実は現地にはない?「台湾カステラ」驚きの用途 日本ではコンビニでも販売、台湾との共通点

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焼き立ての断面からは、湯気が立ち上がる(写真:筆者撮影)

「台湾カステラ」はコロナ禍で人気を得たスイーツだ。台湾から日本へ進出した企業もあれば、コンビニスイーツにもなった。日本の大手レシピサイトで検索すると、3月末現在で257のレシピがある。本場、台湾でそのルーツを追った。

「両親と一緒に来ました。お供え物として、これから廟に持っていくんです」

はにかみながら話してくれたのは、大学院進学を目指す李品慈さん、李明珊さん姉妹。手にしているのは、台湾中部の新竹にある「新美珍」で売られるケーキだ。店から歩いて2分ほどの場所には、合格祈願者が足を運ぶ学問の神様を祀った廟がある。

廟に向かう前にケーキを買いにきた李姉妹とお父さん (写真:筆者撮影)

なぜお供え物が、ケーキなのかには説明が必要だろう。ケーキは中国語で「蛋糕」ダンガオと読む。中国語には「とんとん拍子に出世する」という意味の「步步高昇」という成語があり、この「高」も中国語読みでケーキと同じ「ガオ」と読む。

つまり、語呂合わせである。お供え物としてのケーキには、受験生の合格への願いが込められているのだ。

お供物の置き場には、本当に新美珍のケーキがあった(写真:筆者撮影)

ケーキを買う客は何も受験生だけではない。取材の日、店には朝からひっきりなしに客が訪れていた。ちょうど台湾の祝日で、土日含めて4連休の最終日。旅行者が「せっかくここまで来たんだから」とお土産用として買い込む姿も見られた。

「台湾カステラ」は日本の造語

日本で「台湾カステラ」と称するケーキ、実は台湾にはない。台湾では複数の名前のスイーツの総称が「台湾カステラ」なのである。李さん姉妹の買ったケーキは「布丁蛋糕」、日本語に訳すと「プリンケーキ」もその1つだ。名称と日本語訳を拾うと、次のようになる。

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