているのでしょうか。

得てして事業者は1つの大きな完成形を作ってから展開していこうとしがちで、iモードもそうだった。システムからアプリケーション、端末に至るまで完成させたうえで、それを海外に持っていこうとした(結果、世界展開に失敗した)。

今回、IOWNはそういう戦い方をしない。多くの人たちが関わり、コラボレーションで作り上げていく「オープンイノベーション」の形を採用した。iモードなど過去の事例とは、違ったアプローチをとっている。

――オープンイノベーションにしたことで、足元ではどんな成果が出ていますか。

構想を推進する「IOWN グローバルフォーラム」には、国内外で100を超す企業が加盟している。議論を進める中で、IOWNのユースケースの提案もいろいろと入ってきている。

例えば、車の電気信号を伝達する金属「ワイヤーハーネス」を光ファイバーに置き換えれば、軽量化や情報伝達を速めることが可能となる。こうした提案はNTTではなく、トヨタ自動車といった自動車業界の加盟企業から上がってきたものだ。

――フォーラムには、アメリカのマイクロソフトなど海外IT大手企業のほか、KDDIや楽天モバイルといった国内の競合キャリアも入っています。

想像を超えるほど、多岐にわたる産業界の企業が入ってきた。自動車業界や銀行業界のほか、味の素など食品メーカーも入ってきている。

IOWNグローバルフォーラムの参加企業の一例

当初はICT業界が多いかと思ったが、予想よりも広がりが大きかった。IOWNを推進する仲間作りという意味では、非常に順調にいっている。

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