日経平均株価はこのまま下落してしまうのか? 個人投資家は金融不安時にどう動けばいいのか

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しかし、こうなると金融不安への疑心暗鬼は払拭できない。先週末17日のNYダウは前日比384.57ドル安と、再び金融株を中心に幅広く売られている。何とも忙しいNY株式市場の1週間だった。

上述のように、欧米の金融当局は官民一体で素早い手を打っている。これは「下手に巨大金融機関の破綻を許すと、金融危機が深刻化する」という、2008年のリーマンショックの教訓によるものだ。だが、今や世界の金融経済はつながっている。どんなに銀行規制などを強化しても、「完璧な安全」はないこともまた歴史は証明しており、市場もある程度はわかっているといえよう。

市場が新型コロナウイルスの脅威におびえたあと、次第に織り込んでいく「ウィズコロナ」の状態になるまで一定の時間を要したように、今の市場もある程度の金融機関の破綻に「慣れる」まで、もう少し時間が必要なようだ。

ECBはインフレ抑制優先、なお市場の不安は残る

さて、先週の大きなポイントは、クレディ・スイスの信用不安がある中で、欧州中央銀行(ECB)が16日に0.5%の利上げを決め、インフレ抑制を優先したことだ。

この利上げ決定は、クレディ・スイスが流動性を確保することにメドをつけ、市場の混乱が沈静化したことを確認したうえでのことだったという。

だが、実際は「『政策金利を上げるも地獄、上げざるも地獄』の状態に追い詰められたECBが、イチかバチかで『強行突破の利上げ』に賭けただけだったのでは」とも言われる。

その真偽はさておき、利上げは結果として金融システムの強さを示すことになり、この日の欧州株は全面高となった。しかし、一夜明けた17日の欧州株は英国のFTSE100指数が前日比1.01%安、独DAX指数が同1.33%安、仏CAC40指数も同1.43%安と、再び売られた。日本時間20日未明にはスイス最大手の金融企業であるUBSグループによる、クレディ・スイスの買収が報道されている。

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