「考え方が昭和すぎ」嫌われる年配社員の"活用法" 儒家・荀子「性悪説」で読み解くリーダーの資質

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嫌われる上司
部下から煙たがれている管理職の社員をどう活用したらいいでしょうか(写真:mits/PIXTA)
どんな職場にも、周囲と軋轢を生む人物は必ずいます。そうした人材とどう向き合い、活用するのか、リーダーにとっては重要な課題となります。本稿は『リーダーの悩みはすべて東洋思想で解決できる』より一部を抜粋・再構成して、“問題社員”との上手な付き合い方について考えていきます。

「昭和な考え」を押し付ける係長

伊藤哲は東京に本社を置く中堅機械メーカーの営業課長を務めている。「任された仕事には必ず結果を出す」をモットーにしているが、そんな伊藤にも悩みがあった。

課内の第1グループの係長、馬場の存在だ。

馬場は入社歴30年以上のベテラン営業マンで、プレイヤー兼係長としてメンバー5人を率いている。実力がないわけではないが、強引な手腕が少々問題視されていた。

それは、社内でリモートワーク制度導入の説明会が開かれていたときのことだった。

人事部から一通りの説明が終わったところで、馬場が手を挙げて発言した。

「最終的な運用は現場判断ですよね? うちのチームは基本的には出社必須でいきます。営業がリモートワークなんてあり得ないですから!」と一蹴。会社の取り組みをまったく理解しようとしない姿勢に、他の出席者たちは顔を見合わせ、会議室は重苦しい空気に包まれた。

「はっきり言って、考え方が昭和ですよね。いまだに営業は訪問してナンボというスタイルを崩さないし……」

「納得いかないことがあると、時々大きな声を出すことがあるでしょ? だから、みんな、はれものにさわるような感じになっちゃってるんです」

他の係長たちにヒアリングをしても、あまり良い評判は聞こえてこない。

馬場にも見習うべき面はある。「数字」に対する意識は課内でも非常に高い。技術資料を深く読み込んで商談に臨むので、商品説明にも説得力がある。

しかし、だからといって勝手な行動を黙認するわけにはいかないだろう。

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