JR西、「瀬戸内海に浮かぶ町」三位一体で挑む再生 滞在型観光地としてポテンシャルが大きい

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瀬戸田港から耕三寺に続く、しおまち商店街(写真:村上悠太)

尾道―今治間約70kmを瀬戸内の島々に架けられた橋で結ぶ「しまなみ海道」は、車はもとより、自転車で瀬戸内の風景を楽しみながら巡る、サイクリングの聖地としても有名だ。

しまなみ海道では本州から数えて3つ目の生口島は「レモンの島」と呼ばれている。国産レモン発祥の地であり、そして生産高も1位であることが理由だ。その生口島の西側に広島県尾道市瀬戸田町がある。

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転機を迎えた瀬戸田町

生口島は「しまなみ海道」開通以前は船の経由地として賑わいがあったものの、全通後の1999年以降、しだいに “経由地”から“通過地”へと変化。そしてしまなみ海道は島の東側を通ることから、西側に位置する瀬戸田の中心街は人の流れが失われていった。そんな瀬戸田が今、1つの転機を迎えている。

コロナ禍以降、「選ばれる沿線」・「住みたくなる地域」といったフレーズとともに、「地域共創」を企業理念に掲げる鉄道事業者は少なくなく、まさに“トレンド“とも言える事業になっている。JR西日本もその例外ではないが、一味違った取り組みがここ、瀬戸田で進められている。

「瀬戸田では私がJR社員であることも知らない人もいるし、私自身も鉄道会社に勤めていることを、ふと忘れることがある」と苦笑気味に話すのはJR西日本中国統括本部経営企画部の内藤真也氏だ。氏の名刺には内閣府が認定する地域興しのスペシャリスト「地域活性化伝道師」というJR社員としては見慣れない文字が並ぶ。

元々、鉄道運転士だった内藤氏だが、「もっと社会の役に立ちたいと思って、転職を検討した時期もあった」と話す。しかし、瀬戸内ブランドの確立、観光地経営を行う「せとうちDMO」に出向する機会を得て、地域と企業、そして行政が手を取り合って地域を育てることに自身の道を見いだした。

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