他人事じゃない!日テレ「旧本社跡地開発」の混沌 住民が猛反発、町会長が訴えられる異例の事態に

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東京・千代田区の区役所前で抗議する住民。中高層の街並みを定めた地区計画にそぐわないとして日本テレビの都市計画案の撤回を求めている(記者撮影)

自治体が求める大規模開発をとるか、それとも住民が求める街並みをとるか。東京・千代田区の都市計画案をめぐる対立が、想定外の「場外戦」にまで発展している。

「都市計画案の中身について、十分な議論がなされたとは思えない。このままでは地権者と周辺住民との対立構造ができてしまう」。2023年3月13日、東京都千代田区の区役所で開催された都市計画案を審議する場で、審議会メンバーは語気を強めた。

審議会メンバーがやり玉に挙げたのは、千代田区の二番町で日本テレビホールディングス(HD)が進めようとしている旧本社跡地でのビル開発だ。2015年12月に準備会が発足、2018年3月にまちづくり協議会が設立され、都市計画案の協議が進められた。

当初、千代田区は2023年3月30日の審議会で地区計画の変更の決定、2025年の着工を目指していた。ところが、同日の審議会では「審議のために必要な情報や議論がまだ不十分」との意見が出され、採決自体が見送られた。今後の審議会のスケジュールはまだ未定であり、再開発の行方は混沌としている。

賛否を二分しているある問題

2023年3月10日から3月24日までの2週間、千代田区が都市計画案を公開して意見募集を行ったところ、千代田区の住民や在勤者から3978通の意見書が寄せられており、賛成意見が約7割だった。

一方で、提出者の住所が千代田区二番町であった意見書(157通)に限れば、57.3%が都市計画案に反対の立場だった。地元住民ほど反対を表明している比率の高いことがわかる。

賛否を二分しているのが、建物の高さなどの制限の緩和だ。もともと千代田区の地区計画では、建物の高さの最高限度や用途などを制限することで、落ち着いた街並みと良好な住環境の維持・保全を図るという。日本テレビHDの旧本社跡地が位置するエリアにも、60メートルという高さ制限が設定されていた。

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